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つめたい夏の雨

作者: のりあき

はじめまして

つたない文章ですか最後まで読んで頂けると幸いです

ぼくは雨が嫌いだ。

特に夏に降る冷たい雨は気に入らない。

夏なのに雨のせいで肌寒く身震いがする

窓ガラスをたたく雨の音が一層強く鳴り響く

あの日の泣きたくなる記憶があたまに浮かぶ

未だに忘れられない、本当はもう忘れるべき姉のことを


7年前、姉は大学にさほど苦労もなく無事に合格して楽しく通っていた。

姉は子供のころから病弱で何回も入退院を繰り返して高校生のときは1年ちかくも入院した

おかげで同級生とははなれてしまい少しさみしい思いもしたらしい。 

姉は病院に入っているときはふさぎ込んでいたが、日頃はあかるい性格で特に弟の僕にはとてもやさしかった。

ぼくはそんな姉が好きだった。

姉弟という関係を越える領域まで近付いていた。

それほど仲がよかった。

僕が産まれたころから姉はいつもつきっきりで、ミルクはおろか恥ずかしいはなしだがおむつがえまでしていてくれたらしい。

いつも思い出したかのような言い方で僕をからかっていた。

それを恥ずかしながら聞いていたが心の中では感謝していた。

そんな話している姉がたまらなく好きだった。

姉に恋心を抱くようになったのは中学に入ったぐらいからだ。

それまでは異性という感覚ではなくやはり姉弟の関係で一緒にお風呂にも入っていたぐらいだ。

進学してからは姉のちょっとした仕草や、ノースリーブから見える脇の下などにどきどきとしてしまい顔を赤らめてしまったこともある。

姉もこちらを意識しはじめたのか付かず離れずと多少距離をおいてくれた。

それでも一緒に買い物に行ったり仲の良さは前よりも深くなっていった。

姉の病気が悪化したのは夏にさしかかったころだ。


梅雨の長雨のせいか姉は体調をくずしてしまい、寝込んでしまった。

その時はまだ入院するほどでもなかったが、ことのほか苦しかったらしい。

ぼくは学校から帰ったらすぐに姉の部屋に顔を出していた。

自分が出来る範囲内で姉の看病をしたかった。

いやずっと姉の側に居たかったのだ。

ぼくの両親は共働きで母は早くても5時までは帰って来ない。それまではぼくと姉との大切な時間だった。

姉はぼくの顔を見ると嬉しそうに微笑んだ。

「お姉ちゃん大丈夫?」

「おかえり。朝よりもましになったよ」

確かに朝見たときよりも顔色はよかった。

まだ熱はあったらしいのだがぼくと話すことで苦しいのが紛れたそうだ。

でもそんな日々は長くは続かなかった。なかなか熱が下がらないために入院してしまった。


当時ぼくは姉の病気のことをあまり詳しくなかった。

姉は血液の病気でもう一度再発すると助かる見込みがないと言われていた。

またドナーを待っているのだか姉は滅多にない種類らしくあまり期待できなかった。

そのことも姉が入院してから知った。

姉がいつも語りかけるようにそっと話してくれた。

自分のことをはっきりとわかっていて、なにかこう覚悟を決めているみたいだった。


入院してわかったことたが姉は病気が再発してしまった。

病院は家から近くにあったのだがそう何度も会いにいけなかった。

また姉がくるしんでる姿をみるのは嫌だった。

会えば姉は無理してでもいつものように笑顔で接してくれる。

体を起こすのも辛いのに。

姉の優しさに甘えてしまうときもあった。

そんな時にかぎってたわいもない話で終わってしまう。

ぼくのこころのはからまわり。


その年の夏はそれほど暑くはなかった。逆に肌寒い日もあった。

夏休みに入ったある日、母に姉の荷物を持って行くよう頼まれた。

夏に入って仕事が忙しくなったらしい。

ぼくは姉に会えることがうれしかった

姉は病気のせいでやつれてしまい、苦しみが顔に出るようになった。

それでもぼくが会いにいくと笑顔で迎えてくれた。

その日は体調がいいのかベットを起こして沢山のことを話ししてくれた。

友達のこと、大学受験のこと、大学生活のこと、看護士さんのこと、そしてこの時に病気と今後のことまではなしてくれた。

「からだだけは大切にしてね、約束」と指切りまでした。

それはいまでも守っている。

そして姉はぼくにとってとても大切で一生忘れられないことも話した。


姉はぼくが中学に進学してから変わったと感じていた。でも理由もわかっていたそうだ。ぼくのこころの中までもあの笑顔があることを。

「私はね、あなたが産まれたころから大好きだった」

「あなたはわたしの生き甲斐」

「別に私が産んだわけでもないんだわけでもないんだけど」

「わたしの弟がわたしをたすけてくれる。そういとおしく思った」

「そしてあなたは私をたすけてくれた」

「ぼくはまだなにもしてないよ」

「ううん」そういって顔をふった

「あなたがいる、それだけで十分」

「わたしのかわりにたくさんの想い出をつくって、でもわたしのことも忘れないで」

姉のベットの横で立っていたぼくをよびよせた

そっと姉の手がぼくの首筋にまわり、すっとながれるようにくちづけをかわした。

ぼくは目を見開いたままだった。

するりと姉の手がはなれ短くて永いファーストキスの終わりがきた。

「あいしてる。でもごめんね」姉は涙を流した。

姉のやわらかいキスの感触があたまに残りながらも、流した涙と「ごめんね」の意味を考えた。

その後、姉とは何度も会ってはいるがキスのことは触れなかった。


あの日あのキスを交わしてから2週間後。

姉はぼくたち家族に見守られるなか息をひきとった。

姉が亡くなった日から葬式がすむまでずっとつめたい雨だった。

この日からぼくは雨が嫌いになった。

おわり



パソコンあるのにケータイで書いてみました。むつかしいなあこの小説は仕事で出張行ったあいだにかきました

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