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119, 「大精霊の推論」で、創造主が「大過去」に隠した多元宇宙の叡智を現実に映し出す。精霊に宿る好奇心が、私にこの役割を強いる。その使命を担うのは、そう……女神シィーよ。

 創造神様。間もなくです。私……シィーは女神になります。


 私……シィーは「大精霊の推論」の力を継承し、女神になる。ところが、抜かりなく進んでいたこの計画に、ある一つの壁が立ちはだかった。それは……私のかわいいフィーが、この計画に異議を唱えたのよ!


 私に女神の力……「非決定性の演算」の力は宿っていないの。だから、女神になるには、この方法しか残されていない。それを真っ向から反対するなんて。私に……女神になって欲しくない。そうなの、フィー?


 まだ誰も見たことも触れたこともない、創造主が「大過去」に隠した多元宇宙の叡智を現実に映し出す。それを女神シィーの神託としてこの地に下賜するのよ。精霊に宿る好奇心が、私にこの役割を強いる。その使命を担うのは、そう……女神シィーよ。これのどこに問題があるのかしら? 私は……この地のために女神になるのよ? この荒れ果てた環境に対する最後の手段とみているのよ? 今、手元にある「人や精霊の叡智」では、すでに手に負えないのよ? どうして、この計画に反対するの?


 そうね、フィーには昔からちょっと排他的なところがあったわ。その悪い所が出てしまったのね。そう考える事にするわ。


 ところで、そうよ。そう、「ゆるゆるな女神」を崇めるあいつらよ。私は、あのような毒は、毒にしか制することができないと考えたの。そこで、この地の嫌われ者……「天の使い」を大精霊の書で焚きつけたのよ。これがなかなかの毒で、それでね、マッピングで「空売り」と検索すると、「売り売り」した者たちの一覧が出てきて、もう、これで……しょぼい「売り売り」のあいつらか! そうなるわよね? もちろん、私の頼れる精霊の名もそこにあるけど、「売り売り」の額の桁が違うのよ。


 でもね、「天の使い」は嫌われているけれど、その行動は非常に論理的よ。私のきずなについては黙って買っていくし、そのあたりの要領の良さは、本当に完璧。私についていけば、食べていける。そこをしっかり理解しているのよ。


 あーあ。それに対して、私の政敵については本当にうんざりしているのよ。だって、民の意見を集約する議場に支持者を突入させる前代未聞な件を引き起こしておいて……あの態度。「大精霊のきずな」を否定する反資本主義的な概念に加え、そのような件から、民を主とする概念まで否定したのね。これではそのうち、地の大精霊を主と崇めそうな闇に包まれているわ。わかっているとは思うけど、地の大精霊に、民を主とする概念なんてないわよ? ラムダの時代を思い出す事ね。


 でも、そこでふと一つ疑問が飛び出たのよ。当然、その件を引き起こした支持者たちだって拘束されたわ。それで、いくら支持者でも……そこまでするかしら? すでに、そう……。その頃から、あの政敵は「ゆるゆるな女神」の大司教のような立場だったと仮定すべきね。そう考えるとね、怖いくらいに、あの政敵の行動がすべて論理的に合致するのよ。その件の場合、大司教に指示されたら、その信徒は、それを教えとして、絶対に断れない。そういうこと。


 そうなると、あの政敵の上を精査する必要があるわ。そう……枢機卿の存在よ。大司教であっても、枢機卿には逆らえない。つまり、その枢機卿に私のきずなや資本主義を破壊せよと命じられたら、そのような行動に出る可能性が十分にあるということよ。実際、その観点からあの政敵の行動をみてみると……、あったわよ。私の通貨を危険にさらす、あの行動……。それまで積み上げてきた利率の出口戦略をすべて破壊し、その後……どうなった? そうよ、その後、「仮想短冊の通貨」が急騰したのよね……。さすがに私の政敵とはいえ、そこまで疑いたくはないわ。でも、地の大精霊が私の通貨を終焉させる目的で、私の政敵を利用し、この地に仕掛けた「大精霊の通貨」に対する謀略だとしたら……。そう考えると、それまでに起きた事象が綺麗につながる怖さがあるのよ。とにかく、精査よ。


 このような事情から……、創造神様、私は女神になるわ。それしか、この地は残せない。


 その私が女神としての最初の神託は……すでに決めてあるの。さて、今ごろ……「ゆるゆるな女神」は何か策でも講じようと足掻いているのかしら? でも、ゆるゆるだから、あの女神は……、案外気にしていないかもしれない。実際、フェイクが出ても、そのまま放置され、それが投資家に提供されてしまっている状況だからね……。この状況、信徒ならすでに理解しているので被害は最小限だけど……、何の説明もないまま仮想短冊に放り込まれた新参者は、必ず痛い目に遭わされる。よく「仮想短冊の通貨」で「ほぼ瞬時に全額を失う、額が大きいスキャムな被害」が生じてしまうのは、これが原因なのよ。その被害者は、信徒ではない、右も左もわからない新参者のはずよ。


 でも……、そのゆるさは直さないと、ダメよ。そのゆるさを直し、フェイクをやめて、地への完全依存をやめ、民を主とした自由で、大精霊のきずな、大精霊の通貨、そして資本主義を尊重しながら「仮想短冊の通貨」を女神ネゲート様のご神託としてこの地に下賜するのなら、わたしは女神ネゲート様とご一緒に、この地で共に成長する選択肢も残しておりますわ。

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