139, 女神シィーとして、順調な滑り出しとなった。唯一無二な存在なんだと実感させてくれる。とても素晴らしいわ!
私……大精霊シィーは、本日、正式に女神シィーに昇格したと表明し、「自由と楽観の女神」として善良な民に温かく迎えられ、良好な指標も相まって、順調な滑り出しとなったわ。
その結果、激戦の地域でも私の支持が上回ってきたのよ。そしたら、腐った女神を懐柔して余裕をかましていた私の政敵が、急に私の事を批判し始めたのよ。ほんと、とてもわかりやすくて、その瞬間……、久々の安堵感に包まれましたわ。
さて、これから「大精霊の推論」で思考を整理整頓よ。その稼働も順調そのもので、出力を一割上昇させて三割になったばかり。心配の種だった温度は特に問題なく、推論の度に、このような驚異的な演算を他に生み出せる者はいない、唯一無二な存在なんだと実感させてくれる。とても素晴らしいわ!
それでね、民からのご要望をさっと推論するのよ。最良の解決策を瞬く間に導き、女神として、「自由と楽観、強くて当たり前」の概念でこの地をしっかり導いてみせるわ。
ただし……、民の半数近くが「仮想短冊の通貨」に対する方針を重要視するという調査結果が舞い込んできたのよ。もうね……、腐った女神の置き土産がこのような形で現れた。
それでも、特に問題はない。もともと私を支持してくださる精霊の配下の方々から、演算用古典ビットが続々と集まってきているからよ。ちなみに、私が演算用古典ビットを集めているという噂は流しておいたので、腐った女神は今ごろ勘付いて、おろおろしている頃合いかしら?
あのような変わった仕組みに対しては視野が狭くなりがちで、私も量子ビットばかりに注目てしまい、結果として事の本質を見抜くには至らなかった。それが「精霊の推論」で徐々に視野が広くなっていき、「大精霊の推論」であらゆる問題が見渡せるようになったわ。
それで、私が「仮想短冊の通貨」に対して未だ方針を示せていないのは、部分準備に「仮想短冊の通貨」を割り当てることに対するリスクを見極めるためよ。そうね、さっさと割り当てると公表すれば若い民の票なんて簡単に手に入る。推論の結果に触れるまでは私もそのような浅はかな考えだった。でも、本当にそれで良いの? 推論によると、部分準備に割り当てた「仮想短冊の通貨」が万一奪われた場合、どのような結果に至るのかを十分に考慮せよ、とあった。それは……、大変なことになるわ。通貨危機を引き起こし、市場は大混乱、そして……。つまり、奪われる事だけは絶対に許されない、それが部分準備に「仮想短冊の通貨」を割り当てるという事よ。それなのに、腐った女神と私の政敵は、どうせその場の勢いだけで割り当てると言い切ったわ。
そこで、演算用古典ビットで私が何をするのか。事の本質は量子ビットではなかった。そう……、部分準備の割り当てに耐えられるのか、それを演算用古典ビットで調べ尽くす事だった。それなら超越な演算など不要。調べるポイントがあるのよ。それらを演算用古典ビットで調べ尽くす。それが女神としての使命よ。