第59話~上級職の魔法~
≪魔法拳士がLv53になりました
大魔道士がLv58になりました≫
Lvアップコールが鳴ったから完全に倒せたね。
魔王六魔将最強を倒せたのだから、
残りも全て倒せる。
これでまた一歩魔王に近づけたかな?
「エスラさん。
剣、ありがとね。」
「・・・六魔将をあっさり倒すなんて、
コウイチは本当に強いね。」
「大した事ではないよ。」
取り敢えず町に戻ったら剣を買っておくかな。
やっぱり双剣の方が好きだしね。
「初めて会った時と比べて
随分腕を上げた様じゃのぉ、コウイチ。」
「ヨルンのお祖父さんこそ、
ただのボケ老人だと思っていたのに
普通に話せたんですね。」
「あれは封印の影響でそうなってただけじゃ。
それだけ力を込めた封印じゃったのじゃが。」
「完璧じゃなかったみたいですね。」
「わしもまだまだ未熟じゃのぉ。」
「でもお陰で大分強くなれましたよ。」
「ところで、その娘達はお主のコレか?」
いやらしく小指を立てて言っている。
この世界の表現にも同じ様なものがあるんだね。
「いや、この洞窟内で会って、
一緒にここまで来ただけですよ。」
「そうかい。
なら安心じゃな。」
「安心?」
「ヨルンが悲しむじゃろぉ?」
「ヨルンとはそういう仲ではありませんよ。」
「可笑しいのぉ。
次に会った時は結婚しようと言われたと
言っていたのじゃがのぉ。」
「言ってませんよ!?」
「夜を共にしたとも言っていたのじゃが・・・。」
「してませんよ!?」
相変わらずの暴走娘だな!
彼女達の視線が痛いんですけど・・・。
「コウイチさん、私達はもう行きますね。」
「コウイチ、手を出したんなら
責任くらいとれよ?」
「お兄ちゃん最低・・・。」
「誤解ですよ!?」
「コウイチのために花嫁修業も
しているのじゃがのぉ。」
誤解したまま彼女達は先に行ってしまった・・・。
何もしてないのに・・・。
「わしも帰るとするかのぉ。」
「その前に聞きたい事があるんだけど。」
「ヨルンのスリーサイズかのぉ?」
「違います。
お祖父さんが使っていた氷龍波ですよ。
大魔道士のLvも58まで上がったのに
全然覚えてくれないんでね。」
「そりゃそうじゃ。
上級職からの魔法は覚えるものじゃなくて、
生み出すものじゃからな。」
「えっ、そうなの!?」
「知らんかったのか。」
「という事は氷龍波って」
「わしが生み出した魔法じゃ。」
「あの詠唱も?」
「そうじゃ。
詠唱した方が威力が増すからのぉ。」
「じゃあ、そのまま放つことも出来るんだ。」
「勿論じゃ。
氷龍波!!」
小さい氷の龍が放たれたぞ。
「これにMPを上乗せするとじゃな・・・
氷龍波!!」
少し大きくなったぞ。
「上乗せには時間が掛かるからのぉ。
わしの場合は詠唱するのが一番効率が
良かった訳じゃ。」
なるほど。
そういえばスルマと決勝で戦った槍聖が、
HPとEPを消費してスキルを放っていたっけ。
それにはるかの魔法。
転生前の技が使えたのは魔王という職業が
上級職・・・いや、もっと上の職だからかもね。
という事は俺の転生前の技も・・・
「オールサウザンドソード!!」
出来たぞ。
でも転生前より剣が小さいし、数も少ない。
そもそも属性が乗っていないね。
MPとかを上乗せしないと、
完成出来なそうだね。
「100本程の剣で攻撃する魔法かのぉ?」
「本当は全属性が乗った千本の剣
なんですけどね。」
「それは凄い魔法じゃのぉ。
じゃが、発動するのに時間が凄く
掛かりそうじゃのぉ。
おまけにMPの消費も凄そうじゃな。」
「ですね。」
「仲間がいないと発動出来なそうじゃな。
ところで、ちょうど良い仲間が
いるのじゃが・・・」
「遠慮しておきます。」
「可愛い女の子じゃよ?」
「遠慮しておきます。」
「ヨルンの・・・」
「遠慮しておきます!」
「残念じゃのぉ。」
☆★☆★☆★☆★☆★3日後★☆★☆★☆★☆★☆
あれから3日。
インフィの都でゆっくりしている。
本当はすぐに次の町に進む予定だったんだけど、
ヨルンのお祖父さんに、休む事も冒険の秘訣だと
忠告されたからだ。
この世界に来てから戦闘の日々だったからね。
疲れていないと思っていたのだけれど、
休んでみるとスッキリした気分になったよ。
とはいえ、これ以上休むと余計に疲れそうなので、
そろそろ先に進むつもりだ。
最後に朝食でも食べていくか。
「朝定食を下さい。」
「あいよ!」
焼き魚に、目玉焼きとソーセージが着いた定食だ。
もちろん、ご飯もあるぞ。
「おい、聞いたか、あの噂。」
「魔王六魔将最強の魔族の話しか?」
噂になってるのか。
発信源はエスラさん達か、ヨルンのお祖父さんか?
「違うよ。
あれはもう倒されているから
なんの問題もないだろう?
それよりも他の六魔将の話だよ。」
他の六魔将?
ちょっと気になるね。
「なんでも魔王六魔将最強の魔族が復活した直後に
倒されたのを感じ取ったみたいで、
全員でインフィの都に攻めてくるらしいぞ。」
「全員!?」
なんか不味いことになっているね。
「おまけに手下も連れてだから
10万の大軍らしい。」
「10万!?
早く逃げないと不味いんじゃ!?」
「一応迎え撃つために、ディーエイの町に
冒険者達が集まっているらしいが・・・。」
「どれくらい集まっているんだ?」
「1万くらいらしい。」
「10分の1!?
絶対無理だろう!」
「噂ではあの紅のリーフも
加わったらしいが・・・。」
ダージーさん達が?
「でもその数では・・・。」
「インフィの都も終わりかもな・・・。」
・・・。
ダージーさん達には助けて貰ったしね。
見殺しにするのは夢見が悪そうだ。
「明日には戦闘になるらしいからな。」
「今日の内に逃げておくか。」
・・・戦いに間に合うかな?




