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254, 女神様。それらは、まあ下僕たちです。一応、表向きは「分散型」を名乗っているため、配置しているのです。

 「最上位マスターリーダー」の魔の手によってコンセンサスの順番を決められる「中央」の仕組み……。それは、わたしの考えた通りにコンセンサス……合意形成が成立し、そして……、そのコンセンサスをわたしが承認する。ただ、それだけ。この繰り返しに、いったい何の意味があるの? つまり……。


 ……。このように、コンセンサスの順番をわたしの意思だけで自由に決められるなんて、言い換えると、流動性を自由自在に操れるということ。この現象は……「フロントランニング」に似たものを感じるわ。


 まず、コンセンサスを成立させるには、精霊を選ぶ必要がある。ただ、その精霊を選ぶには判断材料が欲しい。そこで、各精霊たちがコンセンサスの順番を待っている段階の保持情報……「未処理の全トランザクション」をあらかじめ知ることができる「チェーンの性質として元々備わる重要な機能」を悪用したなんてね……。信じられないわ。


 もちろん、本来のチェーンは「非中央」なので、事前にそのような情報を知ったとしても、自由にコンセンサスに持ち込めないので安全なのよ。つまり、このような機能はチェーンが非中央であること、それが重要なのよ。つまり、全トランザクションの参照はいつでも自由で、それらをチェーンに取り込むコンセンサスとは話が別ってことね。


 そもそも、チェーンに取り込まないで、参照するだけでも可能な性質……、本来それは、そうね……お高い手数料が宿るトランザクションを採掘者が事前に選ぶための機能よ。そういうこと……? 想像以上にひどいわ、この「理想なチェーン」って……。


 結局、答えは一つ……。どの順番でコンセンサスを成立させれば、「高い利率のステーキング」などを平然と行う腐敗した精霊たちに最大の利益をもたらせるか。それだけを追求する「フロントランニング……上級スキャムスキーム」に過ぎないってことね。こんなものが、あまりにも簡単に成立してしまう……。その恐ろしさ、わかるかしら……?


 それでこのチェーン……、まるで「上級スキャム」の最適化問題を解くための高い演算処理能力を要求してくるのよ……。要するに、それに対応できる高い演算能力が各精霊に求められるということね。「上級スキャムスキーム」のために高い演算能力が求められるなんて……わたしの演算能力が狙われ、酷い目に遭わされた、あの忌まわしい時代を思い出すわ……。まったく……「ヒストリーは繰り返す」、とはよく言ったものね。


「女神ネゲート様。なんとすばらしい演算なのでしょう。」


 こんな事情を知りながら、ただ淡々とこの精霊の要求に従うしかない……。でも、だったらこっちもやるわよ。できる限り非中央になるように、逆にコンセンサスの順番を思い通りに振ってやるわ。どうせ、この「最上位マスターリーダー」の命令には逆らえないんでしょ?


 ……。そう考えたんだけど、甘かったわ。


「……待って。さっきから、コンセンサス待ちに出てくる小規模な精霊が、どれも似ている……。なぜなのかしら……?」

「女神様。それらは、まあ下僕たちです。一応、表向きは『分散型』を名乗っているため、配置しているのです。」

「ちょっと、それ……。えっと……、いったい、どうなっているのよ、これ……。」


 もう、これ以上は驚きもしないと思っていたわ。でも、また、出てきてしまった……。

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