表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妄想世界~女神の過ち~  作者: 耕一
53/74

第53話~伝説の獅子王~

振り返るとそこにいたのは巨大な獣だった。


「シルバーライガー・・・。」

「シルバーライガー?」


顔はジャガー、体はタイガー。

首回りにはライオンの鬣。

象ですら一飲み出来そうな巨体。

そして何より目を引くのは、

銀色に輝く美しい毛並だ。


「シルバーライガーって、なんだ?

 魔物ではないみたいだけど。」


魔物なら気配でわかるしね。


「知らないのか!?

 伝説の獅子王、シルバーライガーだぞ!?

 あの伝説の狼王、フェンリルと並び称される

 最強の獣だぞ!?」


フェンリルは知っているけど、

シルバーライガーなんて聞いたことがないぞ。

獣神サンダーライガーなら知ってるけど。


「で、凄い殺気だけど、殺すつもりなのかな?」

「シルバーライガーは気まぐれに現れて、

 気まぐれに破壊し、気まぐれに去っていく。

 全てはシルバーライガーの気分次第だ!!」


気分ね。

となると今は相当ご機嫌斜めって感じだから

殺すつもりだよね。


「グァオォォォ!!!」


何て雄叫びだ!?

大地が震えたぞ!?


「に、逃げろーーー!!!」


盗賊達が一斉に逃げ出して行くぞ。

スィルさんも置いていってるし。


「スィルさん!!」


どうやら気絶している様だ。

この殺気に、あの雄叫びじゃあ、当然だろうけど。

うっ、目の前にシルバーライガーの前足が

降りてきたぞ。

どう考えても逃げれる距離じゃない。

蹴り殺されるのか、喰われるのか・・・。

せめてスィルさんだけでも逃がしたい所だけど。


「コウイチ、スィルを連れて後ろに下がれ。」


って、喋った!?

それに俺もスィルさんも知っている!?


「早くしろ。」


取り敢えず言う通りにした方が良さそうだ。

俺がスィルさんを連れて後ろに下がると

シルバーライガーが大きく口を開いた。

何かエネルギーの様なものが溜まっていく。


「ガォォォーーー!!!」


レザー砲ですか?

逃げていく盗賊達が叫び声すらあげれずに、

一瞬で消滅しましたよ。

200人はいたはずだよね?


≪重剣士がLv43になりました

 木魔道士がLv22になりました

 EP強化Ⅰを覚えました≫

「片付いたな。

 さて、コウイチ。

 お前は転生者だな?」

「!?」


俺の事を知っているだけではなく、

転生者の事まで!?


「匂いが違うからな。」


獣だから鼻が良いのか?

女神の力で作られた体だから何か違うのかな?

しかし何で転生者と・・・まさか。


「あなたも転生者!?」


孔雀眼で見たから間違いない。

しかも能力の


「『猫猫天国』でシルバーライガーに!?」


ちなみに読み方は『にゃんとパラダイス』だ。


「孔雀眼を持っているのか。」

「えぇ。

 しかし何でまた俺達を助けてくれたんですか?」


同じ転生者だからはちょっと違う気がするし。


「助けたかったのはスィルの方で

 コウイチはついでだ。」

「スィルさんを・・・?」


・・・見上げて話すのは首が痛くなってきたぞ。


「取り敢えず人間の姿に戻って

 貰えますか?

 その姿だと目立ちすぎますし。」

「残念ながら人間にはなれん。

 そういう能力だからな。」

「えっ!?

 じゃあ、普段からその大きさで?」

「いや、普段は・・・。」


シルバーライガーの体が縮んで行く。

鬣は無くなり、顔は猫の様に・・・


「アル!?」

「ニャ~。」


なるほど。

通りで俺の事もスィルさんの事も知っている訳だ。


「ニャ~。」

「その姿なら完全に猫だから、

 誰にも気付かれる事はないね。」

「ニャ~。」

「鳴き声も猫そのものだし。」

「ニャ~。」

「・・・。」

「ニャ~。」

「もしかしてその姿だと喋れない?」

「その通りだ。」


大きくなったぞ。


「結構不便だね。」

「そんな事もないぞ。

 人間の言葉を喋る猫の方が可笑しいしな。」

「確かにその通りだけど。」

「それに猫としてのんびり生きる事も

 気に入っている。

 おまけに邪魔者は簡単に排除出来るしで

 言う事なしだな。」


盗賊を一瞬で消滅させるくらいだしね。


「魔王も倒せるんじゃないかな?」

「興味ないな。

 スィルに危害を加えるなら別だけどな。」

「スィルさんを助けたのも・・・。」

「世話になっている礼だ。

 これからものんびり暮らして、

 美味しい食事を貰いたいからな。」


スィルさんの作る食事は美味しかったしね。


「時々余計な物を拾ってくるのは困り者だが。」


アルが睨んでいる。

余計な物って・・・。


「俺の事だよね。」

「1人で盗賊団に乗込むお人好しと分かっていたら

 心配する必要もなかったけどな。」

「只の助けて貰ったお礼ですよ。」

「スケベな目線を向けるのはどんなお礼だ?」

「あっ・・・。

 あの殺気はアルだったのか。」

「やっぱり始末しておくか。」

「大変申し訳ございません。

 非モテ男にスケベな目線を理性で止めるのは

 絶対不可能なので、どうかお許しを。」

「随分素直だな。」

「むっつりではなくオープンなので。」

「元は私も男だらな。

 見たくなる気持ちは分からんでもない。」

「止めれるのは女性慣れしたイケメンか、

 不能くらいですよ・・・。」

「くだらん話はここまでにして、

 そろそろ村に戻るとするか。」

「スィルさんはアルの背中に乗れば良いね。」

「全く良くないな。」

「え?」

「こんな姿で村に戻ったら、

 パニック間違いなしだぞ。」

「確かに。

 俺がおんぶするしかないかな?」

「盗賊の残した馬がいるからそれを使え。」

「それなら楽に戻れそうだね。」

「分かっているとは思うが、

 馬に乗って密着したからといって

 変な気を起こしたら・・・。」

「起こしませんよ!!」


・・・後でたっぷり妄想するとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ