再現師の力
「ハルメさん。僕と今から一回戦いませんか?」この世界の事を学ばせてもらう事が決まったのでもう知識の心配はいらないけどそれでも戦いの知識は無いし、能力を利用した戦いもしてはいない。一度僕は自身の実力も知っておきたいというのもある本当はもっと日を開ける気でいたけど直ぐに出来るなら早く知って置くに越した事は無い。
「別に良いけど?寧ろ異世界人と戦うなんて大歓迎だよ!! 」そう言い僕に笑顔を向けてくるハルメさん。良かった、これで断られたりしたらどうしようと思ったよ。
「じゃあ今直ぐに戦いましょう!! 」ここら辺は平原なので特に気にせず存分に戦う事が出来る……昨日窓から確認したから間違いない。
「分かったけど、少し待ってていくら何でも私が本気出すのは不味いと思うからロッドとか変えてくるね 」
確かにハルメさんが本気を出すのは不味い事だろう彼女は若いけどそれでもこの大陸一番の魔術師それを僕は知っている。ましてや彼女は僕の能力を知らない彼女が手加減する事は当たり前だった。
「あっはい分かりました」出来れば本気で戦って欲しかったけど僕の実力が何処まで通じるか分からないし、僕の能力がいくら強くても僕は戦いに付いては素人だ、手加減してもらうのは定石か。
「ごめん、待たせた?」そう言いいつの間にか着替え終わっていたハルメさんが僕に話し掛けてきた。
「いえ、待ってませんよ。早く戦いましょう」僕はそう言いハルメさんと一緒に平原へ出た。
本気で戦ってもらえ無いのは少し残念だけど僕の心は十分踊っていた。
「じゃあ始めようか」ハルメさんは血の様な赤のローブと水の様な色をしているロッドを持っていた。
「はい」僕はこっそりアイテムコピーの効果を使いハルメが持ってきたアイテムの中にあった結界作るアイテムの効果で結界を作って置いた。僕の攻撃がどれ程の威力があるか分からないしハルメも馬鹿にならない威力の魔法を撃ってきそうだし。
「じゃあお手並み拝見って事で<水よ刃を作り牙を向け!!ウォーターセイバー!!> 」突如水の刃が僕の目の前に現れ僕に攻撃してくる。しかしイグドラシルの木の実の効果を大量にコピーしたからか難なく避けられた。
「全く危ないですね、いきなり魔法を使って来ないで下さいよ」
「いやいやユーイ簡単に避けてたし」と苦笑を上げながら言ってくるハルメさん
「ハルメさんが魔法なら僕も魔法を見せましょうか<雷鳴>」僕がそう言うとハルメさんの頭上から何本も雷が落ちてくる。
「なっ!?<フル・シールド!!> 」ハルメさんは無詠唱で自分の頭上に防御壁を作るが無詠唱のせいかいとも簡単に貫通しハルメさんへ、ふり注ぐ。
ハルメさんのいる所は雷の光に飲まれ見えなくなった。
「凄いですね……でも僕なら捉えられます」僕はハルメのいた所には目も向けず誰もいない筈の真後ろを蹴る。
「危ない!? 」僕の蹴った所にはハルメさんがいた、恐らく転移系の魔法がこの世界には存在していて僕の攻撃が当たる前に転移魔法をしたのだろう。
しかし僕はイグドラシルの木の実の効果で化け物の様な能力を持っているからか動きを捉えるのはかなり簡単だった。
しかし彼女も凄い物で僕の蹴りを間一髪で回避した。
「あっ危なかった……ユーイ今の魔法って?しかも何その馬鹿げた身体能力……」流石ハルメさんと言った所か……まだ少しは余裕の様だ。
「簡単な事ですよ。僕には特殊な力があるだけです」そもそも<雷鳴>は魔法では無い、ただ雷鳴石の効果を能力によって発揮させただけだ。身体能力も無理矢理、能力でイグドラシルの木の実の効果を使用し上げている。
「特殊な力ねぇまぁ私にも有るからね……余裕無いから使わせてもらうとするよ!!<アクアピストル><アクアブレス><ウンディーネ><アリエス>」
「これは……僕も出し惜しみは出来そうに無いですね」ハルメさんがやった事は四つの魔法を無詠唱で連続使用……しかし妙だ何で水の魔法ばかりを使用してくるのだろうか
僕は呑気にそんな事を考えているが実際は大型の津波並みの水が僕に向けて放たれている。
「相殺出来るか心配だけど……やれるだけやって見せるか…………!!<白雷>」<白雷>は雷鳴石の効果を発動する時に雷鳴石の効果にイグドラシルの木の実の効果を発動させる事で雷鳴石の効果を上げるのいう荒業だ……僕の最高火力でもある。
白雷の名を持つ白い雷はバチチチチチと音を立てているのみで肝心の相殺は出来ずハルメさんの魔法を足止めする程度にしかなっていない
「なら……!!<白雷><白雷><白雷><白雷>」……!! 」一発で相殺出来ないならもっと撃ち込めばいい……!!
何発も当てたからかどんどんハルメさんの水は力を無くしていき、遂には<白雷>に相殺された。
「う、嘘!? 」自分の魔法が相殺されるとは思って居なかったのかハルメさんはその場を動かずにいた。
「……<白雷>」僕は<白雷>をもう一度発生させハルメさんに放つ。
「ふふ、私の負けね……」ハルメさんは<白雷>を避けようともせず自らの負けを認め白い雷に呑まれていった。
僕の初勝利はこの大陸一番の魔術士となった。