155, あんた、負けるわよ? わたしは誰と討論していたの? まだ不器用でも、自分の言葉でぶつかってくる勢力側に、わたしはつくわ。
シィーさんに「シィー側の勢力に入れ」と促されたネゲート。ところが、どうやら不満そうな表情を浮かべています。
「わたしは有効な対処法を伺ったのよ? 『無尽蔵なエネルギー』は……、今度でいいわ。」
「女神ネゲート様。私は、あなたの姉……女神コンジュゲート様の無念を晴らす絶好の機会を提案しているのよ?」
「わたしの使命は『仮想短冊の通貨』を根付かせることよ。『無尽蔵なエネルギー』ではないわ。」
シィーさんの提案を頑なに拒絶するネゲート。
「女神ネゲート様。今なら、『無尽蔵なエネルギー』は好機よ。地の大精霊も弱っていますし、ここで出せば、きっとうまくいくわ。」
「そう……。それも『推論』の指示?」
「そうよ。」
「わたしが折れるまで、有効な対処法を伝える気は無いようね?」
「……、そうなりますわ。私は勝つためにあらゆる手段を講じているのよ。」
「それで『推論』の力を借りたの?」
「そうよ。」
「その『推論』の合理的な損得勘定で、わたしが折れるまで有効な対処法を伝えてはならないと、指示されたの?」
「……。」
シィーさんは目を丸くして、驚いた表情を浮かべています。
「あんたね、『推論』は便利かもしれないけど、このような場面には向いていないわ。それで民の心を開けるのかしら?」
「……、『推論』を否定するの?」
「そうではないわ。『推論』は合理的な判断しかできないから、そう……、このような場面では相手の心を開くことができないのよ。いま、わたしの心は閉ざされているわ。そんな条件ではね?」
「どうしてあなたは……、いつもそんな態度なの?」
「あんた、負けるわよ? わたしは誰と討論していたの? まだ不器用でも、自分の言葉でぶつかってくる勢力側に、わたしはつくわ。」
……。次第にシィーさんの力が抜けていくのがわかった。肩は重く垂れ下がり、目からは光が失われていく。ついに耐えきれず、足の力が抜けるようにしてその場にしゃがみ込んだ。