表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

216/578

215, なにやら採掘の精霊どもが騒がしいな。だが、我ら闇はやるべきことを進めるだけだ。

 珍しく、邪神イオタが悩ましい表情を浮かべている。それもそのはず、闇の勢力すら想像できない事態が起こっていたのだ。女神コンジュゲートは、それを珍しそうな眼差しで静かに見つめていた。


「ほう……これは意外だ。まるで、我ら闇が楽しめるように仕組まれたかのようだ。」

「そうですね……、邪神イオタ様。」

「これはもしや、我ら闇すら凌ぐほどの分断が起こるのではないか? ふむ……実に興味深い。」

「邪神イオタ様。報告によれば、すでに周辺の地域一帯とトラブルが発生しているようです。これは……こちらから手を下さずとも、勝手に崩れていくかもしれませんね。」

「なんとも滑稽なことよ。我ら闇すら驚く変化が、こんなにも早く訪れるとはな。」


 その後、今後の戦略について議論を重ねていた。実力行使の役割は邪神イオタに委ねられ、知略を巡らせるのは女神コンジュゲートの役目。互いに役割を果たす関係だった。


「そうだ、女神コンジュゲートよ。一つ、尋ねてもよいか?」

「はい、邪神イオタ様。」

「なにやら採掘の精霊どもが騒がしいな。だが、我ら闇はやるべきことを進めるだけだ。」


 ……。それを聞いた女神コンジュゲートは、あの機密がなぜか漏れたことに勘付いた。しかし、すぐに気づく。そうだ、大精霊シィーなら知っていてもおかしくない。なぜなら「量子ビット」の件と強く結びついていたのだから。


「邪神イオタ様……、深くお詫び申し上げます。あの機密の件のことかと存じます……。」

「なに、気にせずともよい。おそらく、大精霊シィーから漏洩したのだろう。」

「邪神イオタ様、ご寛大なるお裁き、痛み入ります。それにしても、大精霊シィーの動きは計算以上……大失態に加え、このような漏洩まで引き起こすとは……。」

「女神コンジュゲートよ、今は時を待つのだ。雑音がなお多き『量子ビット』であろうとも、その数さえ整えば、十分に狙える射程にまで来ておる。あとわずかの忍耐。深淵が満ち、最小の振動すら飲み込まれる……宇宙の静寂をも超えた空間にて、我らの力……『量子ビット』は目覚め、再び我ら闇に時代をもたらすだろう。」


 邪神イオタはそう告げると、邪悪な笑みを浮かべながら、女神ネゲートが闇へと沈んでいく光景を心に描いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ