第52話~人質~
西に道なりにだから此方だな。
1時間ほど歩けば着くらしいから、
片道5kmって所だね。
「ニャ~。」
ん?
この猫はスィルさんの所にいたアルだね。
散歩にでも行くのかな?
って、肩に乗ってきたぞ。
「ニャ~ン。」
まるでそのまま進めと言われているみたいだ。
まさか、自分の目的地まで楽しようっていう腹か?
案外ちゃっかりしてるね。
ただの気まぐれかも知れないけど。
しかし触るのは駄目で乗るのは良いのか?
試しに触ってみたら・・・
「シャァァァーーー!!!」
触るのは駄目らしい。
仕方がないね、先に進みますか。
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村っぽいのが見えてきたな。
盗賊っぽい感じの見張りもいるから
あそこで間違いなさそうだ。
「アル、ここから先は危ないから降りてくれ。」
「ニャ~。」
おっ、降りたぞ。
やっぱり動物は賢いね。
下手な人間よりも遥かに頭が良いよ。
さて、全員倒してしまうのも良いけど、
頭さえ倒せば後は散り散りになるだろうから
案内して貰うとするか。
「ここから先は通行両が必要だぜ?」
なんとも分かりやすい悪党だね。
「頭に会いに来たんだ。
通して貰えないかな。」
「頭に?用件は?」
「入団希望だ。」
「お前みたいなひ弱な奴がか?
下働きなら使ってやるよ!」
「お前を倒せば案内してくれるのか?」
「良い度胸だ。
やって・・・」
言い終わる前に1メートルほど蹴り飛ばしたぞ。
「で、そっちのお前も確かめたいか?」
「いや、案内しよう。」
これで手間が省けそうだ。
しかしここには盗賊が随分いるね。
感じる気配が200を超えてそうだよ。
「頭、入団希望者です。」
ここは中央広場って所かな。
「ひ弱そうに見えるが、腕はあるんだろうな?」
「試してみるかい?」
そのまま俺に攻撃してくれれば楽なんだけど。
「頭!そいつは!!」
盗賊の1人が頭に耳打ちをしているぞ。
俺を知っているのか?
盗賊に知り合いなんていないはずだけど。
「おい、そいつを囲め。」
「何の真似ですか?」
「お前、違う盗賊団を滅ぼしたそうじゃないか。」
違う盗賊団・・・?
カールの・・・か。
あの時の生き残りがいたのね。
「それに人を殺せない甘ちゃんには用はない。」
あの時の話も聞いていたと。
回りに盗賊はいなかったはずだけど・・・。
でも裏口みたいのが合ったなら
そこから聞いていた可能性もあるか。
「やれ!」
ただ1つ勘違いをしているんだよね。
「てめえ!?」
攻撃してきた盗賊の首を躊躇うことなく
斬り落とした。
「殺せないはずじゃあ・・・。」
「殺せないけど?」
「嘘つけ!!一ミリの躊躇いすらなかったぞ!?」
「おいおい。
一般人と盗賊という犯罪者を
同列に扱って貰えるなんて
甘過ぎる考えだな。」
「なんだと!?」
「お前らみたいのは生きる価値もないゴミだって
言ったんだよ。」
「てめえ!!」
「いや、ゴミの方が役に立つから、
ゴミに失礼な発言だったな。」
「もういい、やっちまえ!!」
「サントネール!!」
俺の回りを囲んでいた盗賊全てに
百の雷が降り注ぐ。
「なっ!?」
「実力差も分からない様じゃ
長生きは出来ないね。」
「待て!!
これを見ろ!!
ここの村人だ、それ以上近付けば
こいつを殺すぞ!!」
「知らない人を人質に取っても、
効果はないけど?」
「本当に殺すぞ!!」
「どうぞ。
そもそも俺にはその人が盗賊の仲間じゃないと
分からんしね。」
「くそ!!」
これで決着だね。
「じゃあ、こっちの人質なら効果があるだろう?」
こっち?
後ろから声が聞こえたが・・・。
「スィルさん・・・。」
「コウイチさん、ごめんなさい、私・・・。」
「お前は牢屋に入ったはずだけどな。」
「村の牢屋程度、簡単に脱走出来るさ。」
なるほど。
そこまでは考えていなかったな。
「形勢逆転だな。
やれ!」
盗賊が剣で俺を斬った。
「ダメージは1って所かな。」
「なっ!?」
「お前ら程度が何人集まっても、
無抵抗の俺を倒す事すら出来ないよ。」
「こっちには人質がいるんだぞ!!」
「人質ってのは生きていてこそ意味があるんだ。
殺して困るのはお前達だぞ?」
「殺さない程度に痛め付け・・・。」
「スィルさんに傷1つ付けてみろ。
楽に死ねると思うなよ?」
「くっ・・・。」
とは言え、困ったな。
このままじゃ膠着状態で何も出来ないね。
こういう時、仲間が現れて人質救出ってのが
定番だけど・・・。
サクラさん達が俺を探して偶然現れるなんて事も
ダージーさん達が偶々この辺にいるなんて事も
なさそうだ。
スルマが空中を飛んで・・・もないね。
仕方がないか。
「このまま膠着状態が続いてもお互い困るから、
1つ提案があるんだけど。」
「なんだ?」
「この村から出て、2度とこの辺りに来ないと
約束出来るなら見逃してやるぞ。
勿論、人質は置いてね。」
「人質を放したら殺すつもりだろう?」
「しない・・・と言っても信用出来ないだろうから
今スィルさんを捕まえている
そいつだけここに残して逃げれば
俺は動けないから安心だろう?」
「逃げた後、そいつはどうなる?」
「逃がしてやるさ。
下っ端1人捕まえたところで
あまり意味もないしね。」
「良いだろう。じゃあ、逃げ・・・。」
ん?
盗賊の頭が何かに驚いているぞ?
!?
後ろから凄い殺気が・・・。
「馬鹿な、あれは伝説の・・・」
一体何が・・・。




