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コンピュータウイルスについて

2150年。

コンピュータウイルスが、世界中を襲う―



八雲幹人は困っていた。どうやら自分は普通の高校生ではないことに、未だ自覚がもてないと。


無理もない。…彼は、今の世界で人間の知能を超えたコンピュータのウイルスを、消さなければいけない役割を任命されたのだから。




高校生活とともに一人暮らしを始めた八雲は、平凡に過ごそうと思っていた。ありきたりな人生に、ありきたりな高校生。そんな生活を八雲はこれからしようとおれしていたのだ。

けれど、そんな彼は郵便ポストに入っていた―一通の封筒を丁寧に開けた、そ時から変わってしまった。


「…差出人が間違えたの、か?」

そんなはずはない。しっかり自分自身の名前が書いてある。


【4月15日、午後1時に最寄り駅近くのC店に来てください。お話があります。 】


C店といえば、世間で言うファミレスのようなものだ。あまり値段も高くなくそれなりに美味しいということから近所では有名だ。


それはいい。だが、差出人の名前が書いていない。それに俺は家族に以外は住所を教えていない。仲のいい友人は他の高校に行ってしまったのだしもうすぐ経って教えようと思っていたからだ。


「行ったほうがいいのか…」

万が一何かあっても駅周辺ということもあり人通りは多いだろう。しかも、この日は混む時間帯である。

相手もそんなことを配慮したのだろうか。予定もないし行くか、と決める。




当日、早速俺はC店で待っていた。

約束…といっていいのだろうか。その時間はと5分である。



「…失礼します、八雲幹人さんですか?」

不意に声をかけられて少し驚くも、声がしたほうに顔を上げる。


「そうですが…貴方は?」

二つに結んだ黒髪に、バツの形をしたピンが、前髪の横につけてある。

見たところ、自分よりかは年下のようだ。

…もしかして、この少女が差出人?


「遅くなりました…私は神志名琴果(かしなことか)といいます」

「は、はい」

「手紙、みてくれてありがとうございます。今日は八雲幹人さんにお話がありまして」

「その、話とは?」


そう返事を返すと神志名という少女は何かの紙を読みながら俺に言う。


「いきなりですが、八雲さんにはウイルスを削除する役割を任命されました」

「…は?」

「ええと…、詳しくいうとウイルスの感染やウイルスを防ぐために八雲さんがコンピュータウイルスを削除します」

「俺がですか?」

「そうです」

「はあ…。コンピュータのウイルスをただ単に消すだけならウイルスを削除するソフトをパソコンに導入すればいい気がしますが」


俺が持っているパソコンはノートパソコンで一応ウイルス対策はしている。そのようにやればいいんじゃないか…と思いつつも話を聞く。


「それがですね、いろいろと調査をしてみると被害の規模が大きいコンピュータウイルスにはウイルスを削除するソフトだけでも効かなくなったらしく…。また更にコンピュータは人間の知能を超えてしまっているのでウイルスも同様なんです」


今の世界は100年前の世界と随分違うらしい。テレビや授業で聞いたりするだけだが、こんなにコンピュータは発展していなかったそうだ。


「でも、それでどうやって俺が消すんですか?」

「ええと…ウイルスをこちらで実体化させていただいて八雲さんはそのウイルスと戦いをしてもらうそうです」

「戦いを?」

「はい、最近の研究でわかったことなんですが…コンピュータウイルスは生物でいう(じょせい)でして…男性のみ、当てはまる人物ではないとどうやら削除できないようで」

「ということは、俺がその当てはまる人物ですか?」

「そうなりますね…因みに、削除する方法が二つありまして、一つがウイルスそのまま削除してしまうのと、もう一つは実体化されたウイルスにパッチをつけていただき、ウイルスを削除しつつそのまま雌になっていただくという二つあります。こちらでは削除するのではなく、雌になっていただく方を推奨しています」

「女性になるって、具体的には…?」

「八雲さんがウイルスの弱点の部分…これはウイルス一つ一つによって違いますが例えば頭部や腹部…また胸部も、です。その弱点にパッチをつけていただくことで短時間程で雌になります」

「ええ!?」


実体化したコンピュータウイルス、けれどそれは雌らしい。人間、ではないよな…と不安を抱く。


「それって、人間の形に実体化ではないですよね?」

「残念ながら…人間の形です」


どうやら、とんでもないことに巻き込まれたようだ。

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