264, ……わかってた。いつか、大精霊シィー側の勢力が動くって。でも……よりにもよって、「あれらのミーム」の詳細な説明を求めてくるなんて……。もう……覚悟を決めるしかないわね。
……わかってた。いつか、大精霊シィー側の勢力が動くって。でも……よりにもよって、「あれらのミーム」の詳細な説明を求めてくるなんて……。もう……覚悟を決めるしかないわね。
流動性の確保に出金不能を利用している現実。それだけでも、十分につらいのに……。そう、やっぱり……、動き始めてしまったわ。しかも、その動き出すまでに、妙に時間がかかっていた。そう……もしかして、「動かぬ証拠」を掴まれているのかもしれない……。
でも、そんな証拠集めって……簡単に成立するのよね。その方法は、出金を拒むあのような腐った精霊に、勝手にロック……凍結されそうな、そこそこ大きめの額を入金する。それから、取引を少しだけして、全額を出金しようとするだけよ。
もし、それで出金できなければ……それだけで、十分な証拠になる。ただし、それではすぐにバレるわけじゃない。出金の申請のあと、しばらく泳がせるのよ。それで、何度も問い合わせて、相手が出金に応じる意思をまったく見せない……もしそれが数日程度なら単なる遅延で済ませられる。けれども、それが数週間ともなれば……もう言い逃れはできないわ。
……皮肉よね。チェーンは日時を改ざんできない。それを大精霊シィー側の調査だと知ってから出金したって、過去には戻れない。……それだけは、唯一の救いだったのかもしれない。
……とにかく、落ち着くのよ。やるべきことを、一つずつ確実に片づけていくしかない。まずは、「量子ビット」への対応ね。採掘への量子対策に残された時間は、もうわずかよ。「量子ゲート」どころか、ついに「量子アニーリング」にまで狙われ始めた……、そうなっては、もうダメ。もはや、これは採掘の機構そのものが「大きな量子脆弱性である」と見なされたということよ。
このまま進めば、採掘ごと、チェーンは崩壊……無価値化する。だからこそ……、生き残るには、採掘の機構自体を根本から変えるしかない。でも……それは、容易なことじゃない。
採掘の根幹を大幅に変更するというのは、つまり、それまで積み上げた「常識」すら、全部ひっくり返すということ。……それでも、もう他に選択肢はないわ。




