休日:第四グループの新たな日常
なかなかうまく書けないものですねもっともっと勉強必要です。勉強やりたくないですけど・・・
眩しい。布団に蹲っている春瀬はそう思った。
次第に頭が起きてくる。
昨日カーテンを閉め忘れたのだろうか?それとも誰かが開けたのだろうかと考えはしたが、
「春瀬ちゃあん!あっさだよおお!」
その声とともに春瀬の身体を包んでいた布団は勢いよく飛んで行った。
「ん……んむぅ」
ぼーっとした目で見渡すと、ベッドの隣には桜木が仁王立ちで立っていた。
「おはよう春瀬ちゃん!」
「……ふみゅぅ!?」
ベッドに乗り込んで来た桜木に頬を摘まれ、不意に変な声を出してしまった。
とりあえず春瀬は体を起こし、桜木を見た。
「えっと……何のご用ですか?」
ニィっと笑う桜木。
「今日は休日だ!」
「そうですね」
「だから遊ぼう今すぐ遊ぼう!!」
春瀬は彼女のテンションについていけなさ過ぎて慌てた。
「ちょっ、ちょっと待ってください。まだ着替えてないですし、それに顔も洗ってないですし、歯も……」
すると、桜木はまたニィっと笑った。
「じゃあ!表で待ってるから!」
テンションに押されながらも春瀬は、
「わ、わかりました。急いで支度しますね」
と微笑みかけた。
桜木が部屋を去った後、春瀬は楽しそうに鼻歌を歌いながら寝間着のボタンを外してゆく。
が、その手は止まった。
自分が魔女であるが故に第四グループのメンバーが敵に襲われるのではないかという不安もあるからだ。
「…………」
彼女はそっと自分の手を見つめた。
その表情に先ほどまでの輝きはない。
部屋の扉を開けるとそこには第四グループがみんな揃っていた。
みんな私服の様だ。よく似合っていると春瀬は思った。
妃之御はスカートではなく白いジーンズをベルトを巻いて着ている。服は厚めの生地ではあるが半袖のTシャツだ。今の季節的には少々肌寒いと思われる服装だが、妃之御にはそのような仕草が見えない。
九重は赤みの強いミニスカート。長袖のTシャツを着ている。
桜木は白のフリフリのミニスカート。ピンクのTシャツの上にオレンジ色のパーカを羽織っている。
三人ともよく似合っている服装だと春瀬は素直に思った。
一方、春瀬の袖もスカートも長めの服装を見て桜木が指を差した。
「露出が低い!」
「何言ってんだよ」
呆れた顔の妃之御からのつっこみを無視したままそうだ!と大声を出した。
「私達で新メンバー春瀬ちゃんをコーディネートしようではないか!」
「え?」
もともと行き先も決めてない上、ただの懇親会ついでに遊ぼう程度だったのだが、この一言で予定が決まった。
「デパートとスーパーの違いは大きさの他、値段の高さにあるらしい。紳士服などを揃えている食品店も今はなくはないが、専門店のように値段のそこそこ張るものがないのはスーパーであり、様々な専門店などがある場所はデパートなのだ」
という桜木の偉そうな態度の雑学を聞きながら、デパートで春瀬をコーディネートする店を探している第四グループ。
雑学を聞いている春瀬はそれ対して本当に関心しているようで、かなり会話が弾んでいるようだ。
「私に近づかないほうがいいなんて言った子には見えないわね」
ふと自分の言われた言葉を思い出し、今の春瀬を見返した。
「まぁ、そんなに近づきがたいやつじゃなくて良かった。佟華はメンバーでもあり任務の対象者でもあるからな」
九重にとってもまさしくそうであったようで、うんうんと頷いている。
「でも、何で突然私達と接してくれるようになったのかしら?」
「忘れてるんじゃないのか?」
「はい?」
ぽかんという表情に変化した。
顎に手を当てながら妃之御が説明を始める。
「佟華は多分、私達と一緒にいるのが楽しいんだ。だけど自分が魔女だから周りに迷惑がかからないように近づかないでって言ったんじゃないか?今は楽しいからその事すっかり忘れているんだろう」
唖然とした顔で春瀬を見る。
「もしかしてあの子。アホなの?」
「かなりね」
妃之御はでも、と言葉を続けた。
「すごく優しいやつだ」
九重が見た妃之御は微笑んでいた。すごく優しい笑みだった。
いつの間にか店を見つけていた桜木が店の目の前で大きく手を振っている。
「おーいっ!!ここ!!ここ!!」
桜木のいる場所に早歩きで二人が向かう。
「もう!遅いよ~。歳じゃないの?」
「あんたの精神年齢がお子ちゃますぎるのよ」
むっとしながら九重は桜木にデコピンをする。
「いてっ!」
デコを押さえて蹲る。
「だ、大丈夫ですか?」
春瀬がそっと桜木に声をかける。
「そんなバカほっといていいよ」
冷たく言い放つ横で、「コスプレグッズ店」という店の名前を見ながら青ざめた少女がいた。
妃之御結衣である。
そんな妃之御を見ながら万遍の笑みで桜木が言った。
「大丈夫。『今日』は結衣じゃないから」
意味深な言葉を放ちつつ立ち上がる。
「そ、そうか!……良かった」
と、安堵したのもつかの間。
「いやいやいやいやいや!良くない良くない!!春瀬にあんな格好させるのか!?」
「うひひひひひひ……」
あんな格好という言葉によだれを垂らしながら春瀬の両肩を掴む。
「大丈夫大丈夫……悪いようにはしないから~」
それをすぐ引き剥がす妃之御。
「だめだ。絶対だめだ!」
「えー、なんで?絶対かわいいじゃん」
「そういう問題じゃないだろ」
と言い合っている二人を横に、意外にも店の服に興味を持っている。
「これ、かわいいんじゃないかと思います。私に似合うのかわかりませんが」
「「え?」」
二人の声が重なったが、明らかにトーンが違う。どっちがどっちなのかはいうまでもないだろう。
そして、春瀬は自ら巫女服を手にとって試着した。
試着室からゆっくりと姿を現したその顔は少し赤くなっていた。
「ど、どうですか?……」
「おおおおおおお!似合ってる!似合ってるよぉ春瀬ちゃあん!」
テンションマックスの桜木は春瀬を着せ替え人形のように次々といろんなコスプレをさせた。
メイドや羊服など、春瀬が恥ずかしがる服も結構というか八割そうだったのだが、両者ともとても楽しんでいた様子だ。
そうこうしているうちに昼が近づいて来たので、普通の店で似合いそうな洋服とスカートを買い、デパートを出て食べ物を食べに行った。デパートの中にもフードコートはあるのだが、九重がとても美味しいコーヒーの喫茶店を知っているらしく、そこに行くことになったのだ。
「……美味しいです!」
感激の声を上げた春瀬を見て、でしょうと得意げな顔をする九重。
「そうでしょ?ここの喫茶店はね。この国の中でも一、二を争う庶民向け人気店なのよ」
彼女が言っている事は嘘や見栄ではない。本当にこの国では金額もルーズで味も格別だと人々に愛されているのだ。
そんなコーヒーが飲める事を幸せに感じ、こんな時間が続いたらと春瀬は心のなかで思った。
いま彼女はとても幸せな気持ちだ。
もしかしたら自分に全ての幸せが回ってきたのではないかというくらい。
普通の事でも、いままで閉じ込められていた少女にとってはありえないと感じてしまうほど嬉しかった。
みんなを見ながら、春瀬は小さく口を開いた。
「あの…その…また、みんなとこうして…」
しかしその瞬間、とてつもない轟音が耳に響いた。その場にいる全ての人が後方を見て恐怖した。
そこにいたのは、敵軍の人型兵器。
ストレイジだ。
ド下手なので、ご指摘があればなんでもコメントしてください