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白汀
飛び立ったガザは、デコを沈め深い霧を天空高く突き抜けて行く。
………………
風と風が交差を繰り返し視界が狭まる。
数キロ……いや数十キロか…………
突き抜けたその先、深紅の雲跡ひとつない青空が広がる。
ギエエ!ギエエ!ギエエ!
ガザのそのとりつかれたような奇声の意味は、すぐにその姿を軽々と天空へとあらわす。
………………
丸みをおびた繭かのような柔らかそうな頭部。ゴツゴツした光沢ある爬虫類のような白い皮膚。押し潰され、追い詰められそうな黄ばみがかった黄色眼。まさに太古の昔より忘れられた異物。
「おいおい!ここ上空なんメートルだよ!」
ノロりと覗きこむかのように雲の上へ顔を出した白汀。
白汀は、ゆっくりとその恐ろしく割れた大きな口を分け隔てなく平等に大きく見開く。
ギエエ!ギエエ!ギエエ!
「ま…………もちろんそうなるわな…………」
強者に補食されるそれは、どこか壁を突き抜けるような、そして黒くどこまでも黒く………………
ギエエエエエエ!?