知らない物は知らない
すみません遅れました
・・デジアドのゲームが面白いからいけないんですよ・・
ぐつぐつと何かが煮える音が聞こえてくる
徐々にはっきりしてくる意識の中でその音だけは聞こえていた。
「 ん……?」
何か美味しそうな匂いがする。
その匂いにつられて僕は起きた。
――ここは何処だろう?僕は気がついたら怪しい石や薬が置いてある部屋でベッドに寝かされていた。
「 あっ! 起きたの!!」
そう言い、部屋に入ってきたのは髪が白く、顔はまだ幼いが整っている黒茶色のローブを着て、スープを持っている美少女だった。
「貴女は?」
「私は魔術師ハルメ、聞いた事あるでしょ?」
何故か自信たっぷりに言ってくる彼女に僕は――
「いえ、全く」
「へっ?」目を丸くし呆然とする彼女
「いッ今なんて?」
「だから全く聞いた事ありません」
「ほっ本当に?」
信じられないという感じの顔をする彼女
「 はい僕は貴女を知りません」
「 そうかぁ~これでもこの大陸で最高位の魔術師何だよ? はいスープ」
「ありがとうございます」
とハルメさんに一言言いスープを受け取り一口飲む。
とても温かくて美味しい
「美味しいですよ」
「そう! 良かったぁ~しかしこの大陸で私を知らない人がいるなんてね~」
そう言い少し残念そうな感じだが嬉しそうな顔をしている彼女
「 何でそんなに嬉しそう何ですか普通はそんなに嬉しそうにはならない筈ですが?」
「 だって皆。私の事知ってるから態度が堅苦しいし、変な目で見てくる人もいるし、たまに国の王が利用しようとしてくるから私を知らない人に出会えて嬉しいの、君何処から来たの? 私を知らないってことは、少なくともこの大陸の人間じゃないでしょ?」
「!! ッ」
彼女のピンポイントな質問に僕は思わず目を見開く。
「 その反応、ふふ図星ね?」
僕はスープを全部飲み、少し深呼吸して
「……はい僕は異世界から来ました」
僕の言葉に今度は彼女が目を見開く。
「それ……本当?」
「はい」
「……分析[開放]ほっ本当に異世界人なのね」
どうやら分かってもらえた様だ。
ていうか今の分析[開放]って何だ? もしかして魔法?
「 信じて頂けましたか。それよりさっきの分析[開放]って?」
「 あっもしかして君の世界に魔法って無かった?」
「はい有りませんでした」
どうやら今のは魔法で良い様。
こういうのは大体お決まりだしね。
「分析[開放]の効果は相手のステータスを確認出来る……ですね?」
これは僕はラノベからの推測で立てた仮説だ。
「 へぇ分かるんだ君、すごいね!! でも半分正解ってとこかな」
どうゆう事かな? 半分正解って当たってるけど何か足りないって感じ……かな?
「 分からないって感じね、正解はピンポイントで相手のステータスが見れるって魔法なの」
つまり、余計な情報を見なくて済む高度な魔法、はっきり言ってかなり役に立ちそうな魔法だ。
「 今、貴方かなり使える魔法だと思ったでしょ?」
「!?……はい」
また僕の考えを読まれた彼女は何故僕の考えてる事が分かるのだろうこれも魔法?
「ふふ、どうしてこんなに考えが読まれるのか考えてるみたいね、魔法ではないわよ只の読心術」
そう言い悪そうな笑みを浮かべる彼女
「 只の読心術ってどんだけすごいんですか……」
此処まで来るともはや呆れる位しか出来ないと思う
「まあ私の場合。人と話すのが多いからいつの間にか出来る様になっただけだから、読心術って言っても分かりやすい時じゃないと読めないし」
まあ確かに大陸一番の魔術師なら国からの依頼や街とかで色々あるか。
……僕何回か読まれてるんだけどそんなに分かりやすいかな?
「ん?」
そういえばここの道具って全部彼女の自作なのだろか?なんとなくだけどそんな気がする
「ん?私が作ったアイテムに興味あるの?」
また考えている事が読まれた。
やっぱり僕って読みやすい? まあ考えていても拉致が開かないから今はいいか
「はい」
やっぱりあの道具は彼女が作ったのか。
て言うかこの世界では道具をアイテムと言うんだ、なんかゲームっぽい。
「 じゃあどれか一つアイテム 君の物にして良いよ!」
「本当ですか!?」
あまりの嬉しさに思わず聞き返してしまう
「本当よその代わり名前を教えてほしいな」
あっまだ名乗って無かったか! うっかり忘れてた!!
「 僕は天海優以です。ユーイって呼んで下さい!!」
これが僕の異世界に来て初めての自己紹介だった。
感想、誤文字のご指摘はいつでも受け付けます