215, なにやら採掘の精霊どもが騒がしいな。だが、我ら闇はやるべきことを進めるだけだ。
珍しく、邪神イオタが悩ましい表情を浮かべている。それもそのはず、闇の勢力すら想像できない事態が起こっていたのだ。女神コンジュゲートは、それを珍しそうな眼差しで静かに見つめていた。
「ほう……これは意外だ。まるで、我ら闇が楽しめるように仕組まれたかのようだ。」
「そうですね……、邪神イオタ様。」
「これはもしや、我ら闇すら凌ぐほどの分断が起こるのではないか? ふむ……実に興味深い。」
「邪神イオタ様。報告によれば、すでに周辺の地域一帯とトラブルが発生しているようです。これは……こちらから手を下さずとも、勝手に崩れていくかもしれませんね。」
「なんとも滑稽なことよ。我ら闇すら驚く変化が、こんなにも早く訪れるとはな。」
その後、今後の戦略について議論を重ねていた。実力行使の役割は邪神イオタに委ねられ、知略を巡らせるのは女神コンジュゲートの役目。互いに役割を果たす関係だった。
「そうだ、女神コンジュゲートよ。一つ、尋ねてもよいか?」
「はい、邪神イオタ様。」
「なにやら採掘の精霊どもが騒がしいな。だが、我ら闇はやるべきことを進めるだけだ。」
……。それを聞いた女神コンジュゲートは、あの機密がなぜか漏れたことに勘付いた。しかし、すぐに気づく。そうだ、大精霊シィーなら知っていてもおかしくない。なぜなら「量子ビット」の件と強く結びついていたのだから。
「邪神イオタ様……、深くお詫び申し上げます。あの機密の件のことかと存じます……。」
「なに、気にせずともよい。おそらく、大精霊シィーから漏洩したのだろう。」
「邪神イオタ様、ご寛大なるお裁き、痛み入ります。それにしても、大精霊シィーの動きは計算以上……大失態に加え、このような漏洩まで引き起こすとは……。」
「女神コンジュゲートよ、今は時を待つのだ。雑音がなお多き『量子ビット』であろうとも、その数さえ整えば、十分に狙える射程にまで来ておる。あとわずかの忍耐。深淵が満ち、最小の振動すら飲み込まれる……宇宙の静寂をも超えた空間にて、我らの力……『量子ビット』は目覚め、再び我ら闇に時代をもたらすだろう。」
邪神イオタはそう告げると、邪悪な笑みを浮かべながら、女神ネゲートが闇へと沈んでいく光景を心に描いていた。




