第18話~探索者~
ワープ装置を使ってジェリーの森にやって来たぞ。
向こう側にエールライオンが
フレイムブレスで燃やした場所が見えるな。
こんなに近くに魔宮があったんだね。
・・・で、魔宮は何処にあるんだ?
森が普通に広がっているだけで
全く魔宮らしい物が見当たらないぞ。
そうだ、孔雀眼で見れば・・・あった。
木の根本に僅かにある黒い霧の様な物が
入り口なのか。
調査隊の人達は良く気付けたね、こんなの。
どうやって中に入れば良いんだろう?
手で触れれば勝手に入れるのか?
試しに・・・手が入ったぞ。
と言う事はそのまま入れば良いのね。
とはいえ、手から入ると
逆さになりそうな気もするから
足から降りる感じで・・・。
上手く入っ・・・
「ギャー!!」
なっゴブリン!?
剣は間に合わ
「拳圧!!」
「グギャ!?」
危なかった・・・。
入ってすぐにいるなんてね。
次からは剣を抜いて入る事にしよう。
ん?これが魔石か。
ゴツゴツした感じの黒い石なんだね。
大きさはかなり小さい。
500円位の大きさかな?
取り敢えず
「アイテムボックス」
冒険術Ⅲで覚えるスキルだ。
全職業のLvを足した数分、格納する事が出来る。
今の俺だと338個だね。
このスキルがあれば当面は持ち運びに困らないね。
そういえば何でも入る袋があるって
説明書に書いてあったけど、
このスキルがあれば必要ないんじゃ?
いや、でも商売を始めて在庫をと考えると
スキルだけじゃ足らないかも。
何でも使い方次第ってね。
ここが魔宮の中か。
暗いのかと思ったら結構明るいんだな。
壁全体が光っているのかな?
見たところ煉瓦調の壁だけど、
俺の知っている煉瓦とは違うんだろう。
魔族が作った物だしね。
通路の幅は3・4人が並んで歩ける位に広い。
剣を振る分には問題なさそうだ。
さて、こういう迷宮の簡単な攻略法は幾つかある。
言わずとも皆が知っている方法だ。
1個目は一番確実な壁を上って進む方法。
ゴールが見えているから一番確実だ。
しかしこの方法は天井が無い事が大前提だからね。
今回は使用出来ない。
2個目は壁を潜る方法だ。
ゴールが見えない分、確実性は低いが、
四隅を回れば必ずゴールに出れる。
この方法は下が空いている事が前提のため、
やっぱり今回は使用出来ない。
3個目は迷宮の外からゴールを目指す方法。
勿論今回は使用出来ない。
4個目は壁を壊して行く方法。
頑張れば壊せそうだけど、
魔族が作り出した物なのだから
修復もされるだろう。
残る手段は左手の法則か勘だ。
今回の場合、次のフロアへ行くための扉が
壁際にあるのが分かっているので、
時間は掛かるけど確実に辿り着くのは確かだ。
勘が優れているならば早く着けるかも
知れないけどね。
こんな感じで迷宮の攻略法はあるけど、
俺は地図を全て埋める派なので・・・しまった。
MAPを作成するための紙や鉛筆を買い忘れたぞ。
一旦買いに戻るべきか?
あっ、待てよ。
確か探索者って職業が自動MAP作成してくれる
スキルがあったよな。
探索者を覚える条件って何だったけかな?
説明書を・・・これだ。
魔宮に出入りする事ね。
何回か入る必要があるのかも知れないけど、
俺なら1回で大丈夫かな?
取り敢えず1回魔宮を出て・・・
≪職業:探索者に転職出来る様になりました≫
よし!
職業に探索者を入れておこう。
ついでに他のも変えておくか。
第1職業は剣士、第2職業は冒険者、
第3職業は探索者、第4職業は治癒魔道士、
第5職業は拳闘士、第6職業は雷魔道士。
こんな所かな。
職業に探索者を設定したから探索術も覚えたぞ。
探索術Ⅰは地図作成だ。
これで次回から迷う事なく進めるな。
もう一度魔宮に突入だ。
今度は剣を構えて・・・魔物はいないと。
構えている時は来ない何てのは良くある事だよね。
とは言え曲がった先に魔物の気配を感じるから
注意しておかないと。
今度は攻撃する前にステータスを
確認しておきたいな。
曲がり角の手前で止まって魔物の様子を見つつ、
ステータスを確認。
ゴブリンLv3ね。
今まで倒してきたゴブリンは皆Lv1だったから、
少し強くなっているんだね。
とは言え俺の敵ではないな。
貰える経験値は同じで持ち物もなしか。
何だかお得感がない魔物だね。
せめて魔石を持っていてくれればね。
取り敢えず倒しておくか。
≪探索者がLv3になりました≫
あれ?
魔石が落ちてるぞ。
これは持ち物とは認識されない物なのかな?
と言う事は見つけた魔物を全部倒せば、
旅の資金稼ぎには良い感じだね。
ちなみにこの魔石は30ユランで売れる。
さっきのは32ユランと魔石毎に買い取りの値段は
違う様だ。
孔雀眼があるから価値は分かるけど、
売る場所の需要による変動までは分からないから
おおよその目安って所かな。
騙される心配が減るのは良いけどね。
おっ、またゴブリンだ。
Lvも同じ。
どうやらこのフロアはLv3ゴブリンしか
出現しない様だね。
となると魔宮を作った魔族も
そんなに強くはなさそうだ。
魔族・・・魔族は特殊な種族だ。
例えば魔族の子供が生まれた場合、
種族は魔族だが魔宮を作る等の魔族特有の能力は
持たない。
魔王に力を求めて初めて魔族の能力を得る事が
出来る。
そして他の種族でも魔王に力を求めれば、
元の種族を捨てて魔族となる仕組みだ。
転生者の俺でも魔王に力を求めれば
魔族になる事は可能だ。
しかも魔王がこの場にいなくてもなる事が可能。
その時は今の混合種族ではなくるけどね。
魔族になれば魔族特有の能力だけではなく、
ステータスも上がる。
勿論良い事ばかりだけではない。
魔族になって魔王に会ってしまえば
魔王の能力で強制的に配下にされてしまう。
最もそれを知っているのは孔雀眼で魔王の能力を
見た者だけ・・・つまり極一部の転生者しか
知らないという事だね。
おかげで魔族の力に目覚めてウハーな展開は
出来なくなった訳だけど。
まだ他の種族の血もあるから希望はあるけどね。
さて、1フロア目は一通り回ったし次のフロアへ
行くとするか!!




