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214, 「量子ビット」のアタックは「チェーンの完全な独占状態」を引き起こす……それゆえに、わたしはそれを「百パーセントアタック」と名付けたわ。

 例の件……、有識な精霊たちと、意見交換の場を設けたの。でも、血気盛んな採掘の精霊たちと口論になってしまったわ。


「おい、こっちは採掘で収益を出してるんだぞ? ふざけたこと言うなよ? なんということだ……女神ネゲート様まで狂ってしまわれたのか? それとも、俺たちが燃料をガンガン消費してるのが許せねぇってのか?」

「状況が変わったんだから、もうどうしようもないだろう。」

「勘違いするなよ。俺たちはお前じゃなく、女神ネゲート様と話してるんだ!」

「それなら、ますます女神ネゲート様には近づけさせるわけにはいかない。」

「なんだと? ふざけるな! そこをどけ、お前では話にならん!」


 ……。この失態はわたしの責任だから、わたしだけで何とかすると言ったのに……それでも、担い手を含め、みんなが来てくれた。とにかく、わたしが直接話さないと収まりそうにないわね。そう、決意を固め、一歩前へ踏み出した。


「この件はわたしの責任よ。そう……本来ならハッシュを『単精度』に置き換えることで燃料の浪費問題を解決できるはずだった。それでも、この『量子ビット』の力には抗えないのよ。なぜなら、『量子ビット』の仕組みそのものが採掘と親和性を持ち、チェーン難易度調整が作用しないからなのよ。」


 採掘の件はもともと、燃料の浪費という深刻な問題を抱えていた。そこでハッシュを「単精度」に置き換えれば「推論」の分野で有効活用でき、採掘の精霊は継続して安定した収益を得られるはずだったの。しかし、チェーン難易度調整が「量子ビット」に作用しないという脆弱性があり、この採掘の仕組み自体が「量子ビット」に耐えられない。こうなってしまっては、もうどうしようもない……そんな結論に至るしかなかったのよ。


 そこで、この脆弱性に正式な名称を与えることにしたわ。まず、狙われた任意の期間内の全取引情報を勝手に無効へと書き換えられてしまう、チェーンの主導権を奪われるアタックについては、従来より「五十一パーセントアタック」と呼ばれていた。それにちなんで「量子ビット」のアタックは「チェーンの完全な独占状態」を引き起こす……それゆえに、わたしはそれを「百パーセントアタック」と名付けたわ。


「ふざけるな、だったらどうしろってんだ? ああ、つまり採掘による燃料の消費量が、全消費量の二百分の一を超えたのが気に入らないって話かよ?」

「そうではないの。採掘の仕組み自体に、脆弱性が……。」

「ほんとによ、地の大精霊もごちゃごちゃ言って、結局、採掘は禁止に持ち込みやがったよな? こっちは燃料代払って正々堂々とやってんだ、ふざけたこと抜かすな!」


 ……。話が堂々巡りね。仕方ない……「量子ビット」の本当の威力を説明してやるわ。


「それなら、よく聞きなさい。わずか一台に実装された『量子ビット』をクルクルと回すだけで、採掘の精霊たちが轟音とともにチェーンに捧げている『全ハッシュパワー』の、実に『四千兆倍の演算能力』にも及ぶパワーを得られてしまうことが判明したのよ。こんな偏った力、『五十一パーセントアタック』なんて一瞬で超えて、『百パーセントアタック』になってしまうわ。」

「なんだと……。俺たちの全ハッシュパワーの四千倍を、そんな『量子ビット』で出せるなんて、本気で思ってるのか?」

「……。お願いだから、ちゃんと聞いて。四千倍、ではなく、……、『四千兆倍』よ。」


 その瞬間、場の空気は凍りついた。本当に「量子ビット」という代物は、もし適切な演算手法があるのなら……、こんなことが起こり得るのよ。そして、それはついに起きてしまったの……。

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