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218, そんなはずはない……。「量子ビット」による量子演算が、一般向けに解き放たれた? ありえないわ……。

 フィーが、わたしのことを気にかけて様子を見に来てくれたわ。


「ネゲートのことが心配で、来てしまったのです。」


 コンジュ姉の気配を察知したのよね。それはわかっている。


「わたしはこの通り、無事よ。闇になんか誘われて、乗るわけないでしょ!」

「……、それなら安心したのです。ただ……それだけなら良かったのですが、もう一つ、面倒な問題が出てきたのです。」

「はあ……次から次へとよくやるわね。そんなに、わたしの神託が気に入らないわけ? もう……。それで、新たに浮上したその問題とは、何かしら?」

「はい、それは……、これなのです。」


 それで、フィーがマッピング経由で送ってきたものを見たわ。……。ええ……、もう、嫌な予感しかしないんだけど?


「そんなはずはない……。『量子ビット』による量子演算が、一般向けに解き放たれた? ありえないわ……。」

「いいえ、なのです。これは、間違いではないのです。『驚異的な並列演算は、女神の独占ではない』というスローガンのもと、一般向けに、決して遊びではない本格的な量子演算を解放したのです。」

「ちょっと、しかもこれ……。案外、『量子ビット』の数が多めだわ。」


 ……。それは、ちょっと「量子ビット」を試してみよう、という数ではなかった。


「はい、なのです。この数では、『スーパーポジション』や『エンタングルメント』を試してみたい、という実験的な量子演算ではなく、補助的な『量子ビット』を活用した入出力付きの小規模な量子演算を可能とする威力があるのですよ。」

「そうなるわね。なぜならこの数では、状態ベクトルを『古典ビット』のシミュレーションでは処理できないからよ。」

「はい、なのです。『古典ビット』でシミュレーションできないような演算を可能とする……、それが『量子ビット』による量子演算なのですから……。」

「それくらい、わかっているわよ。……。でも、この数ならまだまだ全然、余裕なはずよ。」

「ネゲート。たしかに、この数ではチェーンを脅かすような量子演算にはまだ、ほど遠い水準なのですが……、これを一般向けに公開できる余裕という観点から考えると、この十倍以上の数を揃えた中規模な『量子ビット』が、すでに存在している可能性もあるのです。そうなると、本当に残された時間は少ない……、そう感じるのですよ。」


 ……。そうね……、さすがにここまでやられたら、わたしだって黙っていられない。フィーと、今後の方針について徹底的に話し合ったわ。


 結局、闇の勢力の考えは、今ある「非中央」なチェーンをすべて焼き払って、闇の管理下に置かれる「管理型チェーン」に切り替えたい。そこで「大精霊の管理下にある仮想短冊の通貨」を展開したい。もう、それしか心を支配していないのかもしれないわ……。

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