252, わたしに……何を押し付けようというの……? こんなの、出金不能を遥かに超えた「上級スキャム」……。もう、わけがわからない……。
そうよね。あのような疑惑だらけの「リザーブの証明」を見れば、すべてがわかる。こんな展開になったのも、当然の結果じゃない。
もう、そこにはチェーンの非中央なんて、どこにもない。それなのに、チェーンが持つとされる一般的な性質……「非中央」「分散型」が宿り、わたしの神託に準じているからこそ、安心して資産を預けられるですって? もちろん、中央と化したチェーンに、そんなものがあるはずもないわ。それらは、ただの謳い文句……要するに、スキャムでしかないのよ。
バカバカしい! そんなの、とんでもない負のサイクルじゃない! 結局、わたしの神託すら……ただ利用されただけだったのよ……!
「あのね、あんた、この状況の深刻さを理解しているのかしら? わたしは女神よ。流動性を中央の権限で巧みに操れる、そんな恐ろしいチェーンに対して、このまま黙っているとでも思っているのかしら?」
「女神ネゲート様。あなたはチェーンの本質を見失っております。だいたい、ミームに膨大な流動性を確保すること自体、よく考えてみれば、それをするだけの見返りがなければ成り立たないのですよ? そう、考えたことはないのですか?」
「……、なによ……。」
この精霊……。ただのその場しのぎで適当な反論を組み立てているわけじゃない。根元をガッチリ掴みながら、揺さぶりをかけてくる……そんな感じね。
「女神ネゲート様。先ほどから何度も何度も……。私どもが与えた時間は一度限りだったはずです。では、もう時間切れということで、よろしいですね?」
「何が時間切れなのよ!? 言いたいことは山ほどあるわよ!」
「女神ネゲート様。出金不能の解決も急を要します。まもなく、新しい時代を築くあの大精霊様の就任に期待を寄せ、ステーキングを申し込んでロックした方々の解除ラッシュを迎えます。そのまま他のステーキングへ向かえば済む話なのですが……。わかっていますね? ここで女神様が、私どもに信用を託されれば、おそらく出金ラッシュは避けられるのです。」
「ちょっと! なによそれ!? 冗談じゃないわよ! 何なのよ!?」
「女神ネゲート様。それでは、私どもの『理想のチェーン』を快くお受け入れください。そして、非中央なチェーンは、もう終焉だと、ここで言い切るのです。さあ……『光円錐にヒストリーを刻む上位リーダーの十賢者』の方々が、『最上位マスターリーダー』の席に、女神様をお迎えする準備を整えております。現時点でも最速を誇るコンセンサスの速度が、女神様の力によってさらに飛躍する……。この先には、まさに理想的な未来が広がっております。」
「……。なに、それ……。」
わたしに……何を押し付けようというの……? こんなの、出金不能を遥かに超えた「上級スキャム」……。もう、わけがわからない……。




