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133, あれらはマジックショーだった事が、ばれたの? そんな……。私に逆らうなんて……。それに独占疑惑まで? ……。

 腐った女神からの狂気な招待? 私の政敵が意気揚々と登壇する仮想短冊のイベントに参加しろと? そんなイベントに私を呼ぶなんて……。あの女神は……。すぐにお断りいたしましたわ。そんなもの……。


 ところが、そのイベントをマッピング経由で観た瞬間、私は信じられない思いで胸が張り裂けそうになったわ。どのような視点を持てばそのような大胆な言動に至るの? あの政敵は「時代を創る大精霊」から「仮想短冊を刻む大精霊」への転換を目指すと断言し、強くて当たり前の大精霊……ファーストを目指すって。


 冗談よね? ……。伝統的な「大精霊の通貨」や「大精霊のきずな」を捨てるということよね? ほんと、信じられない! 伝統的な取引に重みを置く現職の「市場の精霊」だって困惑していたわ。


 唯一の希望は、相変わらずお調子者だった、それだけ。いつものペースで問題のある発言を繰り返していたようだけど、それでも風向きは一向に変わらず、私の中に宿っていた唯一の希望は、ゆっくりと消えていった。


 そして……。腐った女神が笑顔で登壇。あの腐った女神め……、己を……だと勘違いしているのかしら? 軽く会釈し、わざとらしく小さく手を振ると、会場から歓声が沸き起こったわ。いったい何、あれは! 何なの!


 それだけではなく、首元にある古傷を披露したのよ。何、あれは! そんな傷があったなんて。後先考えずに今でも信じがたい「仮想短冊の神託」を下賜する腐った女神らしい傷跡だったわ。そんな事を繰り返しているようでは、いつかは消滅する。命がいくつあっても足りない状況と一緒よ。


 ところが、あんな……発見器な集まりの会場でそんなものを公にしたら、もう……。会場の熱狂は限界を遥かに超え、その歓声は空の彼方まで響き渡るかのようだった。そこに私の政敵が乗っかってきて、私を倒した暁にはすぐさま「市場の精霊」を総入れ替えするという暴言まで吐いたわ……。


 こんなのは夢よね? そう思いたい。何度も頬をつねって確認したわ。ところが、どうやらこれが「大過去」から映し出された「現実」だった。どうしてこんな事に? 私……もう、流す涙すら……。


 それで、こんな状況でも、私が優勢なわけ……? そう、妖精たちが私を推しているのでマッピングの放映はほぼ「シィーが優勢」で染まっているわよ……。新たな風が吹き始めたとか、賭けでは私の勝利がリードしたとか、新興が私を支持し始めたとか……。そうではない。違う……、絶対に違う! あの方は勝てると私を励ましてくれた。でも、このままではヒストリーに汚名を残すほどの「大敗北」となってしまう。それくらい、私だって……。


 ところが、悪い事は重なる。私が女神に昇格するために育てているこの地最大の銘柄に独占疑惑が浮上したのよ……。競争相手を排除し、独占しながら不当な利潤を享受しているではないか。そんな疑惑よ。誰よ、告げ口したのは……。私が弱った所を狙ったのよね? それとも私を裏切った精霊が……。


 もう! 私が心から信頼を寄せるあの方と落ち着いて対処するしかない。


「独占疑惑浮上の件、伺ったわ。ここは耐えるべきよ。何が独占よ……。私に忠義を誓ったのだから、それ位は当然でしょう。その証拠に、その銘柄の精霊より『チェーンなど全く役に立たない。仮想短冊の通貨など、なぜあのような腐った異物が存在してしまうのだ』という美しいご意見を受け取っているわ。どうせ、その恨みも含めて女神から告げ口されたのよ。あの女神は本当に救いようがない。私が女神に昇格することを全力で阻止してくる。そうよね?」

「大精霊シィー様。実は……。」

「何かしら? ためらうなんて、あなたらしくもない。」

「大精霊シィー様。それよりも重大な事象が引き起こされてしまいました。」

「えっ? 何よ、それ?」

「大精霊シィー様……。マッピングで雇用をご拝見ください。」

「えっ? 雇用をみるの? あなたの『マジックショー』のおかげで、私の地域一帯は絶好調、雇用も問題なし、私の通貨は買われ続け、きずなも元気よ! 私が敗北する未来なんてあり得ない、想像もできない。つまり、私が敗北するという観測はあり得ないと結論しているのよ。よって、私は勝つわ。そうよね? そうよね……。」

「大精霊シィー様、そうではなくて……。私の指示に従わない精霊が出始めてしまい……。」

「ちょっと待って、何よこれ? えっ……。」


 そこには……、信じがたい数値が並んでいたわ……。


「大精霊シィー様……。」

「これ、発表されたのよね?」

「大精霊シィー様……。すでに発表済みでございます。」

「こんなの出したら……。私の通貨はどうなってしまうのよ! 売られるでは済まないわよ?」

「大精霊シィー様……。落ち着いてください。『マジックショー』のサイドエフェクトにより予想が高過ぎてしまい、その差が大きく開いております。よってこの問題を先に何とか対処すべきです。独占疑惑の件は、その次で十分です。」


 ああ、混乱する。どうしたら良いの……。そっか。本来の雇用はこれで合っていて、その差分は「錆びついた工場」の奴隷雇用などで……。そんな痛い所を突いてくるなんて! 腐った女神め……、ここまでやるとはね。もう、こうなったら……。

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