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妄想世界~女神の過ち~  作者: 耕一
28/74

第28話~ブートティー~

「コウイチさんはこれでEランクに昇格です。」


マリーさんがつまらなそうに事務的にそう言った。

多分カールが全部倒して、俺は見ていただけと

思われているんだろうね。


「カールお姉様を利用してランク上げなんて、

 本当に屑な男ね・・・。」


小声だけど確実に聞こえていますよ。

今度からカールにも一緒に居て貰った方が

良いかな。

ちなみにカールは先に席を取っておくと言って

酒場に行っている。


「コウイチ、昇格出来たかい?」

「あぁ。お陰様でね。」

「俺は何もしてないさ。

 コウイチ1人なら

 もっと余裕だったんじゃないか?

 おっと、その前に何飲む?」


と酒場のメニューを出してきた。

メニューを見ても何が出てくるか、

全く想像がつかないけど。


「もしかしてこの世界で注文するのは

 初めてかい?」

「今まではフォーメーションで済ませてたからね。

 外での食事は初だよ。」

「フォーメーションだとお酒は出なかったろう?

 飲みたくならなかったのかい?」

「俺は元々お酒が嫌いでね。

 普段から飲む習慣はないんだよ。」

「じゃあお酒じゃない方が良いか。」

「コーヒーでもあれば良いんだけど。」

「コーヒー?」

「なんて説明すれば・・・煎った豆を挽いて

 粉にしてお湯を注いで抽出した黒い液体

 とでも言えば良いのかな?」

「ブートティーみたいな感じかな?

 頼んでみるかい?」

「あぁ。」


そう時間は掛からずにブートティーとやらが

運ばれてきた。

確かに黒い液体だ。


「サトーとミークはいるかい?」


砂糖とミルクの事かな?

似た様な名前なのは助かるけど、


「いや、取り敢えず一口飲んでから考えるよ。」


コーヒーは中学生位の年頃だと

格好つけてブラックで飲んだりしてたけど、

成長するに連れて砂糖とミルクを入れる様に

なったんだよね。

でもあるコーヒーに出会った時、

本物のコーヒーはブラックが美味しいと

初めて知った。

そんな訳で一口目はブラックで飲んで

美味しければそのまま、今一なら砂糖とミルクを

入れる事にしている。

さて、このコーヒーじゃなくてブートティーは


「美味しい!!」


驚いた。

まさか異世界でこんな美味しいコーヒーが

飲めるとはね。

これは食事も期待出来そうだ。


「カール、肉系の食事はあるかい?」

「あるけど、食事にはちょっと時間が早いぞ?」

「実は朝から何も食べてなくてね。

 腹ペコなんだ。」

「じゃあ、ガルーダステーキで良いかい?」

「任せるよ。

 ご飯もあると嬉しいんだけど。」

「ご飯?」

「え~と、白い小さな粒が大量にあって・・・」

「リートかな?」


あっていると良いな。

食事が来るまで少し掛かるだろうから、

しばしコーヒーを楽しむとしよう。

そうだ、食後もコーヒーを頼もうかな?


「カール!今日こそ俺の女になれ!!」

「またお前か・・・しつこいな・・・。」


筋肉モリモリの男とその取り巻きが何人かいるぞ。

カールが男である事を知らなければ、

口説くのも仕方がないとは思うが、

明らかに釣り合わない男だな。


「ん?なんだこのヒョロヒョロした奴は?」


俺の事の様だ。


「俺のパートナーだ。」


そう言う言い方だと


「てめぇ!俺のカールに手を出しやがったな!!」


こうなると。

・・・面倒臭いな。

やっぱりソロが安定だよ。


「表に出ろ!!」

「おい!止めろ!!」


どうしようか・・・あっ、店員さんが食事を持って

困ってるな。


「店員さん、気にしないで食事を持って来て

 下さい。」

「えっ、あっ、はい。

 ガルーダステーキです。」

「無視すんじゃねぇ!!」

「お前の相手は後でしてやるから、

 食事くらいさせてくれ。」

「食事だぁ!!?

 ・・・まあ、いいだろう。

 最後の食事かも知れないからな。

 せいぜいゆっくり味わんだな。」

「遠慮なくゆっくり味わうよ。」


~2時間後~


「いや~、美味しかったな~。」

「てめぇ、本当にゆっくり食いやがって。」

「最後の晩餐なんだから良いだろう?」

「食い終わったんならさっさと行くぞ!!」


そういうと筋肉男は外に向かって行った。


「コウイチ、行かないのか?」

「食事のコーヒーじゃなくてブートティーを

 飲まないとね。

 店員さん、ブートティーをお願いします。」

「かしこまりました。」


食器もあわせて下げて貰った。

ゆっくりコーヒーブレイクと行こう。

ご飯4杯もおかわりしたから、

少し食休憩しないとね。


「てめぇ!何してやがる!!」


お早いお帰りで。

顔面真っ赤で物凄く怒っている様だ。


「何って、食後のブートティーを飲むんだけど?」

「いい加減にしろ!!」


筋肉男が俺達がいるテーブルを殴ろうとしている。

そのテーブルをどかす俺。

当然


「うわっ!?」


派手にずっこけると。

分かりやすい男だね。


「てめぇ!!!」


今度は俺に殴り掛かってきたぞ。

予想通りなので、盾には取り巻きを使うのが

ベストだね。


「グハッ!?」


とても痛そうだ。


「盾がいっぱいいて助かるよ。」


取り巻きを見ると後ずさりして

届かない位置に移動した様だ。

残念。

まっ、1人いれば良いか・・・ん?


「もう盾はいないぞ?」


一撃でノックアウトですね。


「さすが拳闘士Lv29だね。」

「なっ、なんでそれを!?」

「さてね。」

「これでも食らえ!!二連撃!!」


拳術Ⅱのスキルだね。

ならこっちは


「カウンターだよっと。」


拳術Ⅲのスキルだ。


「てめぇも拳闘士だったのか・・・。」


上手い具合に顎にヒットして、

そのまま気絶した様だ。


「アニキ!!」

「クソッ!覚えてやがれ!!」


取り巻きが筋肉男を連れて出て行ったぞ。

もう少し捻りのある台詞を吐いて欲しいもんだね。


「コウイチは拳闘士だったのかい?」

「第5だけどな。」

「コウイチの実力なら中級魔宮に行った方が

 良いかもな。」

「中級魔宮の依頼もあったんだ。」

「レベルが格段に違うからな。

 あの掲示板には張り出されていないだけだ。

 本来はDランクからだけど、

 俺と一緒なら行けるぞ?」

「じゃあ、行ってみるか。」

「OK、明日行ける様に手続きしておくよ。

 ところでコウイチは泊まる宿は決めたのかい?」


・・・今までずっとフォーメーションにいたから

考えてもいなかったよ。

まだ何処か空いているかな・・・?


「お待たせしました。」


取り敢えずブートティーでも飲んでから

考えるかね。

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