189, 今まで「雑貨」扱いだったのですから、この期に及んで仮想短冊の保有量はどうなっているのですか? ちなみに、否定的なわたしの姉様ですら最大枚数の数パーセントを手中に収めているのですよ?
チェーンを「雑貨」扱いしていた件が、いよいよ断罪されるわ。
「フィー様! これは決して、『雑貨』という概念でチェーンを扱っていた訳ではございません。」
「それなら、このような件は何なのですか?」
フィーがそう告げると同時に、マッピングに何やら……、またとんでもない件が飛び込んできたわ。同時に……わたしは大きなショックを受けたわ。何なの、これは……。
「フィー様、それはまったくの誤解です! ただ言いふらしていた者がいただけのことです!」
「いいえ、なのです。これではどの角度から見ても、いったん『雑貨』扱いとして、いずれは禁止に持っていく見通しだったとしか、読めないのですよ?」
シィーの周囲でささやかれていた噂が、ここまで届いていたとはね。あれだけ「意味深」で深い関係なら、自然とそうなるものよ。そういえば、貴賓としてシィーに招待され、喜びが顔に出ていたわね。まあ、ここに至るまでの頑なな態度から、うっすら気づいてはいたけど、こうして現実に映し出されると話が違うわね。
そこでついに、わたしは重い口を開くことにした。
「これはなにかしら? 結局、わたしのことなんてどうでもよかったのよね? わたしを全否定してたのと同じじゃない? わたしの神託は『仮想短冊の通貨』に基づいているのよ? それを知っていながら、こんなことが起きるなんて。本当に失望したわ。」
「ああ……、そ、それは……。」
「わたしか大逆の罪で捕らわれていたとき、表向きはどうあれ、胸の内では喜んでいたんじゃない?」
「女神ネゲート様! 神に誓いまして、そのような態度は一切ございません……。」
「神に誓うって? どの神に誓ったのよ? お願いだから、いい加減にして!」
女神を任されてから、こんなにつらいと思ったことはなかったわ。……。ふと気づけば、つらさでこぼれた涙が、頬を伝って静かに落ちていた。その一瞬を、フィーが鋭く見逃さずに捉えていたわ。
「ネゲート……。」
「フィー……、これは……何でもないわ。しっかり気を奮い立たせて、この状況を何とか打破しましょう!」
弱気になっている暇なんてないわ。わたしは女神よ。そしてフィーには感謝だわ。こんな姿だけは、あいつには見せたくなかったもの。
わたしは気を奮い立て、意を決して一歩前に踏み出す。
「こうなった以上は、覚悟を見せてもらわなければならないわ。」
「女神ネゲート様……。どうか我らに、挽回の機会を賜りますようお願い申し上げます。どうか、お願い申し上げます!」
「それならフィー、その表情から察するに、確認したいことがあるのよね?」
「はい、なのです。今まで『雑貨』扱いだったのですから、この期に及んで仮想短冊の保有量はどうなっているのですか?」
「フィー様……、それは……。」
「はっきり、答えるのです。わたしは保有量を伺っているのですよ? ちなみに、否定的なわたしの姉様ですら最大枚数の数パーセントを手中に収めているのですよ?」
……。それから思いつく限りの対応策を並べ、議論を重ねていくうちに、急いで対策を打たなければならない点が次々と浮かび上がってきたわ。
それらに対して、フィーがこのような取引を提案してくれるとは。これを挽回の機会と捉え、しっかりとした成果が見られれば、フィーの推薦も視野に入れると伝えていたわ。なるほど……、あの神々の意欲を奮い立たせるには良いきっかけになりそうね。




