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【1】
……光が溢れ、闇が消滅した。
空には雲一つなく、ただ太陽だけが穏やかに輝いている。
絶好の洗濯日和、これ以上ないくらいの最高の晴天だ。
まだ寝呆け気味のぼんやりとした頭で、そんなことを思う。
風に揺られた草が、頬にチクチクと悪戯を仕掛けてくる。
緑の爽やかな香りが、鼻孔をくすぐる。
目に映るものは、空の青と草原の緑ばかり。
目覚めると、僕はそんな緑あふれた風景の中に埋もれていた。
やわらかな陽射しが身体に降り注ぐ。
ぽかぽかとして暖かかった。
あまりの心地好さに、起きる気がしない。
「ふわあぁぁーー……」
目覚めたばかりだというのに、大きな欠伸が零れる。
まあ、いいか……。
このまま、この気持ち良さを享受しよう。
もう一度、眠ってしまう。
心地好い睡魔の誘惑に心を委ねる。
午睡の世界へ向けて、再び瞼が閉じていく。
けれど……。
…………僕は気づいた。
────僕は……誰だ?