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220, 一般に公開された「量子ビット」のエラー率……確かに高めね。しかし、秘匿されている「量子ビット」のエラー率はどうなっているのか、それが問題だわ。

 「量子ビット」で喧嘩を売られた女神ネゲートです。いいわ、こうなったら根こそぎ調べ上げるわ!


 さて、それならまずは……。一般向けに公開された「量子ビット」を使ってみたの。でも……なによ、「どうぞどうぞ」って。「量子ビット」がチェーンに向けて放たれた時点で、こうなるのはわかっていたけど……、それにしても予想以上ね。


 そこでまずは「スーパーポジション」から試してみたわ。四つの「量子ビット」に対し、順に「現実」から少しずらすように回していくの。すると不思議なことに、各「量子ビット」から生じた各状態ベクトルが重なり合い、全部で十六通りの状態ベクトルが、等しい確率振幅として生成されるわけ。そして、それらを四千九十六回、観測する流れになっているわ。もし等しい確率振幅で各状態ベクトルが生成されるのなら、それぞれが二百五十六回ずつ観測できる期待値を持つことで、そこに生成された「スーパーポジション」を確認できるという仕組みよ。そうね……、ばらつきから考えて二百回から三百回くらいの間は許されるわ。


 そして量子演算を実行すると、その結果は……、すべての状態がその範囲内に収まっていたわ。……、へえ、意外とやるじゃない。


 次は、二つの「量子ビット」に対し、まず片方を「現実」から少しずらし、そこに「エンタングルメント」させる相関を与えてみたわ。それから、各「量子ビット」が対をなすように、同じだけ少し回す。それにより変動する各状態ベクトルを観測し、「量子ビット」の非局所性を確認するのよ。こちらも観測回数は四千九十六回で、観測することで、各状態ベクトルの期待値から、全状態の構造をみていく。それが「量子ビット」の本質なのよ。


 そして量子演算を実行すると、その結果は……、たしかに「量子ビット」が非局所性を帯びている点は確認できたわ。しかし、ちょっと誤差が大きいかしら。なるほど……、そういうことね。


 その原因こそが……「量子ビット」に生じるエラーよ。つまり、エラーが生じて本来あるべき状態ベクトルからかけ離れてしまい、それが観測結果として蓄積され、誤差となって現れるのよ。


 さて、その誤差は何から生じたのか、みていくわ。それは、エンタングルへの相関を与えるための論理が原因よ。この相関は、二つの「量子ビット」に同時作用する論理を利用したから、それだけエラー率が上がってしまうのよ。


 それで……、ああ、やっぱり。今試した、二つの「量子ビット」による同時作用を試みると、十のマイナス二乗を大きく上回るエラー率と、マニュアルに書いてあったわ。よって、それが原因とみて間違いないわね。


 さらには難しい処理……そう、三つの「量子ビット」による同時作用は、単独では難しく、二つの「量子ビット」の同時作用を複数回組み合わせて構成するみたいね。つまり、そうね……仮に、二つの「量子ビット」の同時作用のエラー率が十のマイナス三乗であっても、三つの「量子ビット」による同時作用となると、エラーが蓄積されがちで厳しくなる。そこまで考えてみると、二つの同時作用のエラー率は十のマイナス四乗から五乗くらいが必要となるため、……、そうよ、これはチェーンにとって、久々のプラス材料だわ。そうよね?


 うーん。まとめると、単独の「量子ビット」を回すだけなら、案外、エラー率は低い。ところが、二つ以上の「量子ビット」に同時作用する論理を使い始めると、エラー率が急激に上昇する。そして、チェーンに影響が出るような量子演算を組むには、二つ以上の「量子ビット」に同時作用する論理を「多用すること」になるわ。なぜなら、それが「計算」になるからよ。


 でも……このように、一般に公開された「量子ビット」のエラー率……確かに高めね。しかし、秘匿されている「量子ビット」のエラー率はどうなっているのか、それが問題だわ。


 ともかく、この程度で私が闇に堕ちるとでも? こんなの、あっさり乗り越えてみせるわ。

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