表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妄想世界~女神の過ち~  作者: 耕一
24/74

第24話~孤高の美女~

お尻が痛いな。

馬車に乗り込み十数時間。

既に世が明けてしまったが、

まだソギョーツには辿り着かない。

かなり揺れる馬車の中で眠るのは結構大変だけど、

俺には元々持っている特殊スキル

『即時睡眠』があるからね。

・・・単なるどこでも眠れる

図太い神経なだけだけど。

しかし随分と乗るんだね。

どの位掛かるか聞いておけば良かったかな。


「町が見えてきたぞ。」


馬車の運転手が乗客に向かって言ってきた。

運転手の方を覗くと・・・あれか。

プルミエより少し大きそうだね。

石造りの壁なのは、この世界の共通なのかな?


「さあ、着いたぞ。降りてくれ。」


馬車を降りて伸びをすると

体がバキバキと音を立てた。

随分と体が固まった様だ。

途中休憩があったとはいえ、

十数時間も乗っていれば当然か。


「おう、あんた。」


運転手が俺に声を掛けてきたぞ。


「ソギョーツは初めて何だろう?

 まずは冒険者の館に寄ると良い。」


顔に似合わず優しい人だね。

ここは素直に聞いておこう。


「分かりました。

 どちらに行けば良いですか?」

「町の中心に行けば直ぐに分かる。

 フォーメーションと良く似ているからな。」

「分かりました。

 ありがとうございます。」


中心ね。

早速行ってみるか。

回りを見ながら歩いていると冒険者風の人が

結構いるみたいだ。

しかもプルミエよりも強い冒険者が

沢山いるみたいだね。

あの男性は剣士Lv21、

あっちの女性は付与魔術士Lv13。

遊び人なんて職もあるぞ。

確かユニーク職だったかな。

皆そこそこ経験を積んでいるみたいだから、

良い稼ぎ場があるのは間違い無さそうだ。


大きい建物が見えてきたぞ。

確かにフォーメーションに似た煉瓦造りの建物だ。

分かりやすくて助かるよ。

早速入ってみよう。

・・・中を見回してみたけど

どうやらサーシャさんみたいな人はいなそうだ。

というか居酒屋か?ここは・・・。

昼間っから酒を飲んでいるのが沢山いるぞ。

まさか場所を間違えたのか?

あっ、でも奥に人だかりの辺りに

掲示板見たいのが見えるぞ。

あっちは飲んでいる人ではなさそうだけど。

掲示板に張り出されている紙を見ているのかな?

俺も近づいて見てみるか。


なるほど。

所謂クエスト・・・色々な依頼が

張り出されているんだね。

薬草収集に魔物退治、迷宮情報。

山賊捕縛何てのもあるぞ。

で、これを見て向こうの受付で

手続きをする感じか。

オンラインゲームと違って経験値を貰えたりは

出来ないけど、報酬でお金やアイテムが貰えるから

受けても良いかもね。

お得な依頼は・・・報酬が高いのは

魔物退治だね。

魔物が強ければ強い程、報酬が高いみたいだ。

今の俺ならどの依頼でも問題無さそうだし。

でもどうやったら魔物を100匹退治したって

分かるんだろう?

誰か見ている訳ではないだろうし、

倒したら魔物は消えてしまうから

死体を持って帰るのも無理だしね。

受付で聞いてみるしかないか。

でも忙しそうだから、ただ聞くのではなくて、

一番高い報酬の大猿退治依頼を受けるついでに

聞いてみるか。

それなら他の人にも迷惑は掛けないだろうし。

ん?何か急に騒がしくなったぞ。

何だ?


「孤高の美女のカールさんだ。」

「相変わらず美しいな・・・。」


孤高の美女?

まともな二つ名を持っている人もいるんだね。

どんな人かな・・・これは想像以上だ。

綺麗に輝くブロンドのロングヘアー。

透き通る程の美しい白い肌。

吸い込まれそうな青い瞳。

着ている鎧まで他の冒険者と違って

純白の気品溢れる鎧だ。

100人いたら100人が美女と

間違いなく答える程の美女だね。


こっちに来るぞ。

まるで十戒の様に人が別れ、

彼女が通る道を作っている。

孤高の美女が俺の直ぐ横に来たぞ。

間近で見ると本当に完璧な美しさなのが

良く分かる。

これ程完璧な美女だと、まるで作られた様な・・・

作られた?

まさか・・・やっぱり


「転生し・・・」


危ない、また言う所だった。

って思いっきり見られてるし。


「お前、いま転・・・」


彼女も言い掛けて口を摘むんだぞ。

転生者である事を彼女も回りに知られたくは

ないみたいだ。


「ちょっとこっちに来い!!」


無理やり俺の腕を掴んで、

そのまま冒険者の館から引きずり出されたぞ。

何処に行くつもりだ?

しかし随分と口が悪い人だね。

美人なのに勿体ない気がするよ。


「お前、さっき転生者って言ったよな!?」


建物の影に入り、壁ドンされながら言われたぞ。

女の子ならキュンとする所だけど、

俺は男だからね。

全く意味が・・・なくもないな。

美人に迫られるのも悪くないかも知れない。


「お前も転生者なのか!?」


何か良い匂いもするし。


「聞いてるのか!?」


唇に吸い寄せられそう・・・って、


「あっ、ごめん。聞いてなかった。」

「・・・お前も転生者なのか?」


さて、どうするか。

答えて上げても良いけど・・・


「『お前も』って事は、

 『あなたは』転生者なんですね。」

「・・・お前も何だろう?」

「初対面の人間を無理矢理捕まえて

 お前呼ばわりする人に答えてあげる程

 優しくはないんでね。

 ご想像にお任せするよ。」


バツが悪そうな顔になったぞ。

いくら美人と言えど、

無礼者の言う事を聞くのはね。

そもそも俺は美人系より可愛い系が好みだし。


「・・・すまなかった。

 お前呼ばわりしたのは謝るよ。

 俺1人じゃどうにもならなくて焦っていたんだ。

 許してくれ・・・。」


おや、随分と素直だね。

本当に切羽詰まっているみたいだね。


「えっと・・・なんて呼べば?」

「耕一だ。」

「コウイチね。

 コウイチさんが転生者なら助けて欲しいんだ。」

「助ける?

 魔物退治・・・は転生者じゃなくても良いか。」

「キャラの変更方法を知っていたら

 教えて欲しい・・・。」


キャラの変更!?

一体どういう事!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ