第64話~天馬騎士~
極職。
昔、武こそ全てと云う者と、
魔こそ全てと云う者がいた。
進む道は違えど、道を極めんとする姿勢は同じ。
互いを意識し、時には互いの力を見せ合い、
日々修練を重ねていた。
しかしどれ程修練を重ねても
極みに到達することが出来ず、
悩んだ末に互いの力をぶつけ合う事を選択した。
魔には負けられない。
武には負けられない。
誇りを賭けた一戦は、激しいものであったが、
心の底から楽しんでいた。
魔の強さに触れ、武の強さに触れ、
その強さに引けをを取らない自分の強さに。
そして戦いの最中、互いが最大の一撃を放った瞬間
悟った。
これが武の魔の極みと。
その一撃は互いにぶつかり合い
命が尽きたのであった。
それからその2人は極み職を授ける者として
死して今も強者が訪れるのを待っている。
と説明書に書いてあったけど、
単純に考えるとその2人に戦って勝てば
極み職に成れるって事だろうけど
肝心の場所が書いていないというね。
仕方がないので宛もなく進んでいる訳です。
幸い道は森を整備して作った広い道だから
進むのは楽だね。
おっ、ペガサスだ。
誰か乗っているって事は職業が
天馬騎士の人なのかな?
そういえば天馬騎士の条件って、
猛獣使いと騎士の職業に加えて、
ペガサスを捕まえて味方にする事だったけ。
職業の条件は満たせていても、
ペガサスがいなかったから
どうにもならなかったんだよね。
もしかしたらこの近くにいるのかな?
取り敢えずペガサスが飛んで行った方向に
進むとするか。
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随分と大きな町・・・いや、都市か?
人の往来も多いし、ここなら情報が
集まっていそうだね。
早速入って情報を集めるかね。
「魔物が来たぞ!!」
入る前に襲撃かい!
倒しても良いけど、面倒だから町に入って・・・
門が閉まってますね。
結構な人間が取り残されているんだけど、
どうするんだ?
あっ、門の上からペガサスがいっぱい出てきたぞ。
「天馬部隊が出撃します!
門の外に取り残された人は
ペガサスに乗ってください!」
なるほど。
門は閉じても空を飛べるから大丈夫なんだね。
天馬部隊の半分位が降りて、
残りはそのまま飛んで行ったぞ。
魔物も退治するんだね。
折角だから見に行くか。
「君も早く乗るんだ!」
「俺は良いので、他を助けて上げて下さい。
魔翼付与!!」
漫画とかでは良く見るけど、
ペガサスに乗って戦う所なんて初めて見るからね。
ちょっと楽しみだな。
おっ、ペガサスの翼で風を起こしているぞ。
魔物は吹き飛ばされない様に踏ん張っている。
そこに空中からの突撃だ。
でも突撃した所為で風が遮られ動ける魔物が
出てきてるぞ。
しかしそこに槍が雷の如く降り注いだ!
その間に地上に突撃していった天馬騎士が
また空中に舞い上がって来た。
連携の取れた良い動きだね。
けど本気で戦っていない様な・・・?
なるほど。
さっき門の前の人達を助けていた部隊が来るのを
待っていたんだね。
魔物を囲んで総攻撃の開始だ。
これで決着と言いたい所だけど、
森から魔物が近づいてくるな。
結構早いし、数も20体程いる。
天馬部隊は気付い・・・たみたいだね。
迎撃体制を取り出したぞ。
魔物が森から出てきた。
くちばしの大きな鳥みたいだ。
そのまま突撃してくる所を見ると、
くちばしで突く攻撃だね。
でも天馬騎士達も攻撃体制に入ったから
無謀な特攻・・・回転してスピードが倍近く
早くなった!?
天馬騎士の攻撃は当たらず、
魔物がペガサスを貫いたぞ。
騎士は無事みたいだけど、ペガサスは無理だから
そのまま地上に落ちて行ってしまったぞ。
しかも更に反転して突撃してくる。
「オールサウザンドソード!!」
念のため準備しておいて良かったよ。
鳥の魔物は全て片付いたし、
下の魔物にも当てたから大体片付いたし、
もう大丈夫だね。
≪錬成武装士がLv19になりました
剣聖がLv19になりました≫
「君、助かったよ。
ありがとう。」
「大したことではありませんよ。」
「私は落馬蹴り100回転のアルタイン。
天馬部隊100人長をしている。
あなたは?」
相変わらず酷い二つ名だね。
でも落馬なんて二つ名の人が
100人長なんて大丈夫なのかな?
・・・俺も名乗るしかないのか。
「通りすがりの冒険者で、
全人類を敵に回した男の耕一です。」
「凄い二つ名ですね。
一体何をしたら全人類を敵に回すことに?」
「孤高の美女って言う二つ名を持つ女性と
仲良くなってしまってね。」
「あ、あぁ・・・。」
「アルタインさんも凄い二つ名ですね。」
「子供の時に馬の後ろに落馬してね。
上手く回転して足から着地と行く所に
馬の後ろ足蹴りが私の足の裏にヒットして
美しく回転しながら着地をしたんだ。」
状況を思い浮かべると、
確かにその名が付くのも頷ける。
・・・普通なら死んでいると思うけど。
「100回転はしてないと思うけどね。」
正確な回転数を数えている人なんていないだろうし
その状況なら大袈裟に語られても
可笑しくないかも。
「それにしてもあの鳥みたいな魔物は
何だったんだろう?
この辺りでは見掛けない魔物だったけど。」
「統率の取れた動きに見えましたね。」
「詳しく調べる必要がありそうだ。」
その辺りは隊長さんに任せて、
俺は情報収集と行くか。
「俺は町に行きます。」
「送りましょうか?」
「大丈夫です。
まだお仕事も残っているでしょう?」
「お気遣いありがとう。
ランヴォールの町を楽しんでいってくれ。」
「分かりました。」
ランヴォールね。
良い情報が得られると良いね。
ペガサスの情報だけは簡単に
手に入りそうだけどね。




