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妄想世界~女神の過ち~  作者: 耕一
33/74

第33話~後始末~

「マリー!?」


冒険者の館の最高責任者のアードさんだ。

門の前で待っていた所を見ると、

かなり心配していたんだろう。


「すいません、助けられませんでした。」

「マリー!!」


アードさんが俺からマリーさんを奪い取り

抱き抱えて泣いている。

・・・そうか


「マリーさんの父親だったんですね。」

「はい・・・。

 一体何があったんですか?」


俺は起こった内容を全て説明した。

マリーさんを拐ったのが、

カールに付き纏っていた男である事。

その男が山賊となっていた事。

カールが山賊に襲われ魔族化した事。

魔族となったカールが山賊を全て殺した事。

そのカールを俺が倒した事。

しかし止めが刺せず、

マリーさんが止めを刺した事。

そして自殺した事。


「そう・・・ですか。」

「俺がカールに止めを刺しておけば

 こんな事にはならなかったかも知れません。」

「いえ、結果は同じでしょう。

 娘はカールさんを慕っていましたから。」


アードさんはマリーさんを抱き抱えたまま

踞っている。

・・・今はそっとしておこう。

俺は後始末と行くか。


「コウイチさん、どちらへ?」

「山賊達とカールの後始末をして来るよ。」

「待って下さい。

 私も現場を確認しますので。

 それよりもコウイチさんは此方を

 受け取って下さい。」


そう言ってポケットから紙を取り出した。

これは・・・


「Dランク証明書?」

「娘が用意していた物です。

 コウイチさんの実力なら今日確実に中級魔宮を

 クリアーするからと。」


そうか。

マリーさんも認めてくれていたんだね。


「分かりました。

 有り難く受け取ります。」

「職業の解放も出来る様にしてありますので

 後で冒険者の館の聖教の間に寄って下さい。」

「分かりました。」


アードさんがマリーさんを抱えたまま

立ち上がった。


「手伝いますか?」

「大丈夫です。

 ただ、現場を確認したいので

 付いてきて貰えますか?」

「分かりました。」


アードさんと、その部下達の十数人で

現場に向かった。

そこで改めて説明した。


「これがカールさんですか。」

「はい。」

「この落ちている翼や尻尾も?」

「カールが魔族化した時に生えてきた物です。」

「そうですか。

 この落ちている物も含めてカールさんの遺体は

 研究機関に送ります。」

「研究機関?」

「魔族を研究する機関です。

 人族から魔族に変わったと分かっている検体は

 珍しいので今後の魔王討伐に役立つでしょう。」


検体か・・・。

あまり気分が良い物ではないね。

出来ればこのまま埋葬してやりたい所だけど、

この世界では魔王を倒すのが最大の目的だろうし、

止めさせるのは無理だろうね。

そもそもこの世界には埋葬って概念が

ないんだっけ。


「山賊の遺体はどうします?」

「賞金首リストと照合した後に

 纏めて燃やしておきます。

 山賊の頭はどれか分かりますか?」

「え~と・・・確かこれかな?」


首が転がっていて、体はどれだか分からないけど。

しかしホラー映画とか好きとは言え、

これはあまり好きになれそうにないな。

普通に気持ち悪い。


「これですか。

 確か賞金首リストに載ってたはず・・・

 ありました。

 後で賞金をコウイチさんに渡します。」

「俺が倒した訳ではないよ。」

「カールさんが倒したのなら、

 同じパーティーであるコウイチさんに

 権利がありますから。」

「分かりました。」

「大体の状況は分かりました。

 皆さん、山賊が賞金首リストに載っていないか、

 照合していきましょう。」


アードさんの部下達が賞金首リストを見ながら

照合していった。

原形が留めていないのもあるから大変だろうな。

アードさんはカールの遺体をアイテムボックスに

しまっているみたいだ。

部下達もアイテムボックスに山賊の遺体を

しまっている。

この場で燃やす訳ではないのね。


「コウイチさん。

 後は此方で行うので戻って頂いて構いません。」

「分かりました。」


ソギョーツに戻り、アードさんに言われた通り、

冒険者の館の聖教の間に寄った。


「コウイチさんですね。

 お待ちしておりました。」


神父姿の男性が柔らかい笑みを浮かべながら

迎えてくれた。

既に第6まで解放されているけど大丈夫かな?


「Dランク冒険者コウイチの職業を1つ解放する。

 リベラシオン」


神父さんが呪文を唱えると、

俺の中から何が解放された感じがした。

上手くいったのかな?


「これで解放されました。

 ステータスを確認してみて下さい。」

「ステータス 耕一 オープン

 ・・・解放されてます。」


第2職業を解放ではなくて、

職業を1つ解放と言ってたしね。

これで更に強くなれそうだ。


「解放特典として無料で職業を設定出来ますが

 何を設定しますか?」

「自ぶ・・・ちょっと悩んでいるので、

 また今度にします。」

「そうですか。

 決まったら何時でも来て下さい。」

「はい、ありがとうございます。」


と言いつつ自分で剣豪を・・・これで良し。

これで剣士、冒険者、探索者、治癒魔道士、

拳闘士、雷魔道士、剣豪と7つの職業に就けたぞ。

これでソギョーツにいる用事もなくなったな。

これからどうしようかな。


「コウイチさん。

 職業解放は出来ましたか?」

「アードさん。無事に出来ましたよ。」


アードさん達が後始末が終わって

戻って来たみたいだ。

マリーさんを抱えて・・・。


「コウイチさんはもうこの町を出るんですか?」

「そうですね。

 何処に行くかは決めてませんけど。」

「コウイチさんの実力なら

 いずれは魔王と戦うかも知れませんね。

 それならトコンの町に行くと良いかも

 知れません。」

「トコン?」

「強い冒険者が集まる場所で、

 武闘会も開かれてますので

 自分の強さを確かめるには良い場所ですよ。」

「なるほど。」


魔王か・・・。

魔王を倒して平和を・・・って人間同士の争いを

無くすために生み出されたのが魔王だよな。

倒して本当に良いのかな?

そもそもカールみたいに魔族化した人間が

魔王になったのかも知れないし。

・・・魔族化した人間?

魔王が本当は人間だった?

いや、女神様が作ったのだから違うか・・・。

待てよ。

ランダム能力を得た時に魔王の職業があったよな。

まさか転生者が魔王?

でも転生者の現れる前から

魔王がいたはずだから違う・・・?

・・・何か違和感があるな。

ランダム能力の魔王・・・エールライオン・・・。

まさか今この世界には魔王が2人いる!?


「コウイチさん、どうしました?」

「あっ、いや。何でもありません。」


考え過ぎだよな。

俺の悪い癖だ。


「本当に大丈夫ですか?」

「大丈夫です。

 そろそろ行きますね。」

「はい、お気をつけ下さい。」


魔王を倒す倒さないはともかく、

1度見てみるのも良いかもね。

行ってみるか、魔王のいる北の大地に。

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