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妄想世界~女神の過ち~  作者: 耕一
23/74

第23話~旅立ちの時~

「後は私達が行います。」


そう言ったのはフォーメーションの職員だ。

こういった後始末まで担当するんだね。

このまま放置して炎が森に広がっても困るしね。

みんな水魔法を覚えている事から言っても

任せておけば大丈夫だな。


「じゃあ、お任せしてプルミエの町に

 戻るとするか。」

「はい。」


ヨルンがキアーサ達の装備を持とうとしている。

冒険者の職のレベルは1のままだから

当然アイテムボックスは持っていない。

となると手で運ぶしかないのは必然だね。

とても持ちきれる量ではないけど。


「俺がアイテムボックスにしまって

 持って行くよ。

 しかし随分多いな。」

「11人パーティーだったので。」


転がっていた死体は全部ボスに殺されたのね。


「この装備や道具はどうするんだい?」

「基本的には全部売って資金にしますが、

 ボスを倒したのはコウ様なので

 コウ様の好きな様に使って下さい。」

「俺はこれがあるからヨルンに上げるよ。」


魔宮の札があるからね。

この札1枚で10万ユラン。

1ヶ月の稼ぎががこれ1枚と同等なのだから

凄い事だよ。


プルミエの町に戻り、

まずはフォーメーションへ報告だ。


「・・・という訳でLv差がありすぎると

 ボスの成長を早めてしまうので

 Lvによって立ち入りを制限した方が

 良いと思います。」

「魔宮にそんな秘密が・・・。」


やっぱり知られていないのか。

最も秘密を簡単に話す魔族も早々いないだろうし、

俺だって25倍がなかったら、

魔宮の主の方が強いだろうから、

殺されていただろうしね。

次に弱い魔宮に入る時は、

さっさとボスを倒さないとな。


「分かりました。

 すぐに上に報告します。

 それにしても良くそんな相手を倒せましたね。」

「運が良かっただけですよ。」


疑問な顔をしつつサーシャさんは

上に報告しに行った。

お次は魔宮の札を渡して懸賞金を貰うとしよう。

魔宮に関する受付は緊急で設置した

専用窓口があるからそこで渡せばOKだ。


「魔宮の主を倒して魔宮の札を持ち帰りました。」

「はい。

 ・・・確かに魔宮の札ですね。

 懸賞金の10万ユランです。」


銀貨10枚だ。

ちなみにこの世界は硬化のみで

鉄貨が1ユラン、銅貨が100ユラン、

銀貨が1万ユラン、金貨が100万ユランだ。

金貨を見る事なんてまずないかな。

取り敢えず金庫にしまっ・・・駄目だ。

俺の金庫は10万ユランまでしか

入らないんだった。

困ったな。

金庫スキルのLvを上げないと。

確か出し入れする事でLvが上がるはずだから、

今は10万ユラン近く入っていて、

25倍で250万ユランくらい出し入れした事に

なるはずだよな。

となると1000万ユラン位出し入れすれば

Lvが上がるかな?

3回位出し入れすれば・・・


≪金庫Ⅰが金庫Ⅱになりました≫


よし、スキルLvが上がったぞ。

金庫Ⅱは1000万ユランまで入るのね。

そんなにいらないけど。


さて、お次は


「ヨルン、キアーサ達の装備は全部売るのかい?」

「はい。」

「じゃあ、売りに行くとしようか。」

「はい、コウ様。」


しかし本当に素直になったね。

キアーサ達が死んだ今、

ヨルンの今後が心配だったけど

今の素直なヨルンなら可愛いし、

他のパーティーにもすんなり入れそうだ。

・・・元に戻らなければだけど。


「この装備を買い取って下さい。」

「量が多いな。少し待ってくれるかい?」

「分かりました。

 ヨルン、おれは他に見たいものがあるから

 後は大丈夫かい?」

「はい、大丈夫です。」


じゃあ、俺は旅の準備でもするとするか。

まずは道具屋に寄って、各種回復アイテムと

ランタンの燃料も買い足さないと。

テント・・・は、やっぱり必要だよな。

寝袋もあった方が良いし。

スキルの中級道具ⅠのLvを上げれば

自分で作れる様になるけど今は無理だから

買うしかないね。

他には手や体を拭く布を多めに買って、

調理道具もあった方が良いから

包丁と鍋にフライパン、おたまやフライ返し、

ナイフにフォークにスプーン・・・


「・・・が付いたお得な旅立ちセットが

 たったの3000ユラン!!

 どうですか?

 かなりお得ですよ!?」

「それでお願いします。」


さすが冒険初心者の町。

悩まなくても初心者向けに揃っているのね。

となると食料も・・・


「堅焼きパン、干し肉、干し魚、飲み水が

 5日分付いたお得な携帯食セットが

 たったの500ユラン!!

 今ならおまけで各種調味料とドライフルーツも

 付けちゃうよ。」

「それでお願いします。」


これで旅立ちの準備が整ったぞ。

しかしこれ、アイテムボックスがないと

物凄い量の荷物を抱えて歩くことになりそうだね。

他の冒険者ってどうしているんだろう?

と気になったので聞いてみると、

パーティーに1人は冒険者の職で

アイテムボックスを使えるようにして

重い物や大きい物をしまっているんだそうだ。

言われてみれば確かに洞窟や魔宮に行く時は

みんなパーティーを組んでいたね。

そしてそのパーティーで旅立つと・・・。

俺もパーティー組んで・・・ないな。

地球にいた時も誰かと行動するよりも

1人で行動する事を選んでいたな。

無意識で。

という訳でやっぱり気楽な1人旅だな。


さて、準備も出来たしサーシャさんに挨拶して

旅に出るとするか。


「お世話になりました。」

「いえ、冒険初心者を案内するのが

 私達の責務ですから。

 それよりもプルミエを出て

 どちらに行くつもりですか?」


・・・全く考えてなかったな。

どうしようか。


「特に決まっていないなら、

 『ソギョーツ』に行くと良いですよ」


ソギョーツ。

確か北東の方にある町だったかな?


「確か北東の方にある町でしたっけ?」

「はい。

 フォーメーションを出た方が

 更なる経験を積むのに適している場所です。」

「じゃあ、そこに行ってみます。」

「ソギョーツへは毎日夕方に

 馬車が出ていますから、

 乗っていくと良いですよ。」

「夕方と言う事はそろそろかな?」

「そうですね。

 あっ、ちょっと待ってて下さい。」


そういうとサーシャさんは早足で

何処かに行ってしまった。

と思ったらもう戻ってきたぞ。


「これを馬車に乗る時に見せて下さい。」

「これは・・・コイン?」

「初回だけ馬車の乗車が無料になります。」


最後までお世話してくれるとはね。

フォーメーションはありがたいね。


「ありがとうございます。

 では、行きますね。」

「はい、いってらっしゃいませ。

 無理はしないで下さいね。」


ニコッと笑いながら会釈をし、

フォーメーションを出た。

さて、馬車は・・・おっ、あれか。


「乗るのかい?」

「はい。ソギョーツまでお願いします。」


そう言ってコインを見せた。


「ソギョーツはこことは違い甘くないからな。

 注意を怠らない様にな。」


ここはフォーメーションのお陰で

至れり尽くせりだったからね。

気を引き締めないとな。


「コウ様!!」

「ヨルン・・・。」

「私もい・・・。」


一瞬言葉に詰まったが、

意を決した様に話し始めた。


「私も一緒に行きたいです。

 でもコウ様の足で纏いにはなりたくありません。

 だから今度会う時までに

 コウ様に着いて行ける様になります。

 その時はパーティーに加えて貰えますか?」


最初の印象と違いすぎて少々戸惑うが、

人間変われば変わるものだね。

俺の成長速度に追い付くのは無理だとは思うけど、


「次に会う時を楽しみにしているよ、ヨルン。」

「コウ様・・・。」


本当に楽しみだよ。

そして馬車に乗り込み、ヨルンに軽く手を振りつつ

馬車はソギョーツへと出発・・・しないねぇ。

やっぱり最後まで格好良くなんてのは

漫画だけの世界だね。

やれやれ・・・。

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