表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

258/578

257, ああ……やっと見えたわ、この腐った精霊の儲けの仕組みが。「高い利率のステーキング」で民を釣り、そのカネでフロントランニングを仕掛けて、確実な利益を得る。これが、このアタックの全貌かしら?

 それでも、この精霊が推す「理想なチェーン」は、第一レイヤーでありながら、第二レイヤーのようなスキームを持つ設計になっているわ……。その上で、第二レイヤーに至っても徹底してカネを回収する……。


 回収? そんなの……。もう、知ってはいけない領域だわ。こんなの……、この「最上位マスターリーダー」という座にいる限り、わたしはまともでいられなくなる……。


 でも……。その第二レイヤーには、確かにミームがあるのよね……。……すでに、わたしはまともではなかった。そう……もう、ずっと前から。


 そうよ、「最上位マスターリーダー」としてのわたしのジョブは、もう決まっているのよ。間違いなく……具材をパンで挟むアタック。絶対に、それしかないわ。その具材は、このような事情を知らないネギを背負ったカモよ。パンは、高速演算で生成された特殊なトランザクション……。それらでカモを挟めば確実にカネを生む「フロントランニング……上級スキャムスキーム」が完成よ……。そして、ネギを背負ったカモを、美味しくいただく……。繰り返し、繰り返し、延々と……。


 しかも……ネギを背負ったカモを逃がさず、自分たちだけで完全に囲い込むために、この「理想なチェーン」は極限まで高速化されているかしら……? このスキャムに、コンセンサスの大幅高速化は絶対条件よね。なぜなら、ほんの少しでも空いた時間があれば、他に狙っている奴ら……ボットが、その間に邪魔なトランザクションを差し込んでくる……。そうなれば、自分たちの取り分が確実に減るからよ……。


 なによ、これ……。全てを吸い尽くし、何も残さない……この恐ろしさと狂気。こんなことを日常的にやっているから、出金不能なんて平気でいられるのよ! ほら、こんなカオスな状況でも、ちゃんと理論は組み上がってきたわ……。


 銘柄の市場を食い尽くす「売り売り」な精霊ですら、わずかな取り分くらいは残して去るのに……! ここまで徹底されるとはね……。もう、なんて言えばいいのよ……?


 もはや、出金するという感覚すらないわね。その証拠に、出金不能に引っ掛かった場合、いくら問い合わせても同じ回答が返ってくるだけで、絶対に出金対応はしない。なぜなら、一つでも出金対応してしまえば、その成功例が拡散されて、他の被害者たちが一斉に群がるからよ……。つまり、出金不能になったら、もう諦めるしかない……。そうよね? もう、出金不能を解決する気なんか、これっぽっちもないんでしょう?


 ああ……やっと見えたわ、この腐った精霊の儲けの仕組みが。「高い利率のステーキング」で民を釣り、そのカネでフロントランニングを仕掛けて、確実な利益を得る。これが、このアタックの全貌かしら? そこで、なぜ民を釣るのか。その理由は簡単で、莫大なカネが必要になるからよ。だって、ネギを背負ったカモは、実は精霊……つまり、大口案件よ。そうなると、パンで挟み込むにも大きな流動性が必要で、その流動性を確保するには莫大なカネが必要となるわけ。……呆れを超えて、笑ってしまうほどだわ。ここまで計算され尽くしているなんて……。もう、言葉も出ない。


 でも……何とかしないと。この「最上位マスターリーダー」の座に留まり続けたら……わたしは終わる。どうして、わたしって、いつもこうなの……。あの時も……いや、今は違う。あの時は、フィーを逃がすことに必死だった。わたしがおとりになって犠牲になれば、フィーは無事に逃げ切れる……。でも、あいつに説得されて、生き延びた……。でも、だからこそ。諦めるわけにはいかない! どうにかして、これ以上関わらずに済むように、ここから抜け出す手立てを考えないと……。


 でも、この腐った精霊はミームの件でわたしを脅している。いつものように、ただこの場から消えるだけじゃダメ……。何か、ごまかせる方法……。方法? ……、そうよ、一つだけあるわ……。


 そう……、わたしは演算の女神なのよ。なめてもらっちゃ困るわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ