201, まあよい。心の整理がつかぬのだろう。だが、そなたは既に闇に染まった。後戻りは許されぬ。良いな?
邪神イオタのさらなる要求を淡々とこなし、目標を達成した女神コンジュゲート。しかし、その表情はどこか冴えない。
「ご苦労だった。我らの下僕たちの腹は十分に膨れたぞ。どうじゃ? 我らの『量子ビット』と重ね合わせたことで、次期『時代を創る大精霊』と女神ネゲートに対し、軽い挨拶代わりには十分なったようだ。」
「邪神イオタ様……。」
それから邪神イオタは、コンジュゲートをなだめるように手を動かしながら、満足げな表情を浮かべて語り始めた。
「みただろう? あれこそが我らの源……地獄の底から続々とわき上がる、『売り売り』という名のマグマが、じわじわとその熱を広げていき、その苦痛に加わる、闇には抗うことができない無力さと、『虚構』による完全な支配。それこそが、我らの喜びに変わるのだ。」
「……。」
「どうしたのだ? そうか、我らの新たなる悩みで苦しんでおるのじゃな?」
「あ、あの……、邪神イオタ様。新たなる悩み……、ですか?」
邪神イオタは頷きながら拳を軽く握りしめ、「ああ、そうかそうか」とコンジュゲートに同調するように言葉を紡ぎ始めた。
「実は、信じ難い話が舞い込んできたのじゃ。なんと、各地で流れていた血が、止まり始めてしまった。どうやら、女神の復活祭までには、各地で流れ出る血を止めろと、大きな圧があったと伺っておる。あやつめ……『仮想短冊の通貨』だけではなく、どこまで我らの闇を侮辱したら気が済むんだ。そう思うだろう? きっと、そのはずじゃ。女神コンジュゲートよ?」
「邪神イオタ様……。それについては……。」
「なんじゃ? そうだ、それなら、そなたの見解を述べてみよ。」
そう……、邪神イオタが鋭い目つきでコンジュゲートに問いかける。
「……。」
コンジュゲートは、うつむいたまま、言葉を失ったかのように沈黙していた。
「まあよい。心の整理がつかぬのだろう。だが、そなたは既に闇に染まった。後戻りは許されぬ。良いな?」
「……。邪神イオタ様……。……、わかりました。」
「よいか、女神コンジュゲートよ。女神ネゲートが復活するということは、そう……。それは同時に、我も復活するということじゃ。そこを忘れてはならぬぞ。」
コンジュゲートは静かに目を閉じ、しばらくの間沈黙した後、ゆっくりと首を縦に振った。




