表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

223/578

222, ハッシュを守るはずの「雪崩効果」が、「量子ビット」に喰われる運命だなんて。けれど「雪崩効果」を捨てれば「推論」による乱獲が始まる……。もう、逃げ場なんて、どこにもないわよ?

 ……。コンジュ姉、また来たの? ……。闇堕ちしているとはいえ一応、女神よ……。あらゆる場に足を踏み入れることが許される者。それが……わたしの姉、女神コンジュゲートよ。


「また来ちゃった。闇は、いつでもあなたを歓迎しているわ。」

「……、わたしは決して闇には屈しない。それだけは、しっかり覚えておいて。」


 ……。コンジュ姉が、じっとわたしを見つめたまま、微動だにしない。……何かしら?


「ねえ、ネゲート。それなら、こんな話題はいかがかしら? 採掘の精霊が、球根を育てる支援を始めたようね?」

「……、そうね。わたしもその内容を聞いた瞬間、思わず固まっちゃったわ。」


 そこで、球根の話題……。まあいいわ。それで、何かしらね?


「ほんと、採掘の精霊って、ほんと商売上手ね。何も知らない相手に、不要になった低効率の機材を『ありがたく』受け取らせるんだから。そうよね? 採掘の仕組みを知っている方には、こんなの、すぐにばれちゃうからね。」

「……。」


 ……。それについては何も言い返せないわ。


「結局のところ、貴重な採掘分から高めの手数料を取られた上に、燃料代まで押し付けられるってわけね。さらに、低効率な機材の処分までできるなんて、採掘の精霊にとっては笑いが止まらないでしょうね。」

「コンジュ姉……、取引は常に双方の利益があってこそ。相手が納得している限り、それもまた商売なのよ。」

「そう、これはただの商売よ。でも、闇がやれば『搾取』で、そっちがやれば『適正な取引』ってわけ? そのダブルスタンダード、ちょっと笑えるわね?」

「それは……。」


 ……。それについても、何も言い返せない……わたし。


「さて、そろそろ本題に入りましょう。『量子ビット』の件だけど、進展はあったかしら? 解決の見通しは立ちそう?」

「……。なによ? 探りに来たのが目的ってわけかしら?」

「別に探る必要なんてないわ。なぜなら、すでに勝負は決まっているからよ。」

「なによ……。」

「ふふ、どうだった? 一般向けに解き放った『量子ビット』の素晴らしい使い心地は?」


 そういうこと。今日の目的は、それなのね。


「あら? そうね……、なかなか興味深い『量子ビット』だったわ。満喫させてもらったわよ。」

「そこで、まだ強気なんだ。」

「なによ?」

「もう……。あなたは、気が付いているはずよ。」

「……。」

「ふふ……なんとも皮肉な『現実』ね。これだから『現実』は退屈しないわ。ハッシュを守るはずの『雪崩効果』が、『量子ビット』に喰われる運命だなんて。けれど『雪崩効果』を捨てれば『推論』による乱獲が始まる……。もう、逃げ場なんて、どこにもないわよ?」


 「雪崩効果」……ハッシュのセキュリティを確保する上で欠かせない、大切な存在。当然、手放せるわけがない。それほど必要不可欠な機構だった。


 ……。そうなの。これこそが、採掘の問題を引き起こした「元凶」なのよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ