第27話~猛牛~
「お待たせ。」
「素直で良い娘だったろう?」
「(自分の気持ちに)素直な娘だったよ。」
「ところで依頼だけど、まずは魔物討伐依頼で
この辺りはどうだい?
コウイチのレベルで大丈夫そうかい?」
戦闘職Lv30前後なら比較的安全に討伐出来る
依頼だ。
これだと余裕過ぎるな。
「こっちの一番冒険者ポイントが高い依頼が
良いな。」
「これだと戦闘職Lv40以上が4人以上だから
俺でも厳しいぞ。」
「俺なら多分余裕だよ。」
「コウイチは一体何Lvなんだい?
ちょっとステータスを見ても良いか?」
「あぁ、良いよ。」
「ステータス コウイチ オープン。
・・・絶対無理だろう。」
「ん?あぁ、そうか。
ステータス隠蔽してるから
弱く見えるんだったよ。」
「隠蔽?」
「後で説明するよ。
取り敢えず大丈夫だから安心してくれ。」
「でも俺は厳しいんだが・・・。」
中級戦闘職の剣豪とは言え、
Lv10じゃ心配なのはしょうがない。
「俺に任せてくれ。」
「分かったよ。」
「ちなみにこの冒険者ポイントは
パーティーでも貰えるポイントは
変わらないのかい?」
「変わらないぞ。」
なら安心だな。
「じゃあ依頼を受けに行こ・・・カールが
受付に行ってくれ。」
「ん?じゃあ行ってくるよ。」
もうなるべく近付きたくないからね。
カールが行った方がマリーさんも喜ぶしね。
思った通り目に輝きが満ちた素晴らしい笑顔で
カールに接しているよ。
マリーさんが驚いた顔になったぞ。
選んだ依頼に驚いているんだろうな。
しかも俺の事を睨んできたし。
カールが何かを書いて何かを受け取ったぞ。
「お待たせ。」
「何か貰ったのかい?」
「これがないと依頼が達成されたか
分からないからな。」
と言い丸い玉、水晶みたいな物を見せてきた。
良く見ると数字の0が見える。
「魔物を倒すとカウントアップしていくのかい?」
「そうだよ。
これはランボルギーニ用だね。」
・・・ん?
ランボルギーニ?
「ランボルギーニって?」
「倒す魔物の名前だよ。
書いてあったろ?」
報酬しか見てなかったよ。
ランボルギーニってまさかねぇ。
「牛の魔物だったりして。」
「なんだ知っていたのか。」
本当に牛なのか・・・。
「ランボルギーニはそこそこ強いんだけど、
貰える経験値が少なくてね。
おまけに落とすアイテムもショボいから
誰も相手にしないんだよ。」
「報酬が高い理由は増えすぎたからって事かい?」
「そうなんだよ。
倒すのはたった100匹でも、
相手にするのは1,000匹を超えるだろうから
かなりキツイ依頼なんだよ。
1匹なら余裕なんだけどね。」
「高い所から魔法で倒せれば楽なんだけど。」
「平原だから無理だな。」
「それは残念だ。
取り敢えず行くとするか。」
「場所はこっちだ。」
カールに案内されて冒険者の館を出た。
これで殺気の渦から逃れられて、
安心・・・するのはまだ早いらしい。
外にいる人達からも睨まれまくっているな。
当の本人は相変わらず楽しそうだ。
「ところでさっきの隠蔽って?」
「ボーナスポイントで貰った能力の1つだよ。
剣士Lv5に見えただろうけど、
実際は剣士Lv37なんだ。」
「剣士Lv37?
それだとこの依頼はキツイぞ。」
「第1職業はだ。
第2~6まで37以上が揃っているよ。」
「それは凄いな。
とは言え、ランボルギーニの突撃は凄いからな。
油断するなよ。」
「分かったよ。」
「それからこれもちゃんと持っておいてくれ。」
「さっきの水晶か。」
「依頼はパーティーで共有ではないからな。」
「じゃあどちらが止めを刺すかが重要なんだね。」
「いや、どちらが倒しても
パーティーで倒した事になって
同時にカウントされる事になるぞ。」
「それはお得だね。」
「でも魔物を倒した時に得られる経験値は
半分になるから全部得って訳ではないな。」
「なるほどね。
おっ、1匹いたぞ。
スラッシュ!!」
「一撃か。
本当に強いんだね。
でも本番はここからだぞ。」
「確かにね。」
複数の気配が丘の上辺りに感じる。
一歩一歩近付くに連れて気配が
どんどん増えている。
一体どれだけの数の魔物がいるんだ?
おまけに自動車の爆音みたいのも聞こえるんだが。
「ここが平原?
地面が見えないぞ。」
「これは思った以上だな。
俺は左側をやる。
コウイチは右側を頼んだぞ!!
スラッシュ!!」
カールが牛・・・ランボルギーニに
斬りかかって行った。
俺は右側ね。
ランボルギーニが俺を見ている。
前足を蹴り上げながら突撃体勢を整えている様だ。
ついでに音の正体は、
ランボルギーニの鳴き声だった。
そして突撃して来たぞ!!
「これだけ広い場所なら大丈夫だな。
グロスヴァーグ!!」
水魔法Ⅲの大波だ。
でも数が多すぎるな。
波を突き抜けて突撃して来てるし。
「スラッシュ!!」
前足を斬って上手く転ばせたけど、
平然と乗り越えて来るな。
カールは大丈夫か?
なるほど、ランボルギーニの背を飛びながら
移動しつつ攻撃を加えるか。
俺もと思ったけど、着地を失敗して
落ちる姿が浮かんだから止めておこう。
他に方法は・・・そうだ!!
「サーブルムヴァン!!」
土魔法Ⅲの流砂だ。
良い具合にランボルギーニが沈んでいくぞ。
それでもこっちに向かってくる奴は
「スラッシュ!!」
これでOKだね。
後は・・・
「カール!こっちだ!!」
俺の呼び声にカールが振り返り
こっちに戻って来た。
「凄いな。
コウイチがやったのか?」
「まあね。
サーブルムヴァン!!」
カール側にも流砂を作った。
これで抜け出せた魔物だけ相手にすれば済むな。
「まさかこの依頼がこんなに楽になるとはね。」
「ちなみに100匹以上倒したら
報酬が増えるとかは?」
「ないな。」
「それは残念だね。
スラッシュ!!」
「あっ、でもこの水晶の買い取り価格は上がるから
全く意味がない訳ではないな。」
「それなら倍の200匹程度を倒して
資金を稼ぐとしますか。」
「OK、分かったよ。」
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「こいつで200匹だ!スラッシュ!!
よし、逃げるぞ、カール。」
「OK!!」
≪剣士がLv38になりました
冒険者がLv46になりました
探索者がLv46になりました
拳闘士がLv38になりました
雷魔道士がLv38になりました
スキル・移動術Ⅴ:歩行走行速度上昇(神)を
覚えました≫
レベルが上がったぞ。
経験値が少ない魔物とは言え、
200匹倒せば結構貰えるもんだね。
「これでコウイチの冒険者ランクがEになるぞ。」
「1回で1つランクが上がるなんて、
本当に報酬が良いんだね。」
「Dランクに上がるのはもっと大変だけどな。
1回受けた依頼は再度受けても、
貰える報酬は半分になるからな。」
それは厳しそうだ。
なんか手っ取り早い方法はないのかな?




