第65話~ササニシキ~
「ペガサスかい?
ペガサスなら北東にあるペガサスの丘に
いるよ。」
さすが天馬部隊がいる町。
ペガサスの情報は簡単に手に入ったよ。
「猛獣使いにはなっているのかい?」
「はい。」
「レベルは?」
「MAXです。」
「なら問題ないな。
ペガサスは大人しい動物だからな。」
大暴れのペガサスなんて見た事無いけど。
「例外もいるけどな。」
「例外?」
「相性が悪かったり、そもそも仲間に入る気が
無かったりといた奴もいるって事だ。」
「なるほど。」
「滅多に無いから気にしないで良いと思うがね。」
「分かりました。」
「ペガサスの丘までは歩いて1時間って所だ。
さっと行って帰ってくるんだな。」
「ありがとうございます。
後、極職の事は何か知りませんか?」
「極職?
噂だけで本当は無いんじゃないかって
言われているあの極職?」
「多分、その極職です。」
説明書に乗っているんだから
あることはあると思うのだけど。
「聞いたことが無いな。
いや、あそこならあるいは・・・。」
「あそこ?」
「極職と言うからには、
何かを極めた職業だろう?」
「そうですね。」
「ここから北に3日程歩くと町があるんだか、
そこには魔法を極めんと魔道士が集まるって
話だ。
そこなら何か情報があるかも知れん。」
魔道士の町ね。
説明書にも魔こそ全ての人って書いてあったし、
そこに行けば何か情報があるかも知れないね。
「ただ、魔道士の町は争いが絶えないって噂も
あるから行くなら気を付けてくれ。」
「分かりました。
ありがとうございます。」
争いね。
武と魔が戦ったって書いてあったし、
武器と魔法での争いがいまだに絶えないのかね。
取り敢えずまずは、ペガサスだな。
早速ペガサスの丘に向かうとするか。
まずは
「魔翼付与!」
何かバルトホースのコシヒカリを
捕まえに行った時の事を思い出すな。
あの時は大変だったけど、
カルピスウォーターで仲良くなったんだよな。
・・・
「カルピスウォーター」
何も出ないか。
魔法で出せればと思ったんだけどね。
また何処かで飲めると良いけど。
・・・急ぐか。
「ロケットブースター!!」
足から炎を噴射して空を飛ぶロケットブースター。
転生前に愛用していた技だけど、
やっぱり使い勝手が良いね。
それに早いからあっという間に着いたぞ。
さて、ペガサスは・・・いっぱいいるね。
そのまま触れるかな?
そっと近づいて・・・触れた。
柔らかくてツルツルしていて、
とても触り心地が良いね。
翼はフワフワしていてこれまた心地良い。
このままずっと味わっていたいけど、
そろそろ捕まえるとしよう。
どれを捕まえ様かな。
みんな似たような感じだから
どれでも変わらないかな?
・・・ん?
あっちに黒いのがいるな。
あれもペガサスなのか?
一応翼があるからペガサスだとは思うけど。
近づいてみるか。
・・・色が黒いし、他のペガサスよりも一回り
大きいけど、ペガサスと変わらないね。
触っても平気かな?
うん、問題ないね。
他に黒いのはいなそうだから、
突然変異って感じなのかな?
・・・この黒いペガサスは1人離れているね。
なんか瞳も寂しそうだし。
見た目が違うから敬遠されているのかな。
そういえば例外もいるって言ってたけど、
このペガサスの事だったのかも知れないね。
・・・良し、こいつに決めたぞ。
この黒いペガサスを俺のペガサスにする。
となると猛獣使いの能力で味方にしないと。
猛獣使いの能力は主に操作と懐抱がある。
操作は操れる様になり、
懐抱は味方にする事が出来る。
ここで使うのは勿論懐抱だけど、
味方になる気が無いと意味をなさないんだよね。
戦って強さを認めさせたり必要な事もあるけど、
ペガサスは心で動くのでやって見なくちゃ
分からないのが難点だね。
でも大丈夫な気がする。
「操作Ⅲ・動物懐抱」
これで良し。
ペガサスが動物扱いってのも不思議だけど。
近づいて来てくれれば成功だけど・・・来た!
良かった、味方になってくれたね。
「乗せてくれるかい?」
俺の右隣に来たぞ。
乗っても良いようだ。
早速乗って・・・
≪職業:天馬騎士に転職出来る様になりました≫
おっ、天馬騎士の職業が解放されたぞ。
一旦魔法弓士を天馬騎士に職業を変えて・・・
これで良し。
「飛んでみて。」
黒い翼が大きく開き、一羽ばたきすると
ふわりと舞い上がった。
ペガサスがこっちを見ている。
次はどうするのか待っている様だ。
「ランヴォールの町に向かって貰えるかい?」
ランヴォールの町の方を向き、進みだした。
心地良いスピードだね。
自転車 と同じ位のスピードに感じるから
時速30㎞って所かな。
余裕そうに見えるから、
本気を出せばかなり早いかもだけど。
「全力で進めるかい?」
大きく翼を羽ばたかせると、
一気に上昇させ始めた。
高い方が早く飛べるかのか?
聞いた事無いけど。
羽ばたきが止まったと思ったら、
一気に下降し始めた。
物凄いスピードだ。
更に翼で自身の手足を包み空気の抵抗を減らし
どんどん速度が上がっていく。
町が凄い勢いで近づいて来るぞ。
今度は回転し始めたぞ。
って振り落とされ・・・無かった。
町の上空に着いた瞬間、
翼を広げて止まったみたいだ。
俺が乗って無かったらもっと早いのかも
知れないね。
というか、俺がギリギリ振り落とされない距離を
計算して回転したのかも?
「ペガ・・・」
ペガサスって呼ぶのは今一つだよね。
良い名前をつけないと・・・。
「ササニシキだ。
お前の名前はササニシキだ!」




