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向かう

その山は、人類未開の地とされ、いつもヤバいくらい真っ赤な果実のように熟れ(モエ)続けていた。


通称 カチカチ山。


そのカチカチ山を取り囲むかのように、その湖は、白い湯気をはなち地平線の彼方まで広がる。


その光景は、普段悪い妖怪にでもとりつかれたかのような、欲にかられよごたおれの汚い目さえもかすみとるかのようにそこに鎮座し続ける。


………………


私ことバーンバードは、今、みる目も遠くその湖のほとりに立ち尽くしている。


「さて…………あれをどうしたもんかね…………」


その湖には、白汀(ハクテイ)といわれるバツの悪い湖のヌシがいる。


それは、ひとことでいってしまえば、そこらじゅうの山の物であろう瓦礫を背に背負う白く巨大な大亀。


普段それは、濃く白い靄の中、ゆっくりと緩く悠然とそこに鎮座する。


だがひとたびそこに、無知な生物を確認した場合、獣の本能を剥き出し、喰らい尽くすとされる。


………………


元の問題は、もうひとつある。


わたしの日頃のおこないよく運よくその亀をスルーしたとしよう、だがその先、湖の温度は、接触80度近くにあがるとされる。


「………………」


まさに私は、今、お先真っ暗ならぬ真っ白な状況下。


「ふう………………くるか来ないか…………少し待つか」


私は、そこにある座り心地が悪すぎて早く忘れてしまいたいような石に腰をかける。


………………


それからまるっと私は、どれぐらい待っただろうか………………


そこは、深い霧におおわれ、音は、おもに無音だ。


………………


過度に時間が気になる。


………………


感覚がもたつくような感覚。


………………


あたりの靄と行く末を見詰め融合していく自分…………


ギエエ…………ギエエ…………ギエエ


遠くの空、咳き込むような耳障り奇声。


「お!?まぐれで戻ってきたか!?」


わたしの日頃のおこないが、いいのか悪いのか私の今回の作戦のキモがようやく戻って来てくれたみたいだ。


ギエ……ギエ


麻赤(アサアカ)の大怪鳥ガザ


数年前、ある谷の街で拾った、飯だけ以上に食うありがた迷惑な大怪鳥。


ギエ……ギエ……ギエ


「…………なんだお前またどっかの誰かに煮て喰われそうになって逃げ帰ってきたのか?」


ギエ…………ギエ…………ギエ


「………………」


こいつの今、言いたいことは、いやというほどわかる


獣の競り合う本性。


オレなんかよりはるかにこいつののうがあの山への渡航のヤバさを今生の別れなみに理解していよと思う。


ま…………でもさ…………


私は、ガザの背にある私の席へと腰りおとす。


「さあさあお立ち会い!?これより向かう火の山は、さて天国か?はたまた極楽か?行って見ましょうよ!そこに面白みがあるかぎりは!?」











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