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137, 今度は何? 「コピートレード」と呼ばれるスキャムが「仮想短冊の通貨」を中心に、若い民の間で急増していた。その被害額は相当なようね。

 女神に昇格したことで、多方面の思考に目覚めていく私……シィーです。思考の整理整頓が進み、情報過多が取り除かれていくにつれ……、本来の私自身を取り戻してきた所よ。


 結局、短期間で色々な事が起き過ぎて心に余裕が得られず、その閉塞感から政がほとんど進まなかったという反省点がみえてきたの。これでは民の信は得られない、当然よね。そこで、労働環境の改善など、生活に直接関わる部分から少しずつ直していく点について、民と固く約束してきたところよ。結局……、初心に戻るだけでも、若い民の票は戻ってくるのね。


 やっぱり……、私、どうかしてた。善良な民を隷属にしてしまう「錆びついた工場」を放置し、「光円錐の中をただ駆け巡るだけの人形」の件を大精霊の正義として強引に推し進め、よくわからないものを、よくわからないまま承認してしまった。


 そのような状況下であったためか、新たなるスキャムが「仮想短冊の通貨」の間で横行し始めていたのよ。それは、マッピング経由で「トレードに精通した精霊を真似るだけで毎日このような儲けを誰でも得られる」という怪しげな勧誘が、毎日のように群がってくる、そんな手口。


 それでね、トレードに精通した精霊を真似るという行為を「コピートレード」と呼び、信徒を集めている。そんなスキャムに仕上がっていたわ。普通、そんなのに騙される? そう考えたくなる気持ちはわかるわ。こんなにも怪しいのに……。ところが、その被害者は経験が浅い若い民なのよ。言葉巧みに騙されてしまい、気が付いたら「コピートレード」から抜け出せなくなった。そんな展開かしらね。


 実際にコンタクトを取った調査担当の精霊の話では、そこで「コピートレード」を希望すると、是非ともトレードに精通した精霊と一緒に儲けましょうという威勢の良い掛け声と共に、コピーする精霊を紹介されるのよ。これね……、「このアドレスに送ってください」という古典的なスキャムが通用しなくなったため、考え抜いた新たなる手口よ。


 それでね、コピーするのだから、自分の損はその精霊の損でもある。それなら、儲けに導いてくれるであろう。そのような考えから安心感を与え、そこに「機会損失の恐れ」という便利なフレーズを連呼し、この誘いに乗るように仕向けてくる……。


 このスキャムの基本的な仕組みは、買いから入って自分の損が一だった場合、コピーなので、その精霊の損も一になるわ。ところが、その精霊は事前に三を「売り売り」しておくのよ。するとどうなるかしら? その精霊は買いが一で売りが三、つまりその差となる二を確実に儲けることができるの。ひどい話よね!


 そこで、流動性が大きい場合はより多くの犠牲者を必要とするわ。それゆえに、この手口は勧誘が本当に強烈で、ブロックしないと毎日毎日しつこく誘ってくるのが止まらない。とにかく犠牲者を増やせと、上からのご命令なのかしら……? これね、部分準備の話が出始めた頃から急増していて……、そこにフェイクなボリュームが重なると……?


 だいたい、そのコピー対象として紹介される精霊が実在するとでも? 「精霊の知恵」あたりを悪用したお粗末なボットでしょう。そうよね? そんなボットに毎日、大切な財を抜かれていく生活が「コピートレード」よ。


 こんなのは「大精霊の推論」による推論で導かれた、演算用古典ビットによる……で、あの腐った女神との決着をつけるのみよ。そのための話は順調そのもので、すぐにでも演算用古典ビットが私の手元に集まりそうだわ。うん、完璧。今後も私の時代で確定したわ。覚悟しなさい、女神ネゲート様。別に、量子ビットなど必要なかったなんて、意外でしたわ。

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