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妄想世界~女神の過ち~  作者: 耕一
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第31話~魔族化~

「不味い!!全員逃げるぞ!!」


山賊の頭がそう叫んだ。

しかし次の瞬間


「グギャーーー!!!」


黒い闇が牙と化し次々に山賊を刺し殺していく。


「一体何が起きているんだ!?」

「魔族化だ!!

 あの女が魔族になりやがったんだ!!」


カールが魔族に!?


「逃げろ!!全滅するぞ!!」


山賊が入口に向かって走っていく。

しかしそれよりも早く黒い闇の牙が

入口を壊し塞いでしまった。


「何処か他に出るとゴッボ!?」


闇に包まれた何が宙へと舞い、

闇から次々と現れる牙が

山賊達に突き刺さり殺されていった。

そして闇の中からカールが現れた。


「カール!止めるんだ!!」

「コウイチ・・・か?」


黒い悪魔の翼、黒い2本の角。

口からは牙が生え、眼は赤く輝いている。

白く美しい鎧も闇に染まり、

黒い鎧へと姿を変えている。

カールの姿は完全に魔族と化している様だ。

しかし俺の事が分かるところをみると

魔族化しても記憶は残っているらしい。


「そうだ、耕一だ!!

 カール、一旦落ち着け!!」

「俺は冷静だよ、コウイチ。

 むしろ何故最初からこうしなかったのか

 疑問な位だ。」

「待て!

 カールはこんな事をする奴じゃないだろう?」

「コウイチ、人間は殺されないと分からない

 馬鹿な種族なんだよ。

 だからこうやって教えてやってるのさ。」


駄目だ。

記憶はあっても思考は完全に魔族そのものだ。

一体どうすれば良いんだ・・・って

山賊が何人殺されても何も問題ないか。

むしろ死んだ方が世のためかも知れんな。

ちなみに山賊の頭はとっくに殺されている。

勿論、カールに付きまとっていた男も

気づいたら殺されてた様だ。


「カールお姉様・・・。」


俺の後ろにいたマリーさんが、

ふらふらと前に出てきた。


「マリーか。

 お前のせいで随分と酷い目にあったよ。

 俺の辛さを少しでも味わうが良い。」


カールが右腕を前に出すと

黒い闇の牙がマリーさんに向かってきた。


「コウイチ、何故邪魔をする?」


俺は黒い闇の牙を斬り払った。

山賊だけじゃなく、この場にいる全員・・・いや、

全ての人間が殺す対象か。

それはさせたくないな。


「マリーさん。

 魔族化を戻す方法はないのかい?」

「・・・ありません。」

「そうか。」


どうしようもない・・・か。


「これから俺は全人類を滅ぼさなくては

 ならないからな。

 お前達もさっさっと殺す事にしよう。」

「マリーさんは下がっててくれるかい。

 ここからは俺も本気で戦うからね。」

「魔族と化した俺は、今までとは比べ物にならない

 強さを手に入れたぞ。

 コウイチが強いとはいえ、

 もう勝つのは不可能だ。」


ステータスを見ると良く分かる。

魔族化すると素質値が各々150程上がる様だ。

今の俺のステータスを超えているのは間違いない。

でも俺はカールのステータスを見て

気付いていた事がある。

それは初級戦闘職のLv39のステータスよりも

中級戦闘職のLv1のステータスの方が

高いと言う事。

つまり今設定している

冒険者と探索者と治癒魔道士を

剣豪と武道家と双剣士に変えれば、

ステータスが100以上に上げる事が出来、

カールのステータスを更に上回る事が可能

と言う事だ。

そして更に


「筋力・知力・体力・速度上昇付与!!」

「付与魔法まで使えるとはな。

 だがその程度で俺に勝てると思っているのか?」


再度カールが右腕を前に出すと

黒い闇の牙が俺に向かって

四方八方から襲い掛かってきた。

それを全て斬り払う俺。


「何だと!?」

「カールには見えないだろうけど、

 俺には全て見えているぞ。

 俺の方がステータスが上回っている事をな。」

「そんな馬鹿な・・・。

 だが付与魔法なら時間制限が。」

「付与魔法はおまけだよ。

 カールには言ったはずだよ。

 第1~6職業までLv37以上が

 揃っているってね。」

「だからと言って・・・まさか職業を

 変えられるのか!?」

「その通りだよ。

 そして初級戦闘職がLv30以上になれば」

「中級戦闘職を覚える事が出来る・・・。」

「これで分かったろう?」

「ならば!!」

「甘い!!ソルミュール!!」


黒い闇の牙がマリーさんに向かって行くが、

マリーさんの回りに土魔法Ⅰの土壁を出現させた。


「無駄だよ。

 その程度じゃ隙なんて出来ないさ。

 そしてもうどう足掻いても俺には勝てない。」

「何故俺の邪魔をする!?

 俺はあんな目にあったんだぞ!!

 お前にその気持ちが分かるか!!」

「分からんよ。

 分からんから俺は俺の思う様にするため、

 マリーさんは殺させないし、

 魔族となってもう戻れないお前を倒す。

 だけど・・・蔓縛り!!」

「うわぁ!?」


木魔法Ⅰの蔓で敵を縛る魔法だ。

狙ったのはカールではなく


「お前ら山賊を黙って逃がしてやる程

 甘くもない。」

「ち・チクショウ・・・。」

「そうか。」


黒い闇の牙が俺の横をすり抜け、

山賊達に突き刺さった。


「せっかく捕まえたのに殺すなよ。」

「止めようと思えば止められただろう?」

「あいつらを助けてやる義理はないさ。

 カールにした事を考えれば

 殺されても当然だしな。」

「だったらマリーを殺すのを何故邪魔をする。」

「カールがマリーさんの事を優しい良い娘と

 言ってたからだ。」

「なんだと?」

「今は魔族になったとはいえ、

 死んで心を取り戻した時に

 マリーさんを殺した記憶があれば

 苦しむ事になるからね。」

「死んだ後だと?」

「死後の世界なんて信じていなかったけど、

 天国や地獄はあるみたいだからな。」


何せ女神様からの情報だ。

正しくない訳がない。


「おしゃべりが過ぎたね。

 ・・・そろそろ決着と行こうか。」


俺は剣を構えた。

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