210, あれっ? コンジュ姉とフィーって仲が悪いの? 何かあったのかしら?
突然、わたしの目の前に現れたコンジュ姉。……、もうっ。でも、ちょうどいいかな。そうね……、「量子ビット」の件で、相談したいことが山ほどあるの。
「あら、もしかしてお邪魔だったかしら?」
「もう……、コンジュ姉。時間と空間を見極めずに、こんなところにまで出没するなんて!」
「だって……、急にネゲートの笑顔が見たくなったんだもん。」
もう……。
「……。」
「あら、誰かと思えば……フィーじゃない? こんな形でネゲートと対話するなんて、面白いものね。」
「あの、対話ではないのです。」
「違うのかしら?」
「いいえ、なのです。……、わたしは、コンジュゲートと話すことは、何もないのです。」
あれっ? コンジュ姉とフィーって仲が悪いの? 何かあったのかしら?
「もう……。」
「……。」
フィーって、なんでいつもこうなのよ……。ほら、コンジュ姉が困惑してるじゃない。
「ねえねえ、コンジュ姉。実はね、相談したいことがあるの。」
「あら急に、何かしら?」
「実はね……、『量子ビット』について、なのよ。」
えっ、ちょっとねえ……! 急に、フィーに腕を強くつかまれたわ。なによ? ……フィー? 明らかに怒っている様子だけど、一体どうして?
「ネゲート……、その話はやめるのです。」
「えっ?」
「あの……、私はここで『量子ビット』の話をしたいの! すごく興味があるのよ!」
「フィー? いい加減にしてちょうだい。コンジュ姉は『量子ビット』の話をしたいって言ってるのよ?」
「……。」
……。なんだか、フィーの様子が変よ。でも……なんで? コンジュ姉の様子からして、喧嘩しているようには見えないのに。それでも……あのフィーが、そこまで強く意思表示するなんてね。もういいわ、わたしが折れるしかないじゃない。
「わかったわよ。フィーがその気じゃないってことね?」
「はい、なのです。」
「そんな……。フィーの『量子ビット』の話……、どんなに長くてもいいから、聞かせてほしいわ。」
「いいえ、なのです。」
「そう……。私は嫌われてしまったのかしら?」
「……。」
もう……これじゃ話が進まないわ。
「コンジュ姉、今はフィーと話をしているの。だから、ちょっと待っていてね。」
「……。わかったわよ。でも……、『量子ビット』の話はどうしても聞きたかったの。ネゲート、もう一度お願いしてくれない?」
えっ……。フィーは嫌がっているし、それは無理そうね。でも……なんで? そうよね? コンジュ姉は、なぜそこまでして「量子ビット」にこだわるのかしら? ここで話せる話題なんて、他にもたくさんあるのに。
「それは無理そうね。フィーの性格を考えたら、諦めるしかないわ。」
「そうなの……残念だわ。でも、仕方ないわね。じゃあ、ちょっとあの場所に寄ってくるわ。」
……。そう、わたしに伝えた途端、この場から消えていきました。もう、何なのよ? コンジュ姉……。
「……。びっくりしたのです。」
「ねえ、ちょっと? コンジュ姉に対する態度が冷たすぎるんじゃない? 何かあったのかしら?」
その瞬間、フィーはわたしから目をそらした。何だろう、この胸に刺さるような違和感は……。




