172, ミームに夢を見た結果、この地が分断へと進んでしまうとは、なんとも皮肉。「安価な労働力」の促進によって、雇用は大きく改善しているのにね。私……女神シィーは「絶好調」よ。
はぁ……。女神ネゲートを追い込む材料を集めていたら、創造神様からお叱りを賜わってしまいましたわ。でも大丈夫。きっと、女神シィーの大活躍をご覧になって、近いうちに受け入れてもらえるはず。そうよね?
私の「推論」による政は誤りなのかしら? すでに素晴らしい成果を発揮し、その合理的な判断によって「マジックショー」による負の影響はやわらいでいるわ。
結局、「推論」という存在は常に合理的に論理を組み立て、確実な成果をその利用者に約束する。私は「大精霊の承諾を得ないまま勝手に移り住んだ民」をカネで巧みに操り利用して「時代を創る大精霊」の権力を無事に勝ち取り、そのまま「時代を創る女神」となったわ。次に、用済みとなったそのような民にはいよいよ働いてもらう必要がある。そこで、それらを「安価」に雇い入れた精霊を政で優遇することによって、そのような労働……「安価な労働力」を大きく促進することにより、市場において重要な指標である「雇用」が大きく改善していくのよ。この「雇用」って本当に大事で、雇用が大きく改善すれば「強くて当たり前の女神シィーが君臨した」という命題に対する証明になるほど、その影響は計り知れない。そして、その「強くて当たり前」の概念に力が集まり、そこに「力は正義」という概念が宿るのよ。その証拠に、実際に強い「雇用」を確認できたはずよ。ふふふ。私……女神シィーは「絶好調」よ。
ここでね、自然と「安価な労働力」に傾いていく過程が思い描けるかしら? そこは本当に大事なポイントで、これが経済の教科書なら、そこは「確実に試験に出ます」という赤いマークをつけるべき箇所になるわね。なぜなら、「大精霊の承諾を得ないまま勝手に移り住んだ民」は、その負い目から安価な労働力になる事は明白で、生活のために安価へと導かれる存在になるからよ。「推論」はそこまで巧みに計算し、この戦略を合理的判断の下で私に提案したのね。本当に優秀な相棒だわ。それにより労働の市場は安価へと傾いていきながら、なぜか「雇用」は改善する。そのような理由から「大精霊の承諾を得ないまま勝手に移り住んだ民」が急増したのは事実で、それらは私が勝つために利用され、「安価な労働力」を確立していく。最高よ、完璧! ちゃんと赤いマークをつけたかしら? 忘れないでね。
さーて、女神シィーは本物と崇められ成長する。もはや女神ネゲートの存在など忘れ去られ、そう……この地の女神は、この私……シィーとなる見通しよ。超越に近い速度で弾き飛び出る「倍精度」な論理展開……「推論」により、非合理的な要素の原因となりうる矛盾が一切生じない、この私……女神シィーによる政。完璧過ぎて怖いくらいよ。
このように、私の「推論」によって私の通貨や私のきずなを確実に保護しながら、女神シィーとしてこの地の頂点に君臨する。強いてマイナスを挙げるなら、各地で耳障りな抗議活動が頻発していることかしら? ああ、あの負け犬……、あの政敵が絡んでいるのよ。女神シィーがこの地の頂点に君臨するのなら、それはファーストを勝ち取ったに等しいはず。あの政敵はファーストが重要だと散々述べてきたわよね? そのファーストを私の手で勝ち取ると言っているのだから、なぜ抗議するのよ? 少しは私に味方しなさいよ。
それでは、女神ネゲートをどうしますか。そういえば、あの政敵がこのままでは分断すると騒いでいたので、あら……、内戦にでも発展するのかしら? それなら女神ネゲートが悪いわ。ミームに夢を見た結果、この地が分断へと進んでしまうとは、なんとも皮肉。以上よ。




