表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

霊感持ちと陰陽師

作者: ケン
掲載日:2012/08/23

『ねえねえ、お兄ちゃん!起きてー!遅刻しちゃうよー!』

も、もう少しだけ。

『起きて!あ!おばちゃんが』

「はい、俺、ウェイクアープ!」

……ってオカン来てないじゃん…騙したな!

『へっへ~起きないからだよ~!』

あ~はいはい、ありがとうな、里奈ちゃん。

『じゃ、そろそろ私は行くね!』

そう言って里奈ちゃんは窓をすり抜けて空をフワフワと飛んでいった。

彼女は生島里奈…所望、お化けと言う奴だ。

ちなみに俺――――坂場優斗は霊感を持っている。

某死神マンガの主人公のように見える、触れる、喋れるというSS級の霊感持ちだ。

ちなみに家族で霊感を持っているのは俺だけ。

皆は良いなとか、すげえ!とか言うが…正直迷惑である。なぜなら

『あぁ~お前かー!』

……こんな風に怨念をもった幽霊さんなんかが俺に憑いちゃうからである。

「優斗!」

あ、やべえ。オカン切れてる。

悪いな怨念持ちさん、俺はあんたを殺してないしあんたもそろそろ成仏したらどうだ?

『許さない。私をひき逃げして殺した奴を!』

だったら車乗ってる奴を探せばいいんじゃないのか?

『……あ、そうか』

そう言って怨念さんはどこかへと飛んでいった。

「優斗ー!」

「い、今行きまーすぅぅぅぅ!」

俺のオカンはぶちキレタが最後、誰にも止められなくなってしまう。

殺される前に早くいこ。




なんとか俺はオカンがキレる前に朝食を食べ終わり学校へと向かった。

「今日もいい天」

『ウオオォン!』

……いい天気とは言い難いものを朝っぱらから見てしまった。

なんかその……犬っぽい獣の幽霊さんが巫女服を着た奴を追いかけまわしていた。

……幽霊は基本はなんらかの原因で幽霊になった時の格好をしている。

学生なら制服、サラリーマンならスーツって言った感じだ。

でも、巫女服……追いかけてみるか。

俺は後々、何故あの時そのまま学校に行かなかったのかと後悔することになる。





えっと、確かこの辺だったよな。

『オォオォォォン!』

「イ、イヤ!来ないで!」

あ、いたいた。

「うおぉらぁ!」

『ぎゃぁん!』

犬のドテッ腹を思いっきり蹴ってやるとそいつは悲鳴を一瞬上げてどこかへ消えていった。

おぉ~案外足が速いんだな。

「大丈夫か?」

俺が犬っぽい幽霊さんに追われていた巫女さんに手を差し伸べようとした瞬間!

パチィィン!

……何故、手を叩かれたし。

「何邪魔してんのよ!」

えぇ~。どう見ても邪魔じゃなくて救出したんだが。

「あ、あんな奴私の力で一瞬で消し飛ばせるわよ!」

…いやいやいや!どう見ても負けてたじゃないか!

ていうか俺が来なかったらどうなってた事やら。

「聞いてんのあんた!?」

「あぁ~まあ」

「あんたもあたしを馬鹿にするの!?」

……この子の言っている話の脈絡が一切掴めない。

「な、なんの話だよ」

「惚けないでよ!あんたも陰陽師なんでしょ!どこの家の者よ!

智徳家!?それとも藤原家!?どこよ!」

何を言っているのかがさっぱり分からん。

「俺は陰陽師じゃないし、陰陽師なんかいねえだろ」

俺がそう言うと何故か女の子はハッとしたような顔をして俺をジロジロと見だした。




「ねえ、あんた本当に一般人?」

「まあな」

「じゃ、じゃあ霊感ある!?」

な、なんだ?いきなり何を聞き始めてんだ、この子は。

「ま、まああるけど」

そう言うと女の子は何かブツブツ言いながら考えていた。

「…つまりSS級?…さっき……よし!」

おぉ、何か決まったのか?

「あんた!今日から私の式紙になりなさい!」

……は?式紙?何それ?

「と・り・あ・え・ず!こっちにきて!」

「お、おい!俺学校が」

「そんなの知らないわよ!」

女の子は俺の手を無理やり引っ張り近くにある神社に俺を連れ込んだ。




「お父様!」

神社の中に入って境内を進み続けるとダンディな男性がこれまた神社の

お坊さんが来てる服を着て誰かと話していた。

「なんのようだ」

「あたしの式紙見つけました!」

だからその式紙ってなんなんだよ。ていうか一般人が神社の奥の方に入っていいのか?

ダンディな男性は俺を見定めるように全身を上から下まで見ると小さく嘆息をつき

女の子の方を向いた。

「お前には丁度いいかもしれんな。精々家を汚さないようにしていろ」

……なんかこの人冷たいな。

女の子がさっきお父様って呼んでたから親なんだろ?娘にその態度はないだろ。

「はい!じゃあ、あんた!こっち来て!」

「だから引っ張るなって!」




俺は今度は境内の中にある住居みたいな所に

押し込まれて畳に座らされて女の子と話をしていた。

「で?君は何なの?」

「私は三善清音。陰陽師をしてるわ」

……返事に困るな。

「俺は坂場優斗」

『誰だこいつ?』

「さっきから気になってるんだけどこいつら何?」

「この子たちはここに住みついている獣霊達」

獣霊?…動物の幽霊って考えればいいか、動物ばっかりだし。

まあ、こいつらは放っておいて三善さんから話を聞いていくと

どうやら陰陽師は現実に存在するらしく日々人間に害を及ぼす

悪霊を成仏させたり未練を持った幽霊さん達の未練を晴らして安心して

成仏出来るようにしているらしい。

「それで式紙ってなに?」

「陰陽師が使役する……まあ、お手伝いさんみたいなもんよ」

「それで何故俺?」

「だってSS級の霊感持ちなんてそうそういないわ」

あ~つまりこの霊感を使って陰陽師を手伝えという訳ね。

「だから早速」

「悪いけど他当たってくれ」

「え?」

「俺はそんなダルイ事はしたくないんだ」

そう言って俺は住居から出た。





あれから数日、自称陰陽師の女の子は見なくなった。

てっきり追いかけてくるもんかと思ったんだけど…追いかけてこなかったな。

「ってなんで俺あいつのこと気にかけてるのやら」

『どうかしたのお兄ちゃん?』

……そう言えば里奈ちゃんは成仏したいとは思わないのかな。

「里奈ちゃんは成仏したいとは思わないのか?」

『私?……成仏したいけど……』

そう言いかけて里奈ちゃんは黙ってしまった。

…もしかしてこの世界に未練があるのか?

「何か未練でも?」

『うん……ママにね、渡したい手紙があるの』

「俺が渡してあげようか?」

『…でも、その手紙…どこに埋めたか分からないの』

埋めた?……もしかしてタイムカプセルみたいなものにか?

……仕方無い。あの自称陰陽師に頼むか。



「と言う訳で力を貸せ。自称陰陽師」

「自称じゃなくて本物よ!」

俺は里奈ちゃんを連れて自称陰陽師がいた神社に来て話をしていた。

「陰陽師ならなんとかできるんだろ?」

「あのねえ、陰陽師はなんでも屋さんじゃないのよ?」

むぅ、了承してくれないか……だったら

「里奈ちゃんが成仏したら式紙でもなんでも」

「よし!行くわよ!」

早っ!了承早!どんなけ俺を式紙にしたいんだか。



『えっと、この辺りに埋めたんだけど』

……里奈ちゃん、君はこの辺りと言っていたね?

普通は近場の学校の校庭じゃないのかな?

「なんで山になんか埋めたんだよぉぉぉぉ!」

そう、彼女が埋めたタイムカプセルは何と俺の目の前にそびえたつ

大きな山の頂上のどこかに埋めたのだという。

「ほらさっさと行くわよ!」

大きめのシャベルを振り回しながらはしゃぐなよ。

と言う訳で俺達はまずは学校が休みの日のそれこそ始発電車が出る時間帯に山に

集合し頂上を目指して登山を開始した。

見た目ほどこの山は悪路がなかったからスイスイ進めて50分くらいで頂上に到着した。

「で?どこらへんに埋めたの?」

『ん~頂上に埋めたとしか覚えてないの』

「仕方無い。掘るぞ」




地面を掘りつづけて早3時間、タイムカプセルらしきものは全く出てこなかった。

「あ~ちょっと休憩」

そもそもこの頂上地面が硬すぎんだよ、一回掘るだけでも一苦労だわ。

「んぬぬぬ!」

「お~い、お前も休憩しろよ」

「休憩するほど疲れてないわよ!」

そう言ってまた地面を掘っていく。

……こいつは何をそんなに必死にしてんだか。

「なあ、なんでお前そんなに必死にしてんだよ?」

「…何?必死にしてちゃ悪いの?」

いや、別にそんなことは言ってねえけど。

「……ねえ、未練を残してこの世を去った人たちのこと考えたことある?」

未練を残してこの世を去る……か。

俺には無関係な事だと思ってるがな。

「その人たちは未練を抱えたまま成仏もできずに苦しんでる。

あたしはそんな人たちを助けたいのよ」

………はぁ~。

「おい自称陰陽師」

「自称じゃ」

「変われ。俺がやる」

俺は自称陰陽師からシャベルを取り上げると硬い地面を掘り起こしていく。

「ちょ!ちょっと!」

「そんな豆だらけの手で掘れると?」

「……お願い」

素直なのかそうじゃないのか分からない奴だな。





「だぁぁぁ!見つからねえ!」

ここら辺の地面は粗方全部掘り起こしたぞ!なのになんで何も出てこないんだよ!

もう掘る場所なんてほとんどないぞ!

『もう良いよ……ありがとね』

うぅ…そんな顔されたら帰ろうにも帰れないじゃないか。

「でも、もうどこにも掘る場所なんてないわよ」

んん~掘る場所ねえ……目印みたいなのがあれば…目印…もしかして

「いや、まだ掘っていない場所があった」

「どこよ」

俺は持って来ていたスコップを持ってその掘るべき場所に

行ってスコップで地面を掘り起こすと

ガキィィン!

ビンゴ!

「この花達の近くだ。たぶん里奈ちゃんは生前に目印として何か種でも撒いたんじゃないか?」

『あ……そう言えば撒いた』

「この場所ならお日様もいい具合に当たるしな」

里奈ちゃんはたぶん頂上に埋めに来た時にはここに目印になりそうな物がなかったはずだ。

だから将来、ここに来た時に分かる目印に花を植えたんだ。

「じゃあ、この綺麗な花が咲いてる部分に」

「ああ」

俺は周りに咲いてる花を傷つけないようにスコップで少しづつ掘っていくと

「あった!」

確かにその周りの花の中心に当たる部分に小さな箱が埋められていた。




山を降りてきた俺達は早速里奈ちゃんが

住んでいたという家がある場所に行った……だけど

里奈ちゃんが住んでいたアパートは影も形もなく開発予定地になっていた。

『……ごめんね。こんな事になるなら』

「い、良いのよ別に!」

「おや、どうかしたのかい?」

おばあちゃんか……賭けてみるしかない。

「あ、あの昔」

「なんだって?」

「あの!昔この辺に里奈ちゃんって子が住んでいたのをご存知ですか!?」

「里奈ちゃん……あぁー!確かにいたね。確か生島さんとこの娘さんだ!」

生島……里奈ちゃんの苗字と一緒。

「その人はどこにいますか!」

「あぁ~。生島さんはもうとっくの昔に逝っちまったよ」




『生島家のお墓……ここにお母さんとお父さんが』

近くにある共同墓地に里奈ちゃんのご両親は眠っていた。

「こんな展開……ありなの?」

「こればっかりは俺たちにも……ん?」

……誰かが近づいてくる。

『里奈?』

『え?……お母さん!』

『里奈!』

マジですか……つまり、里奈ちゃんのお母さんも未練を残したままこの世をさり

この地に住みついてずっと里奈ちゃんを探していたのか。

「……里奈ちゃんのお母さん」

『貴方……私が見えるの?』

「はい、隣の彼女もです」

俺がそう言うと自称陰陽師は母親に会釈をした。

「貴方に訊いてほしい手紙があるんです」

俺は掘り起こした箱を開けて中のメモ用紙ほどのサイズに紙に

書かれた内容を読み始めた。



『10年後の私とお母さんへ。

10年後のお母さん、元気にしてる?

いつもお母さんに迷惑をかけてばっかりだったね。

お母さんの作ってくれる料理は皆美味しかったよ。

これからも元気なお母さんでいてください。

貴方の娘になれて本当に良かったです』



「……逝ったか」

「ええ。二人とも笑顔だったわ」

俺が手紙を読み終えた頃には既に2人の姿は欠片もなかった。

でも、2人は幸せに向こうに逝ったと思う。

俺はそう思いながら手紙を小箱に入れてお墓の近くの花の隣に置いた。

2人が向こうでも幸せに暮らせますように……そんな願いを込めて。




「おい、自称陰陽師」

「…清音って呼びなさい」

「……清音。暇な時はお前の手伝いしてやるよ」

「ありがと、優斗!」

今まで嫌いだった俺の霊感……誰かが幸せになれるなら…ありかな。

こんばんわ、短編のくせに5000文字オーバーの作品です。

恐らく読みにくくて仕方がないと思います。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] いい話ですね~ 僕の大好きな陰陽師とか霊とか出てくるし 続編希望!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ