第14話~紅のリーフ~
なかなか強かったけどこれで終わりだ。
「バッ・・・!?」
グハッ!?
何とか剣で防御したけど、
エールライオンがもう1体だと!?
しかもLv25!?
不味い。
1体でも大変なのに、もう1体は無理だ。
ここは一旦引いて・・・挟み撃ち!?
交わすのは無理だ。
Lv20の方はもう一撃位で倒せるはず。
Lv25の攻撃を食らう覚悟で
Lv20を仕留める!!
「バッシュ!!」
倒した・・・あれ?攻撃されてない?
「良く頑張ったね、コウイチ君。」
誰?
でも攻撃されてなかったのではなく、
この人が攻撃を受け止めてくれたらしい。
相当な実力者の様だね。
「さあ、コウイチ君。
後は僕に任せて下がってて。」
俺の名前も知っている・・・そうか。
フォーメーションからの依頼で
退治に来てくれたのか。
お人好しの冒険者もいるんだね。
「大丈夫?今回復するね。」
お仲間かな?
「ありがとうございます。」
「チリン」
チリン・・・治療Ⅴの魔法だ。
熟練者じゃないと覚えられない魔法だな。
お仲間の実力も相当だね。
≪拳闘士がLv17になりました
治癒魔道士がLv17になりました
重剣士がLv15になりました
槍技士がLv16になりました
猛獣使いがLv13になりました
スキル・重剣術Ⅱ:シールドカウンターを
覚えました≫
Lvが上がったって事は、
もう戦闘が終わったのか。
「終わったよ。
はい、これはコウイチ君のだよ。」
これはエールライオンの牙と爪と・・・羽根?
「この羽根は私が倒したエールライオンが
持っていた物ではありませんよ。」
「これはレアだからね。
持ち物には見えないよ。」
そうなのか。
「分かりました。
でも助けて貰ったので
お礼として受け取って下さい。」
「助けに来たんだから当然の事をしただけだよ。
でも助けはいらなかったかな?」
「いえ、本当に助かりました。」
「それにしてもコウイチ君は不思議だね。
装備は初心者そのもの、
職業は剣士Lv5。
ステータスだって全く高くない。
倒せる要素が何処にもないのに
一体何をしたんだい?」
ステータスまでバレてるのか。
でも隠蔽までは見破れないみたいだね。
その点、俺の孔雀眼でみれば・・・
ボーナス能力に 女神の愛!?
まさか・・・
「転生者!?」
「え?何でそれを!?」
しまった、つい声が・・・。
「仲間しか知らない事を君が知っているという事は
君も転生者かい?
しかも裏のステータスが見れなければ
絶対に分からないから、
ボーナスポイントで孔雀眼を手に入れた・・・
そうだね?」
仕方がないか・・・。
「その通りだよ。俺も転生者だ。」
「通りで初心者の割には強すぎる訳だ。
しかもステータスまで偽装してるって、
一体何ページ読んだんだい?」
「全ページ読みましたよ。」
「凄いね、コウイチ君。
僕なんて数ページで止めちゃったよ。」
ボーナス能力が第3職業追加と職業変更Lv3と
経験値獲得2倍と必要経験値1/2だしね。
合計ポイント数からいっても
全く読んでいないのが丸分かりですよ。
でも数ページよりは読んでいそうな気がするな。
「昔から説明書読むのが苦手なんだよね。
全部読んだって事は
ボーナス能力もかなり良いんだろうね。
職業追加や経験値系を沢山取ってあれば
エールライオンを短期間で倒せたのも
頷けるね。」
さすが同じ転生者だね。
良くわかっているよ。
「そういえばコウイチ君はどんなランダム能力を
手に入れたんだい?
僕は『意欲上昇』って能力で
みんなのやる気を上げれるんだ。」
『意欲上昇』。
モチベーションをあげる能力。
Lv4で他人まで上げれる様になるのは
結構良いかもね。
勇者とかに必要そうな能力かも?
ん?・・・勇者ポイント?
人々の支持により上昇するポイントね。
もしかしてこれが勇者になる条件なのかな?
それよりも俺の能力か。
2つあるなんて言ったら・・・
って馬鹿正直に答える必要はないよな。
とは言え答えないのもね。
となると・・・
「排泄消去って能力でトイレに行かなくて
良くなったよ。」
「それは物凄く良い能力だね!
この世界じゃトイレは結構困るからね・・・。」
あっ、やっぱり困るんだね。
戦闘には役に立たないけど。
「それにしても同じ転生者なんて
初めてあったよ。」
「そうなんだ。」
「孔雀眼を持っていないから
気付けないだけかも知れないけどね。」
確かにそうだね。
となると俺はこの先も何人か会う事になるかも
知れないな。
「そういえば見た目は僕の転生前の星の人と
似ているけど、コウイチ君もコーチ星から
来たのかい?」
「いいえ。地球と言う星です。」
「違う星でも同じ様な感じになるんだね。
それともキャラ作成の時に見た目を
変えたのかな?」
「変えていないので似た生物が住んでいるのかも
知れませんね。」
宇宙人はいるとは思っていたけど
こんな所で会う事になるとはね。
「ねぇ、ダージー。
2人で盛り上がってないで私達も混ぜてよ。」
魔法使いって感じの女性だ。
わざわざダージーに
ボディータッチをしながら言う所を見ると、
勘違いする男性が続出しそうな女性だね。
「アールレイ、ごめん、ごめん。
つい興奮して話し込んじゃった。
コウイチ君。
この娘は高貴なるじゃじゃ馬のアールレイ。
職業は光魔道士だよ。 」
「よろしくね、コウイチ。」
「こちらこそ、よろしく。」
「こっちは・・・って孔雀眼で見えるんだっけ。」
「えっ、あっ、見えますね。
そっちの男性が炎の美技のセインさんで
職業は魔法剣士ですね。」
「よろしく。」
腕を組んで立っているセインが、
右手を僅かに上げて挨拶したぞ。
2本の指を立たせてやる所が
様になりすぎているな。
「それから私を回復してくれたのが
セイントマンサーのニルさんで、
職業は死霊魔道士ですね。」
「不気味な職業でごめんね。」
白い聖なる衣装に包まれた姿からは
想像出来ない職業だね。
治癒魔道士から転職していけば
死霊魔道士になれるから必然と言えば必然かな。
「そして僕は盛り上げ職人のダージーだよ。
職業は剣聖だ。」
1人だけ最上位職なのはさすが転生者って所か。
しかし変な二つ名ばかりだね。
格好良いのは漫画やゲームの世界だけか・・・。
「俺は神・・・職業不詳のコウイチです。」
危うく最高にダサい二つ名を披露する所だったよ。
「職業不詳って・・・。」
「今は色んな職業のLvを
片っ端から上げているので
決まってないんですよ。」
二つ名の突っ込みがなくて助かったね。
初心者だからまだないと思ったのかもだけど。
「なるほどね。
コウイチ君なら勇者になれるかもね。
色々な職業を極めた先に勇者への道があるって
噂だし。」
ん?
勇者ポイントは関係ない?
いや、孔雀眼でしか見れないのであれば、
誰も知らないのかも知れないな。
「勇者に一番近いのはダージーさんですよ。
多分ね。」
「そんな事はないと思うけど。」
勇者ポイントの事は黙っておくか。
そっちの方がドラマになるしね。




