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246, コンジュゲート事件……それは、風の影響力を利用し、敵の活動を密かに探るものでした。やがて大問題へと発展しましたが、相手は女神様。精霊に抗う術などなく、ただひたすら隠蔽と否定を繰り返しました。

 気づけば、完全に相手のペースに飲み込まれていた。だけど……反論の余地なんて、どこにもない。それほどまでに、ミームの影響は絶大なのよ……。こうなったら、相手の条件をのむしかない。でも、せめて最小限の被害で済む道を探し抜かなきゃ……。


「さて、そろそろ好条件を確約していただきたいところです。」

「なによ……、好条件って……?」

「はい。実は、出金不能となった民を救うだけでなく、もう一つ別の問題を抱えておりまして……。」

「ちょっと、まだ何かあるっていうの?」

「そうです。実は、『急に消えた』の件で騒ぎが大きくなり始めていまして。どうやら、民もなかなか諦めが悪いようで……。」


 ふざけないでよ! 出金不能だけでも手に余るのに、まだ他にも、とんでもないことに首を突っ込んでるっていうの!?


「なによ……。」

「女神ネゲート様。私どもは所詮、中央にすぎません。したがって、顧客である民であろうとも、私どものルールに従っていただきます。それにも関わらず『急に消えた』とは……言いがかりにしても、あまりに理不尽ではありませんか? これが、私どものルールです。」


 何がルールよ……。出金不能なんかに陥っているところに、ルールなんてあるのかしら?


「……その『急に消えた』件について、説明なさい。」

「はい、女神ネゲート様。私どもは、不審な値の動きを確認し、これは正当なものではないと判断したため、中止の措置を取らせていただきました。顧客を保護するためには、致し方なく、苦渋の決断を下した次第です。」

「……顧客の保護? それは本当のこと? まさか、証拠を隠滅するためではなく?」


 いったい、この精霊はどこまであり得ないことをし続けるつもりなの……?


「女神ネゲート様……。どうして私どもに、そのような疑いの目を向けられるのですか……?」

「何が起きたのか、はっきり説明しなさい。不審な値の動き……まさか、値が高騰したタイミングでロックして、売却を阻止していたなんてことはないわよね?」

「女神ネゲート様。中央において取引が行われる以上、明確なルールがございます。不自然な値動き、特に急騰があった場合、新たな被害を防ぐための対策が必要となります。顧客を守るため、やむを得ぬ処置だったのです。」

「……なるほど。でも、他の精霊の中央ではその値で普通に取引されていたのに、なぜロックする必要があったのかしら? それとも……、市場に参加できる者が限られていて、本来の需給バランスから導かれた値ではなかったのかしら?」


 顧客を守るためって、何度も聞いたけど……。だったら、出金すればいいじゃない! もう……。それで今、わたしから目をそらしたわね……。何かあるわよ、これ……。


「女神様、そのような余計な詮索はご遠慮いただきたい。……。コンジュゲート事件……それは、風の影響力を利用し、敵の活動を密かに探るものでした。やがて大問題へと発展しましたが、相手は女神様。精霊に抗う術などなく、ただひたすら隠蔽と否定を繰り返しました。けれど、結末は……でしたね。」

「そ、それは……。」


 悔しいわ……。劣勢になった途端、わたしを追い詰めるようなことを言い出すなんて……。もう……。

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