213, ほほう。我ら闇から時代を奪い取った、その恩恵に浸る者たちは、ずいぶんと排他的なものだな。
不満を滲ませ、苛立ちを隠せない様子で、下僕たちからの報告を受け取る邪神イオタ。
「ほほう。我ら闇から時代を奪い取った、その恩恵に浸る者たちは、ずいぶんと排他的なものだな。」
「そうですね、邪神イオタ様。」
「そうか。女神コンジュゲートも、そう思っていたのだな。」
「はい、邪神イオタ様。」
静かに女神コンジュゲートを見下ろし、闇の掟について探るような動きを見せる。
「我ら闇の掟、覚えておろう。そうだ、我に忠誠を誓う限り、過去は問わず、どんな者でも受け入れる。それが我らの流儀だろう?」
「はい! 邪神イオタ様。その掟があったから、私はこうしてここにいられるんです。」
「ふむ、そうか。そう言われると、我としても満足だ。」
……、そんなやり取りが続く中、どこからともなく闇を探求する者が現れ、邪神イオタの前に静かにひざまずいた。
「邪神イオタ様、私のような至らぬ者をお助けいただき、深く御礼申し上げます。」
「ふむ。それでは要件を聞こう。『量子ビット』は、滞りなく進んでいるのだな?」
「邪神イオタ様。いやはや、見事な成果を上げています。その類まれなる能力ゆえ、ついには交易の制限がかけられたとの噂も届いております。」
「そうか、それこそが我ら闇の切り札。何があろうとも、決して見落とすことは許されぬ。」
「邪神イオタ様、私にお任せください。必ずや、ご満足いただけるようにいたします。どのような者でも受け入れる……この真の強さを、見せつけてやりましょう。」
その瞬間だった。
「あ、あの……。」
女神コンジュゲートは息をのむように、闇を探求する者を驚きのまなざしで見つめた。
「これは、誠に失礼をいたしました。女神コンジュゲート様。」
「あなたは、確か……。」
「女神コンジュゲート様。これは驚きました。私をご存じとは……。私は、かつて大精霊シィーに仕えていた者でございます。」
「そ、それは……。」
「女神コンジュゲート様、驚かれるのも、至極当然のことかと存じます。あの騒動の渦中、必死に逃げ延びたが、力尽きる直前で……。そうですとも、邪神イオタ様に救われたのです。あのような大失態を繰り返したにも関わらず、さらには『量子ビット』で挽回の機会まで与えていただき……。もはや、一片の迷いもございません。この魂、邪神イオタ様ならびに女神コンジュゲート様の下僕として、ためらうことなく、いかなる命令にも従う所存です。必ずや、邪神イオタ様の時代を取り戻してみせましょう。」
その言葉が響くと同時に、闇を讃えるかのような乾いた拍手が、虚ろな空間にこだました。