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爆弾拾いがついた嘘 【旧バージョン】  作者: 生津直
第3章 血の叫び
71/116

71 悩み

 新藤との間では、毎日のように対策会議を繰り返していた。


「同期合格のうち七人に連絡を取って、これまでに埜岩(のいわ)から受注した仕事内容を聞いてみたんですけど」


 一希の受注状況が平均よりも著しく低いことがわかれば、埜岩にそれを指摘し、もっと使ってくれと交渉できるかもしれない、と考えたのだ。


「なるほど。情報で武装するってのは賢明だ。まずは景色が見えんことには話にならんからな。で?」


「デトンかザンピードの補助はゼロから三件、探査が二、三件って感じです。あとはマリトンの補助経験者が一人いました」


 マリトンはデトンの小型版といったところで、五百キロに満たないものを指す。


「合格から三ヶ月で補助三件は怪しいな。単なる見栄じゃないか?」


「ああ、それは確かにあり得ますね」


 さも活躍しているふりをして何人かが実務歴を誇張したとすれば、多少様相は変わってくる。


 ちなみに、オルダは安全化に関わる要素全てが凝縮されていることを理由に中級の試験科目に含められているが、実際、普通は補助士には回ってこない仕事だ。つまり、日常的に解体に(たずさ)われるのは一希の唯一の特権だといえる。しかしこれはグレーゾーンゆえ、誰にも自慢するわけにはいかない。


「まあ正確な平均値は調べればわかるが、そこまでする必要もないだろう。現時点で大型の補助一件は妥当と見てよさそうだな。それはそうと、現場はどうだ?」


「はい、見学も含めて、毎回とても勉強になります」


「そんなことを聞いてるんじゃない。何か困ったことはないか?」


「いえ、特に……」


「何もないってのか。どんだけ運がいいんだ」


 だめだ。見抜かれている。一希は一応無難なところを白状する。


「まあ、(さげす)むような目で見られたりとか、補助できそうな場面でもほとんど手を出させてもらえなかったりは多少……」


「目つきはまあ生まれつきだとでも言われればそれまでだな。補助範囲に関しては、たとえ不当だとしても残念ながら処理士の裁量に補助士は逆らえん。あとは?」


 しばし考えるふりをし、曖昧に首をかしげてごまかす。


「それ、ぐらい……ですかね」


「迷彩服の若いのがぞろぞろ見学に来なかったか?」


「……よくご存じで」


「俺の探査にも来たからな。来月辺りまでは何度か見かけることになるらしいが、今年の奴らは特に行儀が悪い。目に余る部分はその場で注意して埜岩にも苦情を言っといたが、あの分じゃ改める気もなさそうだ。大方、入隊して基礎訓練を受けたっていう経歴が欲しいだけの腰掛け連中だろう」


 実を言うと、一希にとって目下(もっか)最大の頭痛の種が彼らだった。その「目に余る」振る舞いを思い出すだけで怒りと悔しさが湧き上がる。


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