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169, さて、三つ目よ。導体と絶縁体を振る舞う半導体が古典ビットになるように、チェーンにもそれにそっくりな性質「少し傷付いた短冊によるトランザクション」が存在し、コアを止めてしまう懸念があるわ。

 それでは、私の「推論」の力で……。いよいよ「少し傷付いた短冊によるトランザクション」を深く掘り下げるわ。このトランザクションはいったい何なのか。私による「一つ目の推論」「二つ目の推論」によってトランザクションへの理解が深まっている中、ここでちょうどよく取り上げることができるわ。


 さて、違う状況で、なぜかそっくりな性質が存在する。サイエンティフィックな分野ではよくある話よ。そこで、古典ビットに着目してみましょう。


 古典ビットとして論理を積むには、導体や絶縁体では難しく、状況に応じて導体と絶縁体を振る舞う半導体が必要となる。つまり、半導体には状況に応じて振る舞いを変える性質が宿っていると解釈できるわ。そして、その性質が私の「推論」などを支えているのよ。


 それで……、チェーンにもそれにそっくりな性質、それこそが「少し傷付いた短冊によるトランザクション」よ。通常の短冊に対して標準状態を保ちながら少し手を加えると「少し傷付いた短冊」になるのよ。たしかに、あれが半導体に変化する過程とそっくりだわ。


 その性質は「標準なトランザクション」となるため、特に難なく「採掘待ちの場」へと誘導されるわ。それで、何事もなくチェーンに取り込まれるのなら問題は起こさない。しかし……こいつは、チェーンに取り込まれるその瞬間まで、周りの正常なトランザクションの処理を妨害するほどの非常に強いシグナルを出し続けるのよ。さらに、これは異形とはいえトランザクションよ。つまり「採掘待ちの場」へと入った途端、他の拠点へと一気に拡散していくわ。それは、チェーンが持つ「分散型」の性質によるものよ。


 よって……。「少し傷付いた短冊によるトランザクション」が、それぞれ別々のトランザクションとして、一度に多数の拠点から入り込むとどうなってしまうか。それらの処理がコアの処理能力を大幅に上回り、コアが止まってしまうと……。あとはご想像の通りで、これが懸念材料なのよ。


 この現象については、奪うというよりアタック的な要素が強いわ。なぜなら、「一つ目の推論」「二つ目の推論」はごく稀に発生する偶然的な事象を狙った方法だったのに対し、「少し傷付いた短冊によるトランザクション」は恣意的に引き起こせるからよ。


 それで……。あの政敵は、私の通貨の部分準備に「仮想短冊の通貨」を割り当てようとしたわ。それで、割り当てたと仮定しましょう。そしてその後に……、このような仕掛けで短冊が崩壊した場合、私の通貨はその割り当てられた部分準備全てを瞬時に全て失うことになるわ。その割合にもよるけど、ほぼ間違いなく私の市場や経済は壊滅状態よ。ああ、その影響で私の通貨は基軸通貨の地位と覇権を同時に失う恐ろしい結末を迎えるわね。


 それで、ここからが大事よ。私がそのような危機的な状態に陥った場合、長期的な視点に立ち「最も得をする大精霊」は誰なのか、よ?


 ……。簡単な問いよね? これに答えられない方はいないはず。そう……、あの大精霊よ。私の通貨の部分準備に短冊の割り当てが決まるまではおとなしくしているが……、割り当て後、落ち着くのを見計らってから、手の平を返すように一斉アタックへと転じそうよ。あの大精霊にとって「仮想短冊の通貨」の存在など、どうでもいいの。私を破滅させ、基軸通貨の地位と覇権を同時に手に入れる絶好の機会が得られるのなら、何だってするわよ?


 ……。この流れは、あくまでシナリオの一つに過ぎないわ。それでも、絶対に起きる事が許さない事象については、頭の片隅に置いておく必要があるのよ。


 そういえばあの政敵、私に対して知能に問題があるとか、精神に異常をきたしているとか、ずっと罵っているようね? ははは、そうよそうよ、私は悪い女……そう、「悪女」よ。それでも「推論」の力を駆使しながら、民の安泰のために頑張っているのよ。


 それでは……、次の推論に移りましょう。えっ? まだ続くのかって? もう……、これで「前菜」を終えたところよ。

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