表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

はい、プロローグね

ーーー乙女ゲーム、というのをご存知だろうか。


一般的に言えば、女性を対象とした恋愛シュミレーションゲームで、主人公、俗にヒロインと呼ばれる女主人公が男性キャラクターを攻略し、恋愛シュミレーションを楽しむという旨である。

私の偏見を含んで言うなら、キラキラした世界で、スクラロースよりも甘ったるい恋愛、それも画面の向こう側で行われる物語をただ見るだけのゲームであるが、妹にそれを言うといつも頭を叩かれた。


だが、こんな私でも乙女ゲームを舞台とした小説を読んだことがある。妹に勧められて読んでみたそれの内容は、悪役令嬢に転生してしまった主人公が、どうにか自分が断罪されないことを目指して、フラグを叩きおりつつ人生を謳歌するというものだった。

さて、そんな物語には、本来ヒロインであった者がいる。そのヒロインも、所謂前世の記憶を所持した転生者で、自分がヒロインであるため、なんでも許されると勘違いし暴走した彼女は、結果最後に悪役令嬢に逆に断罪される、という内容だった。


さあ、察しのいい人にはもう分かるだろう。


私は、そんなヒロイン役の悪役令嬢に転生した。


よく、頭を打って前世を思い出す、という設定をよく聞くが、私はそうではなく、成長し、自我が芽生えるのと同時に前世の記憶も徐々に蘇ってきた。

気分?勿論最悪であるーーーとは、言い切れなかった。

なんせ、ヒロイン役の悪役令嬢である彼女ーーーいや、私、シャーロットはとんでもなく美少女なのだ。


しかも、私は設定上、聖女の生まれ変わりで、聖女の力を引き継いでいる。最終的に、あまりの性格の醜さから女神に見捨てられ、聖女は悪役令嬢役のヒロインであるスカーレットに任されるのだが、今は私が聖女のため、道を歩けば花が咲き、座ればナンパ、立っても小鳥達のキスの嵐。いや、あれほんとつつかれるのさ、痛くはないけど臭いから勘弁してほしい。


犬も鳥も人間も、私を一目見れば目をハートにして手に入れようとしてくる。魅了の魔法でも無意識に使ってるのかと疑念を抱いても、魔力は感じられないし、強いて言うなら溢れてならない聖の力が鬱陶しい。

なんでも、先代の聖女がとんでもなく聖なる力を秘めていたが、ストーカー男に16の時殺されてしまい、莫大な量の聖なる力が私にそのまま授けられたのだという。まあ、最終的にはスカーレットの物だけど。


それで、今年16になる私には重大な問題、あるいは危機が迫っていた。


ーーー魔法学院入学イベント、である。


私は平民で、雑貨店の経営をしている両親の手伝いをしている。

手伝いといっても、私が一言呼び込めば、男女問わず高い品を競い合うように買って行ってくれるので、その場にいるだけで儲かる。なので、私達一家は平民だが、平民にしては余裕を持って生活している。


最近の私のお気に入りの場所は、近くの孤児院である。

今も、その孤児院に行くため、花を咲かせながら道を歩いている最中だ。


「ねえ、俺とお茶でもーーー」

「結構よ」

「それなら、アタシの家にーーー」

「遠慮するわ」

「ワン!!ワンワン!ハッハッ」

「あっちへお行き」

「ピピピッ、ピピッ」

「…」


うんざりしながら、やっと孤児院につく。

ボロい教会を孤児院として使っており、色あせたステンドグラスからしか光のささない先に、彼はいた。


「ーーーあら、また来たのね、シャーロット。」


白いシャツと、白いズボンに身を包んだ男性。

糸のように細く、黒く染まる髪が淡い光を受けて輝き、空の青とも、海の青ともまた違う碧眼が、わたしを見つめていた。


女口調で話す彼は、この孤児院を経営している張本人で、私のーーー、


「来てあげたのよ。この世界一の美姫がね。」

「ったく。生意気だこと」


ポンと、彼の手が私の頭の上に置かれる。

自身の淡い金糸の髪が、さらりと揺れた。ほのかに香った石鹸の匂いが、鼻を掠める。

途端に、私の思考は真っ白になった。


「〜っ!!気安く触るわじゃないわよっ、私は世界一の美少女なんだからっ」

「はいはい。」


真っ赤に染まったであろう顔を伏せながら、子供達の元へ向かった。


彼は、彼はーーーそう、わたしの、初恋の人であり、今もなお慕う愛しく恋しい男性(ひと)である。




ーーー「クソガキ共、来てやったわよ!世界一の美姫がね!!」

「あ、クソ婆だ!」

「クソ婆を退治しろー!!」

「シャロン、お姫様ごっこしよー!!」

「歌ってー!!」


「もっとわたしを敬いなさーい!!わたしは、聖女なんだからねっ」


そして、いつか、彼と結婚したら、あんた達の母親代わりなんだからっ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ