表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

202/578

201, まあよい。心の整理がつかぬのだろう。だが、そなたは既に闇に染まった。後戻りは許されぬ。良いな?

 邪神イオタのさらなる要求を淡々とこなし、目標を達成した女神コンジュゲート。しかし、その表情はどこか冴えない。


「ご苦労だった。我らの下僕たちの腹は十分に膨れたぞ。どうじゃ? 我らの『量子ビット』と重ね合わせたことで、次期『時代を創る大精霊』と女神ネゲートに対し、軽い挨拶代わりには十分なったようだ。」

「邪神イオタ様……。」


 それから邪神イオタは、コンジュゲートをなだめるように手を動かしながら、満足げな表情を浮かべて語り始めた。


「みただろう? あれこそが我らの源……地獄の底から続々とわき上がる、『売り売り』という名のマグマが、じわじわとその熱を広げていき、その苦痛に加わる、闇には抗うことができない無力さと、『虚構』による完全な支配。それこそが、我らの喜びに変わるのだ。」

「……。」

「どうしたのだ? そうか、我らの新たなる悩みで苦しんでおるのじゃな?」

「あ、あの……、邪神イオタ様。新たなる悩み……、ですか?」


 邪神イオタは頷きながら拳を軽く握りしめ、「ああ、そうかそうか」とコンジュゲートに同調するように言葉を紡ぎ始めた。


「実は、信じ難い話が舞い込んできたのじゃ。なんと、各地で流れていた血が、止まり始めてしまった。どうやら、女神の復活祭までには、各地で流れ出る血を止めろと、大きな圧があったと伺っておる。あやつめ……『仮想短冊の通貨』だけではなく、どこまで我らの闇を侮辱したら気が済むんだ。そう思うだろう? きっと、そのはずじゃ。女神コンジュゲートよ?」

「邪神イオタ様……。それについては……。」

「なんじゃ? そうだ、それなら、そなたの見解を述べてみよ。」


 そう……、邪神イオタが鋭い目つきでコンジュゲートに問いかける。


「……。」


 コンジュゲートは、うつむいたまま、言葉を失ったかのように沈黙していた。


「まあよい。心の整理がつかぬのだろう。だが、そなたは既に闇に染まった。後戻りは許されぬ。良いな?」

「……。邪神イオタ様……。……、わかりました。」

「よいか、女神コンジュゲートよ。女神ネゲートが復活するということは、そう……。それは同時に、我も復活するということじゃ。そこを忘れてはならぬぞ。」


 コンジュゲートは静かに目を閉じ、しばらくの間沈黙した後、ゆっくりと首を縦に振った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ