第30話~山賊~
順調に1日1つ中級魔宮をクリアーし、
今日3個目の中級魔宮をクリアーすれば
晴れてDランクに昇格だ。
2日目以降は宿も取れてぐっすり眠れたしね。
カールとは冒険者の館で待ち合わせだから
来たのだけど、まだ来ていない様だ。
ブートティーでも飲みながら待とうかな?
そういえば受付にいるマリーさんの姿も
見えないな。
カールと2人で百合展開!?
なんて事だったちょっと面白いけど、
それはないかな。
というか、何か騒がしいな。
何かあったのかな?
「コウイチさん!」
・・・どちら様でしょう?
全く見覚えのない男性に声を掛けられたぞ。
「・・・どちら様で?」
「失礼しました。
この冒険者の館の最高責任者を務めている
アードと言います。」
「そうでしたか。
で、そのお偉いさんが何のご用で?」
「これを見て下さい。」
そう言って紙を渡してきた。
『マリーは預かった。
町外れの倉庫までカール1人で来い。』
なるほど。
道理でカールとマリーさんがいなくて
騒がしい訳だ。
カールの実力なら問題ないと思うけど、
マリーさんを盾に取られたら逆らわないかもね。
カールにとっては優しくて良い娘みたいだし。
「状況は分かりました。
カールがその倉庫に行ってから
どれくらい経ちましたか?」
「1時間は経ちました。」
それは不味いね。
マリーさんを人質に取られて、
何も出来ずにボコボコにされているって所か。
助けに行くしかないか。
しかし人気アイドル的なカールを恨む相手って
どんな奴だ?
俺が見た中ではいなかったと思うけど。
「犯人に目星はあるのかい?」
「分かりません。
何人いるかも不明です。」
「そうか。
町外れの倉庫ってのは何処にあるんだい?」
「東門を出た森の中です。」
「分かった。
もし1時間経っても戻らなかったら
人数集めて乗り込んでくれ。」
「はい。よろしくお願いします。」
さて、面倒な事になったな。
東門を出た森の中って、すぐに分かると良いけど。
念のため門番に聞いておくか。
「門番さん、町外れの倉庫って
どっちにあります?」
「あっちだけど何かあったのか?
1時間程前にカールさんが全速力で
そっちに向かったけど・・・。」
「ちょっとね。」
このまま真っ直ぐ進めば・・・見えた!!
ちょっと待て。
入口に男が2人いるぞ。
見張りか・・・?
という事は結構な人数がいるって事か?
ステータスは・・・山賊!?
山賊がなんでカールを?
そういえば山賊捕縛の依頼があったな。
もしかするとカールが山賊を捕まえて、
逆恨みなんて事かも知れないな。
となると状況はかなり不味そうだ。
中の様子が見れると良いんだけど。
一応窓はあるな。
でもすぐ物が置いてあるから中の様子までは
分からないね。
取り敢えず窓から侵入するか。
「フレイム!!」
「お姉様!お姉様!!」
マリーさんの声か?
泣き叫んでいるぞ。
カールに何かあったのか?
慎重に様子を見ないと・・・。
マリーさんの泣き叫ぶ声が響いているお陰で、
俺の侵入音は欠き消されているから
まだ気付かれていないはずだ。
・・・マリーさんが見えたぞ。
男に羽交い締めにされている。
その近くに座っているのが山賊のボスっぽいな。
職業も大山賊って中級犯罪職だし。
奥に山賊がいっぱいいるっぽいな。
カールは見当たらないけど、
マリーさんの向いている方向から
奥の山賊がいっぱいいる所に
いる感じだけど・・・。
取り敢えずマリーさんを助ければ、
カールも反撃に出れるだろうから、
まずはマリーさんを羽交い締めしている男を
倒す事にしよう。
スキルだとマリーさんにも被害が行きそうだから
魔法を使うとして、一番適してそうなのは
「ソルポワ!!」
土魔法Ⅱの敵の両手両足に
土の重りを付ける魔法だ。
これで拘束が解けたからマリーさんを救出しつつ、
男を蹴り飛ばす!!
「マリーさん、大丈夫かい?」
「コウイチさん!?
お姉様が、カールお姉様が・・・。」
「大丈夫。
マリーさんが救出されれば
カールも反撃に出れるさ。」
「そのカールは今お楽しみ中だから
邪魔をするのは野暮だぜ?」
山賊のボスがそう言った。
お楽しみ中?
良く見ると奥には裸の男もいる。
まさか・・・
「お楽しみ中だと言ったろう?
何だったらお前も楽しんで構わないんだぜ?」
山賊のボスがニヤニヤしながら言った。
「てめぇは!?」
見知った顔がいる。
あいつは確かカールに付きまとっていた男だ。
職業が拳闘士だったはずなのに、
山賊に変わっている。
「山賊に墜ちたのか。」
「てめぇが悪いんだ!!
この俺様に恥をかかせやがって!!」
「それで山賊になって無理矢理って事か。」
「俺の誘いを何度も断るからこうなるんだよ!!
大人しく言いなりになってれば良いのにな!!」
ここまで屑だったとはね。
「くだらない雑談はそこまでにしな、新入り。」
「へい、頭。」
「で、お前もこれに加わるのか?」
「嫌がる女性を無理矢理する趣味は無いんでね。」
「それは残念だ。
これ以上邪魔はされたくないからな。
そのままお帰り願おうか。
勿論、そこの女も置いてな。」
「か弱い女性を見捨てる趣味も無いんでね。
全員ぶちのめしてお縄に付いて貰おうか。」
「大山賊のこの俺に勝てるとでも?」
「そうだな。
弱すぎて話にならんぞ。」
「随分と自信があるんだな。
でも相手をするのはここにいる全員だ。」
「聞こえなかったみたいだから
もう一度言ってやろう。
全員が相手でも弱すぎて話にならん。」
「そいつは楽しみだ。」
「頭!!ヤバイです!!」
「こいつ1人位に何を・・・」
「違います!!この女が・・・。」
女?
カールの事か?
カールがいるであろう場所から
黒い闇が溢れて来ている。
一体何が起きたんだ!?




