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242, なんだかわたし、歓迎されていないようね。そう……わたしにまで「カネ返せ」の矛先が向かう原因を生んだ渦中の精霊に直接、事の真相を突き止めに向かったわ。

 なんだかわたし、歓迎されていないようね。そう……わたしにまで「カネ返せ」の矛先が向かう原因を生んだ渦中の精霊に直接、事の真相を突き止めに向かったわ。


「ほほう、これはこれは麗しき女神ネゲート様。不幸にも起きてしまった強奪……。この悲劇的なタイミングは偶然ではないと、そう……私に告げるのですね?」

「そうよ。本来なら『リザーブの証明』に示される通り、民から預かった資産や『仮想短冊の通貨』は、本来なら一対一の結びつきで運営すべきよね? まさか『部分準備……フラクショナルリザーブ』のような方法で管理していた……なんてことはないわよね?」


 わたしの疑問はそこだった。もともと、こうした資産を「部分準備……フラクショナルリザーブ」で管理できるのは、大精霊の保証がある場合に限られるわ。つまり、大精霊の「保険」がなければ、「部分準備……フラクショナルリザーブ」での運用は許されないのよ! それで、「仮想短冊の通貨」って大精霊の管理下には置かないものだから……「保険」がない。だからこそ、絶対に一対一の結びつきが求められるのよ。そのための「リザーブの証明」なのに……。


「女神ネゲート様。つまり、私どもは準備しておくべき『部分の部分』しか持っていなかった……そう問いかけているのですね?」

「そうよ。そうでなきゃ、あんなステーキングの高い利率で、どうやってカネを回せるというのかしら? 答えなさい!」


 ……、わたしの追及に対して、なによ……。余裕をかましながら、手のひらをこすり合わせてる。それから、なにか上手い逃げ口実でも思いついたのね。だったら、言ってみなさいよ……?


「女神ネゲート様。私どもは今、戦っています。その相手とは……民の資産を軽々と奪っていった『魔の者たち』、ですよ。 それなのに、なぜ女神様はこんな所に立ち寄り、私どもの責任を追及なさるのでしょうか? 悪いのは『魔の者たち』、それは明白です。もちろん、セキュリティに問題があったことは認めざるを得ません。しかし……『コールドなウォレット』であっても強奪されてしまう原因があると、この道に詳しい方から伺いました。 それならなおさら、これは私どもの責任ではなく『仮想短冊の通貨』の精霊の責任ではありませんか? まったく、迷惑もいいところです。それでも私どもは戦いを挑んでいます。そのため、女神様もぜひ加勢し、『魔の者たち』の元へ向かわれるのが筋ではないでしょうか?」


 なんなのよ。……この程度、かわすのは余裕ってことね。そうでなきゃ、こんなことはしないわよね……。それなら……。


「あなたは、いったい『誰と戦っている』と言っているのかしら? もうね、これまで何度も耳にしてきた使い古された『お決まりの茶番劇』にしか聞こえないわ。魔の勢力が介入した証拠なんて、本当にあるのかしら? そうやって時間稼ぎして……そういうことよね?」

「そうですか……。」


 それでも、余裕の笑みを浮かべているわ。なによ、それ……。


「女神ネゲート様。よろしいですか? これは『ディール』です。その点を強くご自覚いただければ幸いでございます。」

「えっ? 何が『ディール』なのよ?」


 もう、いったい何なのかしらね? 女神であるわたしに、一体どんな取引を持ちかけてくるつもりなのかしら。

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