第68話~決着~
落ちていくトウガは何も出来ないからね。
弓の雨を降らしてやろう。
「強弓術Ⅴ・流星弾!!」
斧を上に構えて盾代わりにしたぞ。
それでも少しは当たったみたいだけど。
お次は懐かしのこの技。
「ファイナルイレーズブレイド!!」
人狼族のソウガが放った技だ。
名前が似ていたから思い出せたよ。
しかし
「見掛けによらず素早いね。」
「私の斧を粉々にするとはな。
だが、今度のはそうはいかんぞ。」
何もない空間から金棒を取り出したぞ。
正に鬼に金棒って奴だね。
でも俺が負ける理由はないね。
となると
「はるかの事を話せば見逃してやるけど?」
「魔王様を知っているだけではなく、
呼び捨てとはね。」
「お前よりも深い仲なんでね。」
「魔王様と仲の良い人間なんて
聞いた事がないな。
一体何が目的だ?」
俺に興味が出てきたのかな。
見た目に反して意外と話せる奴なのかも
知れないね。
「ただ、前の様に話したいだけだよ。」
「・・・まさか魔王様は元人間なのか?」
「いや、元から魔族だよ。」
「ますます分からんな。
人間と魔族に接点があるとは思えんが。
ただ・・・」
「ただ?」
「仲間になれば会わせてやる。」
「仲間ねぇ。」
「難しくは無いぞ。
魔の力を求めれば魔族になり仲間になれる。」
「魔族化・・・ね。」
「簡単だろう?」
「俺は俺のまま、はるかに会いたいんでね。
遠慮しておくよ。」
「残念だな。」
「俺からも聞いておこうかな。
出来ればはるかの部下を殺す事はしたくない。
はるかが何処にいるか教えてくれれば
俺はこのまま立ち去るよ。」
「主を裏切る真似をする様に見えるか?」
「見えないね。」
「だったら答えは分かっているだろう?」
「残念だ。」
「さあ、お喋りはこれで終いだ。」
「そうだね。
オールサウザンドソード!!」
「なに!?」
「長いお喋りの間に準備させて貰ったよ。
・・・これが最後の確認だ。
はるかの居場所を言うつもりは・・・?」
「ない。」
「本当に残念だ。」
トウガに全属性の千の剣が降り注いだ。
トウガは金棒を振り回して打ち落とそうと試みるが
数十本打ち落とした所で剣がかすめ始め、
百本程降り注いだ頃には剣が体に突き刺さった。
加減はしてるから死にはしないだろうけど。
「決着は着いたな。」
「・・・貴様は強すぎるな。
ますます魔王様に会わせる訳には行かない。」
「死んでもか?」
「死んでもだ。」
「そうか。」
困ったね。
どうするべきか。
いっそ泳がせて後をつけるか?
「死ぬつもりもない。」
「それだけ剣が身体中に突き刺さって
何が出来・・・!?」
飛竜が一匹、俺に向かってブレスを放ったぞ。
軽く交わせはしたけど。
トウガを助けに来たのか・・・って飛竜が大量に
襲ってきた!?
さっき町を襲っていたのが、
全部俺の所に来たのか?
げっ、魔物まで集まって来たぞ。
一体どうなって・・・トウガが操っているな。
龍騎士になっていると言うことは、
魔物使いにもなっているから、
飛竜を全部操れるし、
魔王の部下何だから魔物を操れて当然だしね。
って、しまった!
トウガは何処にいった!?
「コウイチ!大丈夫か!?」
1000人隊長のリックさんだ。
「俺は大丈夫です!
それよりもトウガ・・・鬼の魔族が
近くにいませんか!?」
「いないぞ。
さっき飛竜が一匹逃げて行ったが、
そいつに乗っているかも知れん。」
「どっちに行きました!?」
「南だ。」
「分かりました!
ロケットブースター!!」
ようやく見付けた手掛かりを
逃がす訳には行かない。
いた!
でもあれは・・・ワープか!!
俺がトウガとの戦闘領域まで近付けば
ワープは解除されるはずだけど・・・
間に合わない・・・か。
チクショウ、折角の手掛かりが・・・。
でもここに魔王三連鬼なんてものがいるんだから
北上しながら戦力強化していっているって事だ。
戦力強化して魔王の座を奪い取る?
それとも協定を結んで人間を滅ぼす?
どちらにしても北に向かって進むのが
良さそうだね。
≪魔法拳士がLv60になりました
強弓技士がLv69になりました
錬成武装士がLv35になりました
スキル・速度強化Ⅲを覚えました
スキル・幸運強化Ⅲを覚えました
天馬騎士がLv42になりました
スキル・天馬術Ⅲ:天馬の滑走を覚えました
狂戦士がLv69になりました
大魔導士がLv60になりました
剣聖がLv35になりました≫
おっ、レベルが上がったぞ。
戦闘も終わったみたいだね。
いや、トウガが逃げた事で魔物と飛竜が
散り散り逃げて行ったという感じかな。
戦闘終了には早過ぎるしね。
「コウイチ、親玉を倒したのか?」
「リックさん。
残念ながら逃げられたよ。」
「そうか。
確か鬼と言っていたな。
魔王の配下に鬼がいると聞いた事は
無いのだが・・・。」
「新しく配下に加わったんじゃないんですか?」
はるかの事を漏らす訳には行かないからね。
「逃げたという事はまた攻めて来るかも知れんな。
魔物や飛竜も逃げ出して行ったからな。」
「かなりの深傷は与えたけど、
回復魔法を使われたらあっという間に
元通りですからね。」
「そうだな。
しかし悪い事ばかりではない。」
「良い事もあったんですか?」
「ああ。
魔物が多数攻めて来たお陰で、
レベルが上がったものが多数いたからな。
龍騎士を増やせて戦力強化が図れる。」
「それは良かったですね。」
「全てはコウイチが大変な所を
引き受けてくれたお陰だ。
感謝する。」
「大したことはありませんよ。
俺はそろそろ行きます。」
「そうか。
出来れば天馬部隊に加わってくれると、
大幅に戦力が強化出来るんだが・・・。」
「遠慮しておきますよ。
魔王にも会いに行きたいんでね。」
「残念だが仕方あるまい。
それ程の実力があれば魔王も倒せるかも
知れんしな。」
「そういうのは勇者の仕事ですよ。
俺はせいぜい援護程度って所です。」
「謙遜が過ぎるな。
まぁ、良い。
武運を祈っている。」
「天馬部隊にも武運があらんことを。
それでは、また~♪」
さて、お次は北にある魔道士の町に行ってみるか!




