第56話~リミットは20日~
レイはシクシクと泣いている。
それを慰めるエスラ。
俯き押し黙ったままのラーヴェが
沈黙を破り呟いた。
「私達、このまま死ぬのかな・・・。」
「ラーヴェ・・・。」
助かる・・・の言葉が出てこないんだろう。
10人で挑んでも駄目だったんだから、
当然と言えば当然だ。
でも俺なら・・・クリアー出来るか?
何処まで進めば原因が掴めるか分からない。
何日も掛かるとしたら、
体力よりも食事が不味いことになるよな・・・。
「エスラさん達はどのくらい
食料を持っているんだい?」
「食料は1週間分を10人分、
ラーヴェが持っています。」
となると少し節約したとしても
20日位は行けるか?
万が一の場合も考えると、半分の10日で・・・
いや、待てよ。
このテント内ならエスケープも使えるね。
ギリギリまで進んで逃げるのもありか。
「ここから戻ったら罰を受けるってのは
主人の元に戻ったらという事かい?」
「原因が分からずにこの洞窟を出たら
すぐに罰を受けてしまいます。」
逃げるのは無理か。
この洞窟がいくら広くても
さすがに20日も掛からないよな。
仕方がない、3人連れて進んでみるか。
となると
「3人共、これから奥に進むよ。」
「え?」
「心配しなくても危なくなったら
またここを作って避難するよ。」
「一緒に戦ってくれるのですか?」
「それはちょっと違うね。
戦うのは基本的に俺1人だ。
3人は自分達の身を守る事だけ考えて。」
「それじゃあ、コウイチさんの負担が・・・。」
「申し訳ないけど、3人が勝手に動かれる方が
負担なんだ。」
「でも・・・。」
「1人でここまで来たんだから、
俺の実力の方が遥かに上なのは
分かるだろう?」
「・・・そうですね。」
「それから・・・いや、何でもない。」
パーティーを組んだ方がと思ったけど、
俺のLvが上がった方が生き残る確率は
高そうだからやめておいた方が良いね。
「じゃあ、そろそろ行こうか。」
「・・・。」
顔が強張っているね。
あれにまた戻るのは相当キツいんだろう。
「父親はともかく、母親には会いたいだろう?」
「もう2人ともいません。」
「え?」
「今回のパーティーにいましたから。」
「・・・悪い、嫌なこと聞いてしまった。」
「いえ、冒険者の家族なので、
こうなることも覚悟の上です。」
「・・・筋力・知力・体力・速度・精神・魔力・
幸運・HP・魔攻・EP・物攻・魔防・MP・
物防付与!!
もう1つおまけに全能力付与!!
これで全ての能力が20%上がったよ。」
「コウイチさんは付与魔道士だったんですか?」
「魔装術・防具属性付与・治癒!!
これで自動回復も出来る。」
「魔法剣士?
でも斧のスキルを使っていたから・・・。」
「でも姉さん。
さっきは火に土の魔法も使ってたし、
このテントは冒険者を最大まで上げないと
使えないスキルよ。」
「この属性付与は治癒魔法だよ!
お兄ちゃんって一体何者?」
「普通の冒険者だよ。
そろそろ行くよ、心の準備は出来たかい?」
「はい!」
「よし!ならば行きますか!!
大回転斬り!!」
やっぱりテントの回りを囲まれてるね。
まずは魔物の意識を剃らすために
「妄想世界・分身の術!!」
お次は新しく覚えた魔法で、入口側に
「土魔法Ⅳ・クレピモント!!」
大きな地割れが出来たから
此方に来れなくなったぞ。
これで少しは後ろから来る魔物はしばらく防げる。
念のため、彼女達を守る
「木魔法Ⅳ・身代わり木人形×3」
これでよし。
おっ、弓と矢が落ちてるぞ。
彼女達のバーティにいた人達のかな?
折角だから使わせて貰おう。
「弓術Ⅲ・螺旋弾!!」
先頭にいた魔物を貫き、
貫かれた魔物も回転しながら吹き飛んで、
扇状に魔物がドミノ倒しになったぞ。
これは中々良い感じだね。
そして倒れているうちに
「雷魔法Ⅴ・サントネール!!」
一気に100匹は片付いたかな?
10メートル位しか進めないけど。
そうだ!
分身達を飛ばして先に進ませれば、
そっちを追って良い感じになるかも。
俺の妄想なんだから出来るはす!!
よし、行け!!
上手く行ったぞ!!
魔物も釣られて背を向けたのが一杯いる!!
「螺旋弾!螺旋弾!螺旋弾!!」
良い感じだけど、矢がもうないね。
ここからは剣と魔法で行くか!!
☆★☆★☆★☆★☆数時間経過☆★☆★☆★☆★☆
かなり時間が経ったと思うけど、
まだまだ行けるね。
だけど彼女達は少々疲れ気味の様だ。
殆ど俺が倒しているとはいえ、
多少はゴブリンが襲ってくるし、
いきなり横から沸いて出てくることもあるからね。
体力というより、精神的に参っているって所かな?
一旦この辺りで休憩しておくか。
Lvも上がるだろうしね。
「3人共!
一旦休憩するよ!」
≪剣豪がLv53になりました
スキル・剣豪術Ⅳ:無音往還を覚えました
職業:剣聖に転職出来る様になりました
錬金術士がLv58になりました
錬金術Ⅲが錬金術Ⅳになりました
木魔道士がLv50になりました
魔法・木魔法Ⅴ:丸太小屋を覚えました
木魔道士のLvが最大に到達しました
魔法剣士がLv44になりました
魔法・魔装術Ⅲ:魔法攻撃付与を覚えました
槍技士がLv50になりました
スキル・槍術Ⅳ:二段突きを覚えました
スキル・槍術Ⅴ:ガードブレイクを覚えました
槍技士のLvが最大に到達しました
土魔道士がLv50になりました
魔法・土魔法Ⅴ:トランブルマンテールを
覚えました
土魔道士のLvが最大に到達しました
弓技士がLv50になりました
スキル・弓術Ⅳ:三連弾を覚えました
スキル・弓術Ⅴ:急所当てを覚えました
弓技士のLvが最大に到達しました≫
またLvが最大になったものが一杯あるね。
木魔道士がMAXまで上がったから
欲しかった木魔法Ⅴ・丸太小屋を覚えたぞ。
テントより快適な野宿が出来ること間違いなしだ。
おまけに冒険術Ⅴ・野宿を併用すれば、
俺より弱い敵が認識出来なくなる効果も
丸太小屋に付与出来る。
早速・・・と思ったけど、
1回テントを出てやるのは少々面倒だから
次の機会に取っておくか。
取り敢えずLvがMAXになった職業を
変えておこう。
木魔道士を風魔道士、槍技士を猛獣使い、
土魔道士を氷魔道士、弓技士を双剣士。
上級職の剣聖も覚えたけど、
楽しみは後に取っておくことにしよう。
これでよし。
後は彼女達だな。
「3人共、疲れただろう。
大丈夫かい?」
「私達は余り戦っていないので・・・。」
「お兄ちゃんこそ大丈夫なの?」
「俺は平気だよ。」
「コウイチは凄いね。
一体どれだけ鍛えれば、その領域に行けるの?」
「1度死ぬことかな。」
「えっ?」
「冗談だよ。」
正確には女神に殺されることだけどね。




