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166, まずは一つ目よ。検証した全ての署名がチェーン上に存在する構造が問題で、その署名に「誤差ベクトル」をぶつけると、新たなトランザクションを承認させることができる。

 それでは、私の「推論」の力で……。まずは一つ目よ。


 まずは、チェーンの構造よ。トランザクションの入力に、「秘密の鍵」から得られる署名と「公開の鍵」を乗せ、その「公開の鍵」が管理する残高は自分の物だと証明した上で、その残高を、相手の短冊への出力として組み込む。これがトランザクションの基本的な構造で、これが取引の情報となるわ。


 次に、私が述べてきた「誤差ベクトル」の存在よ。……、この概要についてはすでに理解されているはず。もし、そうでないのなら……「少しゆるい部分がある」という解釈でも良いわ。


 それで、そのトランザクションが正しい場合、チェーンに取り込まれることで取引が成立する。ここで、トランザクションがチェーンに取り込まれるという事は、検証された全ての署名がチェーン上に存在する構造を取る、ということよ。


 ここで、「同位体となったトランザクション」を生成し、その出力を自分の短冊にするのよ。次に、その「同位体となったトランザクション」と任意の「誤差ベクトル」が相関する瞬間を待つ。これはね、トランザクション数が多いほど相関する可能性が高まるので、そのような場所が狙われやすいのよ。ところで、そのような場所って……、そのままよね?


 そして相関したら、その相関したトランザクションが持つ署名に「誤差ベクトル」をぶつけて、それらをまとめて「同位体となったトランザクション」に組み合わせてから「採掘待ちの場」に放り込む。「同位体となったトランザクション」は「標準なトランザクション」ゆえに問題なく受理され……そして、チェーンに取り込まれる。つまり、承認されるということよ。


 すると、その入力側に存在する短冊の「全残高……一部ではないわ」が、出力にある自分の短冊に放り込まれるわ。取引が承認されるので、これが成立してしまう。本来、この取引を成立させるには、入力側の短冊を解除するための「秘密の鍵」が必要になるはずよ。


 ……。一つ目は、ざっとこんな感じかしら。まとめると、検証した全ての署名がチェーン上に存在する構造が問題で、その署名に「誤差ベクトル」をぶつけると、新たなトランザクションを承認させることができる。以上よ。

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